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30日間の革命 #革命編 200日(完)

 バリケードが破られ、警察や教師が体育館へと入ってくる。その中でも坂本たちは必死に抵抗し、カメラを回し続けた。坂本はカメラに向かって必死に訴え続ける。その坂本を守るために学生たちは自分たちがバリケードとなり警察たちを食い止めていた。

 その様子はずっと動画として流れ続けていた。当初、その動画を見ている人たちは数百人。しかし、警察が登場してから視聴者は増え続け、気づけば数千人がこの動画を見ており、今もその数は増え続けている。更に、その騒ぎを聞きつけた一部のマスコミが高校へ問い合わせをしたり、取材に駆けつけてくる騒ぎまで発展していた。そして、その様子は坂本たちが警察に取り押さえられるまで流され続けた。

 警察たちを必死に止めた加賀や森下を含めた数人の学生は、抵抗した際に警察ともみ合いになりその場で取り押さえられ、警察署へと連行されていく。坂本もこの騒ぎを起こした首謀者として同じくパトカーに乗せられ警察署へと連行されていった。それにより、この数時間の体育館の占拠は幕を閉じた。しかし、この坂本たちが起こした騒ぎは、確かに見ている人たちの心へと突き刺さった。

 その日から、高校生や中学生の間で、「#学校を変えよう」というハッシュタグが拡がり、各地で色々な活動が起きた。一部の学校では坂本たちの行動を真似し、厳しい校則を撤廃するようにと抗議をし、教室内に立てこもるなどの事件も起きる。その他にも、学生たちが一斉に好きな髪色に染めたり、制服を好きなようにアレンジをして登校する様子がSNSに次々と投稿されていった。

 これら一連の騒動は「令和の学生運動」と称され、マスコミで大きく報道された。そして、この騒ぎを受け、学校では「ブラック校則」と呼ばれるものが見直されはじめ、学生たちの個性を尊重するような学校が増えていった。しかし、全てが良い方向へと向かったわけではない。坂本たちの行動を自由奔放に暴れまわっていいと勘違いした学生たちが、学校で暴動騒ぎを起こすということも起きていた。良くも悪くも、坂本たちの起こした行動は学校というものに大きな影響を与えた。

 しかし、坂本らの体育館占拠の話題は、1カ月程で薄れていく。時間が経つにつれて学生たちの行動も収まりを見せ、ニュースでもインターネットでも坂本らの名前が出てくることはなくなった。「令和の学生運動」と称されたこの活動は、ネットの一部で「30日間の革命」とも呼ばれるようになっていた。

 日本の教育、そして日本の学校というものには未だ大きな課題が残っている。学生のみならず、教師や学校を取り巻く環境、保護者など、変わらなければならないことはたくさんある。しかし、毎日当たり前のように過ごしていると、そのことが当たり前になってくる。おかしいなと思うこともなく、ただただ毎日を過ごすだけに。

 ”当たり前を疑う”

 坂本や加賀、そして白の会のメンバーはこのことを自らの人生をかけて全国へと訴えた。そのことがたくさんの人の心へと届くように……。

takuma.o『30日間の革命』 <完>

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