美しいコードよりもたいせつなこと。
こんにちは。ninaru編集部の石川です。
私たちエバーセンスは、妊娠、出産、子育てに関わる人をサポートするプロダクト「ninaru」シリーズを作っています。ユーザーのために"いいものづくり"を徹底するのはもちろんのこと、エバーセンスには「幸せの最大公約数をとる」という行動指針があります。
幸せの最大公約数をとる
ユーザー、クライアント、仲間、家族、自分。ステークホルダー全員の幸せを考える。偏らず、二律背反を実現する。
今回はエンジニアマネージャーの竹尾にインタビュー。SIer、渋谷ミドルベンチャーを経てエバーセンスにきた理由と、「幸せの最大公約数をとる」難しさを教えてもらいました。
<プロフィール>
竹尾 広章
株式会社エバーセンス エンジニアマネージャー。新卒で広告営業に携わった後、IT業界へ。SIerを経てベンチャー企業で約7年間toCサービスの開発とマネジメントを経験する。新たな組織での挑戦と"いいものづくり "のできる環境を求めて、2018年8月にエバーセンス入社。ジョギング好きな2児のパパ。
「ユーザーが満足してないもの」をつくるのが嫌になった
ー 今日はよろしくお願いします!まず、今までの経歴について簡単に教えてください。
よろしくお願いします!SIerでシステム開発に携わったのが、ぼくのエンジニア人生のはじまりです。その後、渋谷のベンチャーに転職して、2年半ほどゲーム開発会社に出向しました。戻ってきてからは、人材系のWebサービスの開発を担当していました。その間に、気づくとチームリーダーに、そして部長になっていました。部長時代は、だいたい40人くらいのメンバーがいました。
ー ありがとうございます。ではエバーセンスに転職したきっかけは何だったのですか?
前職で一緒だった木村さんから「エバーセンスなら今より平和な生き方ができますよ」って連絡がきてしまいまして(笑)。
ー ああ、そういえばきむにぃさん(エバーセンスの元エンジニア)からの紹介でしたね!
給料は悪くないし、少しは手を動かせていたし、別に積極的に転職しようとは思っていなかったんですよ。ただ、部長は労務のような仕事が多くて、仕事を辞めたがる人をなだめたり話し合ったりすることがメインになってきて、それが嫌になっていました。ハードに働くことがライフスタイルとあわなくなってきたというのもありますね。
ー そんなにハードだったんですね。
そうですね、僕だけではなくみんなハードに働いていました。
子供が生まれる前は、家にいる日数の方が少ない月が平気でありましたね。たまに早く帰っても、夜にアラートが鳴って呼び出されてタクシーで出社とか。だから家庭が崩壊して離職する人が多かったです。
子供ができてからは立場も上になったので働き方をコントロールできるようになりましたが、とはいえ21時、22時まで働くのが普通でしたね。
ー それはすごい…では転職した理由は働き方の面が大きいですか?
それもありますが、他にも理由がいくつかあります。
まず1つ目は、前職ではチャレンジングなことができなかったからです。前職では仕事がルーチン化して新しいことができなくなっていましたが、僕、基本的に飽きっぽくて同じことをやってられないんですよ。
1000人くらいのミドルベンチャーで部長になっても、組織がすでにできあがっていて、誰が何を言おうが変わらないんですよね。それが面白くなくって。自分で変えられるし、変わっていくという環境の方が刺激的だなと。
ー なるほど、確かにエバーセンスは常に変化してますね。
あと、渋谷ベンチャー界隈独特の「殺伐とした感じ」がしんどくなってきたのもあります。
とにかく「ビジネス拡大と成長」が最優先で、20代のころはそれがけっこう楽しかったりしたんです。「色々なものをすべて捨てても、拡大・成長してやる!」っていう割り切りが。でも、年を取ったせいなのか、あの感じをずっと見ているのがつらくなってきました。
僕自身が長く経験を積んできたこともあって、あの環境に居続けてもこれ以上成長できないなぁと感じたのも大きいですね。
ーなるほど。他にも理由があるんでしょうか?
これが1番大きい理由なんですが、「ユーザーが満足してないもの」をつくるのが嫌になったんです。
「ユーザーは満足してないけどビジネスとして正しい」ことを仕事にしていることを感じていました。実はこれは前職に限らず、その前のSIer時代もそうでした。
でも次第に「自分だったら使わないな」と思うものを、ビジネス的に合ってるから、お金になるから作っていることに対する違和感が強くなっていました。
「ビジネス的に正しいこと」が正義なのだろうか?
