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仕事選びの条件と日印間の感覚差 (印度滞在録#7)

(2018年夏に、会社の海外派遣プログラムで、インドのプネにある環境NGOでインターンしていた際の滞在録です。現地での体験や、日頃の気づきなどを、ゆるゆると綴っています)
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インド人同僚への奇妙な質問行為が、いつしか”Eureka's Question Time”として定例化してきたある昼休み。「仕事を選ぶ上での条件」について聞いてみた。

すると、即答で「job description and salary」と返ってきた。
「普通すぎてネタにならないじゃん」という言葉を呑み、一度回答を反芻してみる。

仕事を、「働いて対価を得る」ことと捉えると、なるほど「業務の内容(job description)」と、「対価の多寡」を重視するのは当然だ。

当然だが、いざ自分の感覚と照合すると、若干違和感を覚えるのだ。
違和感が何に起因するか、考えてみると、日本の就活観念でないかと思う。

日本の新卒採用では、入社後配属未定・部署異動も基本前提となる為、そもそもjob descriptionはないも同然である。企業も青田刈りの目的を即戦力とは考えていないし、学生も然りだ。

では、本人スキルと入社後業務の関連性が希薄な中、何が就職志望動機として掲げられるか。それは、「企業理念」・「社風」・「人」等、対業務でなく、対会社(company description)に関する内容である。

世界的に見れば、特殊なのは日本の方かもしれないが、それに慣れた自分には、インド人同僚のある種素気ない回答が新鮮にも感じた。

さて、ここで留意すべきは、美辞麗句で飾られる日本の就職動機とは異なり、海外では、得てして各自仕事に対して求める条件が非常に明確であるという点だ。会社への帰属意識も日本ほど強くなく、キャリアを優先した転職も当たり前である。

そのような状況の中、海外の人的資源管理(人財確保・定着・育成)で最大限効果を発揮するには、各地社員の価値観を念頭に置いた施策を講じる必要がある。

人材確保の為に、本当は本人の能力にマッチしたやりがいのある仕事と、それに見合った待遇を準備すべき所を、オフィスのIT化推進と社員行事拡充に多大な資本を投じていたとすれば、的外れな努力となりかねない。

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以 上

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