千夜ねこ

シナリオライター/webライター/写真

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【創作大賞2024・漫画原作部門】大庭博士の発明品と鏡味社長の日常 2話

第二話:悪魔の退職代行 ○鏡味家・ダイニング・中(夜) ダイニングテーブルにゆかりが座っている。 テーブルの上にはビールの缶と取り皿。 美樹子、テーブルの上に揚げ物が大量 に乗った皿を置く。 ゆかり「おお、見事に揚げ物しかない」 美樹子「文句言うなら食べなくてよろしい」 ゆかり、両手を合わせて、 ゆかり「喜んでいただきます」 美樹子、席につく。 美樹子「では、乾杯」 美樹子、ゆかり、ビールの缶を開け飲む。 ゆかり「あー、美味しい」 ゆかり、唐揚げを取り皿に置く。 ゆかり「

    • 【創作大賞2024・漫画原作部門】大庭博士の発明品と鏡味社長の日常 1話

      あらすじ 鏡味美樹子(30)はITベンチャー企業の社長。彼女の幼馴染、大庭ゆかり(30)はいわゆる博士。どんなものでも作ってしまう天才だ。 美樹子は、幼い頃からなんとも説明できない生きづらさを抱えていた。社会に出てもあまりうまくいかず、新卒で入った会社を一瞬で退職。自暴自棄になっていたころにゆかりからアドバイスと発明品をもらい背中を押され起業。 ゆかりは「神童」と言われるほど子供の頃から頭が良かった。ゆかりが唯一心を開いていたのが美樹子。子供の頃に「ゆかりちゃんの発明

      • 【少年マガジン原作大賞/漫画企画書】ようこそ異世界食堂へ

        キャッチコピー これは、魂と魂を繋ぐ料理の物語 あらすじ 警視庁公安部に勤める真白結希(29)は2年前に妻、彩夏を不審死で亡くしていた。以来、公安部の仕事に従事しながらも、妻の死について原因と犯人を究明しようと動いていた。 ある夜、真白はあの世とこの世を繋ぐ「異世界食堂」と、そこで働く居神玲(33)と出会う。そこで彩夏の手料理を口にし、涙を流すのだった。 次の日、上長に呼ばれる真白。呼ばれた先にいたのは居神。居神はあの世での手続きや問題を解決する「天界省」の役人で「異世

        • 【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』あらすじ

          音楽高校に通う小瀬希夢は芸術高校のピアノ科に所属する高校3年生。成績は常に底辺で、高校2年生までに結果が出なかったため音大への進学をやめようとしていた。ところが3年生になった春、『天才』『悪魔』などと呼ばれるバイオリン科の結城遥から「暇そうだから」という理由でコンクールの伴奏を依頼される。 一度断る小瀬だが、結城の演奏を聴き感動してしまう。ここまで人を感動させる音楽を目指したことはあったか、と悔しさのあまり伴奏を引き受けることに。そして、結城との練習を重ねるうちに最高の音楽

        【創作大賞2024・漫画原作部門】大庭博士の発明品と鏡味社長の日常 2話

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』3話

          ■都立芸術高等学校・屋上 パンをかじる羽田と弁当をつつく小瀬。 羽田「合宿お疲れさん」 小瀬「暗譜したんじゃないかってくらい弾いた」 羽田「レベルアップだな!」 小瀬「呑気だな…そういえば康平はオーディション出るのか?」 羽田「一応な、俺は大学は楽理に行きたいからめっちゃ出たいってわけじゃないけど、まあ演奏を評価してもらえるいい機会だからな」 小瀬「そっか…やっぱみんな出るんだな…」 羽田「そりゃそうだろ?この連休だってきっとみんな血眼になって練習してたと思うぞ」 もぐもぐと

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』3話

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』2話

          ■小瀬家・キッチン・中(夜)(回想) キッチンの中を覗く小瀬。 中では小瀬恵子(45)が野菜を切っている。 小瀬「母さん、俺明日から合宿だからしばらくご飯いらない」 恵子、手を止め、 恵子「あら、そうなの?じゃあ手土産必要ね」 包丁を置き、棚を開ける恵子 ■結城家・ダイニング・中(夜) ダイニングテーブルに箱を置く小瀬。パッケージには『切腹最中』の文字。 小瀬「というわけでこちら『切腹最中』です」 結城「…忠臣蔵?」 ■空(夜) 月が出ている。 ■結城家・ダイニング・中

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』2話

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』1話

          ■ホールロビー ロビー前の看板には「ピアノコンクール会場」と書かれている。 にぎわうロビーで『小瀬真希、予選落ち』と書かれた紙を見つめる小瀬真希(17)。 モノローグ<例えばヒーローとか、いっそヴィランでもいい。何か特別な、何者かになってみたかった> 小瀬、紙をくしゃくしゃと丸めて鞄にしまい出口に向かって歩き出す。 モノローグ<凡人なら凡人らしく生きていく、あの日俺は誓った> ■電車・中(朝) 扉横に寄りかかり、外を見つめる小瀬。耳にはイヤホンをしている。 目の前では高校生

          【マガジン原作大賞 連載部門】『遥かなプレリュード』1話

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』 あらすじ

          舞台は、政府から全ての国民に、人工知能『ウミ』が搭載されたスマホ端末が支給されている2055年の地球。 『ウミ』によって分析されたデータにより、国民は様々なことにマッチング可能となった。そして、離職率や離婚率は低下。不自由なく暮らすことが可能な世界が実現した。 楠田優樹(30)は就活に失敗して以来、ニートとして日々暮らしていた。楠田は出版関係の仕事に就きたかったが適性がなかったため受からなかったのだ。しかしある日、楠田は『ウミ』から「小説家の適性がある」と告げられる。戸惑う

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』 あらすじ

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』

          ○楠田家・外観(朝) 木造の古いアパート。 『楠田』と表札の入ったポスト。 チラシが溢れている。 ○楠田家・中(朝) ワンルームの部屋。 廊下や部屋にはゴミ袋が落ちている。 壁にかかったカレンダーには『2055年5月』と書かれている。 「ピピピ」というアラームの音。 楠田優樹(30)がジャージで布団に横たわり、目を閉じたまま、眉に皺を寄せている。楠田、飛び起きる。 楠田「うるさい!アラーム停止!」 隣の部屋から「ドン」と壁を叩く音がする。アラームが止まる。

          【ジャンププラス原作大賞 読切部門】『道しるべ』