ー なるほど。では竹尾さんにとって"いいものづくり”ってなんでしょうか?
エンジニア目線で言うならば、"いいものづくり"は、自分たちが気持ちいい美しいコードを書くことではなくて、ユーザーにとって価値のあるものを作ることだと思います。ただ、価値を感じてもらえるユーザーの数は、多ければ多いほどいいですよね。
前職でビジネス面を見ていて痛感したのは、どんなにユーザー満足度を高めても、結局使ってくれるユーザーの数が少なくてはビジネスとして成立しないということです。やっぱり多くの人に使ってもらわなければ、作る意味がない。
ー たしかに。そうですね。
でも、より多くのユーザーに使ってもらおうと「ビジネス拡大」を最優先すると、今度はユーザビリティが悪くなるんですよね。
ビジネスといいものづくりのバランスの問題が、ここが前職で1番葛藤したところです。
ーなるほど。その経験をもう少し詳しく教えてください。
前職では求人サイトを作っていました。ユーザー目線で考えると、丁寧につくられた説明ページがあって、それを読んで納得した上で転職するのが理想ですよね。ただ実際のところ、求人サイトって「集客装置」なんです。サイトに流入したユーザーが転職してくれることがゴール。
前職では転職してくれるユーザーの数を増やすには、「とにかく営業に会わせて転職してもらうこと」が最短ルートでした。そのために僕が携わっていた求人サイトに求められる役割は「営業に会わせる人数を増やすこと」になりました。
ーその理屈だと、たしかにそうなりますね。
だから、僕が携わった求人サイトは、ユーザーに満足してもらう必要はなかったんです。とにかく人を集めることが大事で、極論するとユーザーの満足度はどうでもよかった。
ビジネスとして考えるとめちゃくちゃ正しいのは分かるけど、プロダクトは頑張らなくていいとなると、自分は何を作ればいいんだろう?ともやもやしていました。
ユーザーのことを考えると、使いやすくて、納得して転職するための求人サイトをつくりたい。でもビジネス的には、その考え方はむしろ邪魔になることもある。
ものづくりしている側とビジネス側との解離がありました。
ー なるほど。そういうジレンマは、SIer時代にも感じていましたか?
そうですね、それがSIerを辞めた理由でもありました。
すでに納品されたシステムの保守運用を担当したとき、ユーザーが使う現場を見させてもらったことがあるんですが、けっこうな数の問い合わせが来るんです。「これってどうやって使うの?」「どうやればできるの?」とか。結局大事な部分は僕たちがつくったシステムを使わずに運用していることも知って、「あぁ、僕らのシステムって、半分くらい意味ないんだ」って思いました。
開発では、「偉い人が好むものを作る」のが仕事でした。でも、実際に使うのは偉い人じゃなかった。システムを使う社員にとって使い勝手の悪いものであっても、偉い人は「安いものを作れ」と言ってくる。その現実をみてすごくモヤモヤしていました。
ちゃんとユーザーのためになる、ユーザーが使って気持ちいいものを作りたいなと思って、toCサービスの開発ができる会社に転職したんですが、なかなか理想通りにはいかなかったですね。
ここには"いいものづくり”に集中できる環境があった
▲新アプリ「ninaruポッケ」の開発完了時の写真。スクラム開発で使った付箋を記念にみんなで投げています。楽しそう。
ー 竹尾さんが前職までで抱いてた違和感がよくわかりました。では、エバーセンスを選んだ一番の理由はなんですか?
1番は、ちゃんとユーザーに使われて、愛されているプロダクトをもっていたこと。しかもアプリのレビュー平均4.9(ninaru)というユーザー評価の高いものを作り続けられるところは、なかなかないです。それも、収益をしっかり出しながらですからね。
それと、僕のライフステージと事業ドメインがマッチしたことも大きいです。声をかけてもらったのが、上の子が2歳のときで。プロダクト開発でやらないといけないことと、自分がプライベートやらなければならないことが重なっていました。
やっぱり、自分ごとと捉えてものづくりができるのは大きいですよね。
▲私たちのサービス「ninaru」について詳しくはこちらのnoteに書いてあります。
ー たしかに、子供が生まれたことがきっかけで転職しているメンバーは多いですね。エバーセンスに入って1番驚いたことはなんですか?
