机上の空論 ＃毎日ネタ出し２１日目

【タイトル】

机上の空論

【あらすじ】

「アイドルの●●が人気俳優と熱愛か！？」

「お笑い芸人の■■は、実は過去に犯罪を犯していた！」

「タレントの★★による不倫発覚！　相手はドラマで共演した◇◇か！？」

これらは、私がこれまでに取り扱ってきた芸能ニュースだ。

私は新聞社の芸能部に所属している記者である。芸能人の熱愛やら不倫やらを大衆にさらすことが私の仕事。最近では紙面よりもwebでネットニュースを取り扱うことも多くなった。

もともとは世界情勢を伝えるジャーナリストを目指して新聞社に入社するも、こういった人間の負の部分をさらしていくことに楽しさを感じるようになり、芸能部に長く務めている。

テレビでは清廉潔白のイメージだったあのアイドルが、実は裏ではとんでもないことをしていた、など人間の裏表を見ることが出来るのは本当に面白い。

更には、それに群がるネット民たち。私が流したニュースにより、SNSが炎上したり、コメント掲示板で罵り合いが起きたり。

本当に見ていて痛快だ。

普段大柄な態度をとっている芸能人たちは、私たちのことを恐れている。いつどこで何をスクープされるかわからないからだ。それも、私にとっては気持ちよかった。ウン億円稼いでいるあの大物司会者も、私の書く記事によってその後の人生が左右されることになるのだから。

そういう意味では、私は誰よりも強い力を持っている。まさに、

「ペンは剣より強い」

だった。

そして、つい最近入手したとあるスクープ。

あの国民的アイドルの熱愛発覚。それも、相手は１０歳も年が離れた既婚男性。これは再び世間を賑わすことになる。

しかし、このスクープが私自身の人生を大きく左右する。

ネットニュースにて不倫スクープを投稿すると、予想通り世間は大きく注目した。芸能事務所は記者会見など対応に追われ、彼女が出演していたCMや映画、テレビドラマなどの番組も中止や差替えになっていく。

再び私が世間を賑わした。どんどんと溢れていくSNSの書き込みを見ながら、そう思った。

その数日後、私は上司に呼ばれる。ここ最近はスクープも連発し、アクセス数もうなぎのぼり。それに加えて今回のニュース。私は昇進や昇給の話しかと思い、胸を踊らせて会議室へと向かった。

会議室に入ると、そこには上司だけでなく、部長の姿があった。そして、二人とも顔が暗い。

「おい、お前やってくれたな。これ、どうするんだ」

上司はそう言うと、私に一枚の紙を渡す。

「はい？」

と、私は何のことか分からずにその紙を手にした。そこには、

「●●の自殺について」

と書かれていた。

そう、私がスクープしたあのアイドルが、今回の報道をきっかけに心を病み、自殺してしまったのだ。

「ちょ、こ、これ……。嘘でしょ？」

私は思わず声が震えた。

「……本当だよ。さっき事務所から届いた抗議のファックスだ。うちの記事のせいで●●が自殺に追い込まれたんだと。そして、それも事実と異なる内容の記事で」

「え？　事実と異なるって？」

「よーするに、不倫していなかったんだよ。仲が良かったのは事実で、お互いの家に行き来するような間柄だったらしい。でも、交際の事実はなかった。そういうことらしいぞ」

「い、いや。何言ってるんですか。こっちだってちゃんと裏とってますから」

「今はそんなことはどうでもいい。まず、このことについてどうするかだ。お前もそれなりの覚悟はしておけよ。世間の風当たりは一気にこっちに向くぞ」

私は足が震えていた。何が起こったのかわからない。どうすればいいかわからない。

ただただ、足が震えるだけだった。

このことにより、私の人生は大きく転落していく。

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※今回は途中で途切れてしまっています。

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