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30日間の革命 #革命編 149日
坂本が停学となってから3日が過ぎた。いつも加賀の目の前の席に座り、時折いたずらな笑みを浮かべてこっちに話してくる坂本の姿がない。そこにあるのは誰もいない無機質な机とイスのみ。本当なら、明日は坂本と一緒に革命を起こすはずだった。
半年の間、坂本とこの日を迎えるために必死になって走ってきた。坂本から革命の話しを聞き、まずは森下に声をかけたこと。そこから、手崎や神原、馬場とメンバーを集めたこと。集会を開いた夏休み。そして、馬場との生徒会長選挙。白の会の解散から女子バレー部問題。そして、白の会を再結成させ、大友と坂本の一騎打ちがあり、加賀によるハッシュタグ作戦。
思い返せばまだまだたくさんの出来事があった。どんな時でも前を向いて、そしていつも自分たちの先頭を走ってくれていた坂本の背中が、直前で見えなくなってしまったこと。加賀はいつも自分の席に座るたび、やり切れない気持ちとなっていた。
坂本がいない状況で果たして革命は起こせるのか。夏休みの時のように、また失敗してしまうのではないか。皆の前では強気になれたものの、一人になるとそんな不安が加賀を襲う。今すぐ坂本に会って頼りたい。助けてほしい。知恵を貸してほしい。皆の先頭に経ってほしい。そんなことを授業を受けながら考えてしまっていた。
今日は午後から文化祭準備を学校全体で行うことになっている。いよいよ文化祭が明日に迫り、会場設営などの準備も学生が行うこととなる。と言っても、模擬店などを出すわけでもないので、そんなに大きな準備もない。体育館にイスを並べ、後はクラス内で最後の打ち合わせをするだけである。
午後の準備が始まる前、加賀たち白の会のメンバーは一度集まった。こちらも明日の段取りを確認するためである。屋上へと集まった7人。真っ先に話題に上がったのは加賀の顔つきだった。
「ちょっとセトくん、何その死にそうな顔は?」
棚橋がそうツッコむと、
「……お前、何か顔が白いぞ?」
と森下も同調する。
「もしかして、明日のことで緊張してるの?」
江藤が加賀にそう聞くと、
「いや、ごめん。何か急に不安になってきて……」
と加賀は暗い声で答える。
「何だよー。この前は威勢よく、どんなことがあっても革命を起こそうって言ってたくせに!」
加賀はメンバー皆から総ツッコミを受ける。しかし、メンバーのみんなは笑顔になっていた。
「何かやっぱ加賀ってちゃんと人間だよな。俺もさ、実はめっちゃ不安なんだよ。でも皆の手前、不安な顔してちゃダメだと思って気合い入れて来たら、まさかの加賀が不安な顔してるんだもんな。なんか笑っちゃうよ」
森下が笑いながらそう話すと、
「そうだね。まあそれがセトの良いところなんだよ」
江藤も笑顔でそう続いた。メンバー全員が笑顔に包まれ、穏やか名空気が流れる。加賀はとても不思議に思った。自分の不安が、メンバーを更に不安にさせてしまうのではないかと思っていたからだ。しかし、結果は真逆。なぜかみんな笑顔で溢れている。そして、加賀自身もこのメンバーの笑顔に救われた。
(不安なのはみんな一緒か)
そう思うことが出来たら、不思議と先ほどまでの不安が薄れていくことを感じた。
“一人じゃない”
その事実が加賀の心をぐっと前に押し出した。
▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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