1番驚いたのは、あだ名で呼ばれることですね(笑)。そんな環境は社会人になって一度もなかったので。
仕事の面で驚いたのは、ちゃんと仕組みがあったことです。たとえば、サーバーを管理するとかデータを移行するとか、「この手順でこのツールを使えばできる」という仕組みが、ちゃんとできてるなと思いました。
前職では、「データ移行しなければならない」となっても、具体的なやりかたは毎回ゼロから考える状態でした。いつも属人化に属人化を重ねていたので、隣の事業部で起きた問題に似たことが起こっても、解決するスキームができてなかったんです。一度は実行できても、その担当者がいなくなったらまたそのノウハウが完全に失われてゼロに戻る、という環境でした。
ー 仕組み化されていると、効率的ですよね。
そうですね。とにかく前進することだけに力を入れられるのがいいです。無駄なことを考えず、ものづくりに集中できるのは本当に大きい。
属人化していないので、たとえその人が急にいなくなっても何とか回せるのは安心感が違います。
ーその他にも、今までの会社と違うなと思う部分はありますか?
エンジニアでも、プロダクトに対して意見しやすいことですかね。UI/UXとか、メッセージとか、デザイナーやMP(メディアプロデューサー)の専門分野にも、意見することができます。メンバーみんなで一緒にものづくりをしていると思います。
あとは、基本的に変化し続けているのもいいですね。組織の仕組みやルールが都度都度変わっていく。「どうせ言っても変わらないし」っていう諦めがなく、どう変えていこうかとチャレンジできる環境なのが良いと思います。
「ポジティブなレビューばかり」の嬉しさと難しさ
▲弊社のSlackには、アプリのストアに届いたレビューが見れるチャンネルがあります。これを読んでいつも頑張っています。ありがとうございます。
ー エバーセンスのプロダクトはありがたいことに良いレビューがたくさん届きますが、それを見たときはどう思いましたか?
正直に言うと、最初は違和感しかなかったですね(笑)。
ーえ、意外です!嬉しいって答えが返ってくると思ってました(笑)。
僕がこれまで見てきたユーザーのフィードバックは、ネガティブな声ばかりでしたから。ポジティブな意見は1,000件に1件くらい。ほとんど恫喝に近いメッセージしかこないプロダクトもありましたね。
先輩からは「レビューにいちいち反応すると心がもたないよ」って教えられて、なるべく意見は聞かないようにしましょう、と言われてきました。人は悪いことや嫌なことは言うけど、良いことをわざわざ言わない生き物。だから、悪いレビューしかこないのが普通だと習ってました。
ーたしかに…ポジティブな言葉ばかりをいただくことに慣れてしまっていますが、本当はとても珍しいことなのかもしれませんね。
そうですね。「嬉しい」という感情が生まれるまで、半年くらいかかりました(笑)。
レビューしてくださるのも嬉しいですが、UGCがあるのも嬉しいですね。ユーザーがちゃんと使ってくれてるんだなと思うし、僕たちが提供しているものが間違っていないんだなと実感できます。
ー そうですね。私もユーザーの声をSNSで見かけると嬉しいです。
でも敢えてネガティブな言い方をすると、良いレビューしかこないので何を改善したらいいか分からないのが、難しい部分ではありますよね。
山ほど悪いフィードバックが来て、「確かにな」と思う部分を改修する、という方法ができない。でも、どこにもひとつも不満がないなんてことはないはずで。それは開発における課題かなと思います。
求む、やる気に満ちあふれすぎて困っているエンジニア
ー エンジニア的に、エバーセンスのいいところはどこだと思いますか?
小さい組織なので、なんでもできることですかね。技術的なチャレンジもしやすいし、ルールがガチガチに決まっているわけではないから自由に変えられる。色々なことに挑戦できるのがいいところだと思います。
ー ここまでエバーセンスの良いところばかり話していますが…課題に感じる部分はありますか?
うーん…ビジネス拡大だけを第一に目指しているわけではないので、見え方によっては会社が停滞しているように感じるかもしれないところでしょうか。
メンバーに対して、会社が着実に前進していることを伝えるのが難しいことがありますね。
ー たしかに、粛々といいものづくりに向き合える人じゃないと厳しいかもしれないですね。エンジニアチームとしての課題はありますか?
どうしても同じようなタイプの人が増えてきて、成長がゆるくなってしまうのが課題です。「なんでもやります!」とめちゃくちゃ頑張る人が1人いると、「自分も負けないぞ」と周りも成長できるので、そういう人が加わってくれたらいいなぁと思っています。
スキルはあるに越したことはないけれど、それよりとにかくやる気。やる気が満ちあふれすぎて困っているくらいの人と一緒に、いいものづくりをしていきたいですね。
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