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最後の炎 #毎日ネタ出し19日目

【タイトル】

最後の炎

【あらすじ】

終焉の時。それは一瞬にして訪れる。

「太陽の異常活動により、地球は間もなく生物が住めない環境となる」

それはあくまで数百年後、数千年後に起きることだと誰もが思っていた。しかし、現実にはあと1カ月の間でそれは起こる。

太陽での大爆発。太陽フレアと呼ばれるもので、小規模なものであれば1日に3回ほどは起こっている。しかし、数日前からその頻度が高くなっていることが観測されていた。

そして、1回目の大爆発が起こる。

電磁波が地球を襲い、大規模な電波障害が発生。飛行機などにも影響が出て、各地で墜落などの事故が起きてしまう。

専門家によれば、この活動は1回だけでおさまるものではない。今後、短い周期でこのような爆発は起きると言う。さらに観測を進めると、これまでにないほどの爆発を起こす兆候が発見される。この規模の爆発が起きれば、地球に与える影響は凄まじく、全ての電子機器や通信は破壊される。それどころか、この地球に人が住めなくなってしまうほどの影響が出るとの予測もあった。専門家によれば、それはあと1カ月以内に確実に起こるとのこと。

その報道を受けた人々は、大混乱に陥る。

各地で暴動が起きたり、地下へ逃げ込む準備をしたり、火星へ逃亡するために、ロケット開発会社へ人が押し寄せたり。

世界は混乱を極めていた。

日本に住む勝田仙一は、20歳を迎えた娘と二人暮らしをしていた。母を早くに亡くして以来、娘は勝田に心を開かない。家では顔を合わせることもめったになく、しっかりとした会話をしたのはもう何年前のことになるかという状態だった。

そんなときに舞い込んできた「終焉」のニュース。勝田は残りの1カ月、どう過ごすのかを考える。

自分はもう少しで死んでしまうのかもしれない。そう思った時、亡くなった妻の墓へと出向く。

「もうすぐお前に会いにいけそうだ」

と独り言をつぶやき、手を合わせた。その時、妻が亡くなる直前まで話していたことを思い出す。

「あの子のそばにいてあげて。あの子はとても寂しがり屋で、本当はお父さんに甘えたくてしょうがないの。でも素直になれない。反発されると思うけど、私の分まで最後までそばについていてほしい」

私も妻を失ったショックで、このことをすっかり記憶からなくしていた。

あと一カ月で死んでしまうなら、最後は妻の言う通り娘のそばにいてあげよう。

勝田は墓前で妻にそう誓い、立ち上がった。

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