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30日間の革命 #毎日小説24日目

 そこには、見知らぬ顔の二人と加賀がいるだけだった。馬場の想定では、坂本もこの場にいるはずだったが、坂本の姿は見当たらない。そして、この二人は誰なんだ。そんな思いがけぬ事態に、馬場は少し混乱していた。

 「お、馬場君も来たね。それじゃ、始めよっか」

 加賀は、皆がそろったことを確認して話し始めた。

 「ちょっと待ってください。すいませんが、まずこちらのお二人はどなたですか?」

 馬場は話をさえぎり、加賀に説明を求めた。

 「そっか、みんなは初対面だよね。なら最初にちょっとだけ紹介しようか」

 そうして加賀は、まずここに集まった人の紹介を始めた。

 「まず、今質問をしてくれたのは1年の馬場君だ。そして、隣にいるのが、2年の手崎さん。そして、その隣が3年の神原君。全員俺が声をかけて、今日ここに集まってもらったんだ」

 そして、ひと呼吸おいてから覚悟をもった表情で話し口を開いた。

 「回りくどいのはやめて、結論から言うね。みんなには、これからこの学校で革命を起こすためのメンバーになってほしいと思ってる」

 またしても馬場の想定外の出来事だった。加賀が自分以外の人にもコンタクトをとっていたことは知っていた。しかし、最終的に1人に絞り込むものだと思っていたのだ。まさか、自分以外の人もこの場に呼ばれることは想像もしていなかった。

 事実、加賀自身も当初は一人に絞って話をする予定だった。坂本からも主要メンバーはあと一人必要と言われていたので、それに反することになる。でも、加賀は全員と話し、それぞれの特徴を考慮して、全員の力が必要だと判断しこの決断に至った。

 「……あの、すいません。革命って何ですか? 文化祭で何かやるんですか?」

 最初に口を開いたのは神原だった。

 「もしかして、生徒会で何か企画でもやるんですか?」

 続いて手崎も質問をした。当然、神原と手崎は、革命という言葉を聞いても今ひとつぴんとこなかった。加賀は生徒会の副会長なので、何か学校のイベントや催し物をやるんだろう程度にしか思えなかった。

 しかし、馬場は違った。呼ばれたのが自分以外にもいたことにも驚いていたが、まさか革命という言葉が出てくるとは思わなかった。坂本が考えていたのは、自分では到底思いつくことのできない、とんでもないことだったのだ。少しでも坂本に近づいたと思っていた馬場は、まだはるか先に坂本がいることを悟った。

 「まあ、確かにいきなり革命って言われても分からないよね。ただこれから話すことは、文化祭とかイベントとかの遊びじゃなくて、大真面目なことだから。そのつもりで聞いてほしい」

 加賀がいつもと違う雰囲気であることを、神原と手崎は感じていた。そして、これが二人の人生を大きく変えてしまうことを、この時はまだ知る由もなかったーー


▼30日間の革命 1日目~22日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

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