見出し画像

30日間の革命 #革命編 64日目

 橋田の言葉を聞き、手崎の頬に大粒の涙が流れた。でも、手崎は泣き崩れない。必死に堪えているようだった。そんな様子を見て、橋田は少し笑いながら、

 「ちょっと強くなったんじゃない? 今までは大べそかいていたくせに」

 と手崎へ言った。手崎は手で涙を拭きながら、

 「も、もう泣かないって決めたんです。前に橋田さんから『泣いてばかりじゃだめだ』って教えてもらって、それからはどんなことがあっても我慢するって決めたから……」

 と話した。

 「そっか。あんたのことだから、また一人で抱えて大変だったんだね。……最後にさ、一つ確認なんだけど」

 「はい。何でしょうか」

 「……さっきも言った通り、私はあんたのことを友達だと思っているけど、あんた自身はどう思ってる? 最後にそこだけ確認させて」

 橋田からの質問に、手崎は一回深呼吸して、

 「……はい。私も橋田さんの友達なれたって、今再認識しました。これからどんなことが起こっても、この気持ちは変わりません」

 と力強く答えた。それを聞いた橋田は

 「そっか。……よし! それなら私も頑張れるよ! あんたのためにも、私のためにも、そしてこの学校のためにも。これから気合い入れていくよ!」

 と笑顔で手崎以上に力強く話した。手崎もそんな橋田の姿を見て、笑顔になった。しばらくの間、二人の間に張っていた氷はすっかりと溶け、温かい空気が流れていた。

 橋田はふと時計を見ると、もう20:30を過ぎていることに気づいた。

 「あ、もうこんな時間か。こんな遅くまで付き合ってもらってごめんね」

 「いえ、私は大丈夫です。むしろ、こちらこそ部活終わりで疲れている時にありがとうございました」

 「……そういえばさ、ずーっと気になってたけど、あんたいつまで私に敬語使うの? もうさ、改めて友達だって確認したんだから、ここらで敬語やめない?」

 「……た、確かに。もう友達ですしね! それじゃあ、私もこれから敬語やめます!」

 「そうだよ! あとさ、私もあんたのことを『あんた』って呼んでたんだけど、それもやめるよ。せっかくだし、『恭子』って呼ぶことにするね」

 「きょ、恭子ですか! ……あ、ありがとうございます」

 「だから恭子も私のこと『加代子』でいいよ。そっちの方が何か友達っぽいじゃん」

 「え! か、加代子ですか……。ちょっといきなりはハードルが高いので、もう少し慣れてきたら挑戦してみます」

 「ははっ。ハードルなんて高くないでしょ。まあいいけど。……それじゃあ今日は解散しよう。また私たちも動き出したら連絡するよ」

 「はい、わかりました。それでは、またよろしくお願いします」

 「……敬語!」

 「あ、そ、そうでした。……なら、またね」

 手崎は恥ずかしそうに、少しうつむいて話した。橋田は笑顔で、

 「まだぎこちないけど、しょうがないか。よし、なら帰ろう」

 と手崎に向かって話した。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
マガジン作成しました! 第二部はコチラからご覧ください!

takuma.o

色々な実験を行い、その結果を公開していきます!もし何かしらの価値を感じていただけましたら、サポートしていただけますと幸いです!