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多民族・多宗教国家であるということ (インド滞在録#8)

(2018年夏に、会社の海外派遣プログラムで、インドのプネにある環境NGOでインターンしていた際の滞在録です。現地での体験や、日頃の気づきなどを、ゆるゆると綴っています)

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多民族・多宗教国家であるインドを形容する標語に、「unity in diversity」というものがある。インド人であれば、誰もが聞いたことのあるフレーズだ。

写真は、プネから車で5~6時間ほどの所にある、エローラの遺跡群の写真だ。を掘って作られたという石窟寺院は、圧巻の一言である。

注目したいのは、同敷地内にヒンズー教と仏教二つの神が祭られている点である。紀元前の時代から、複数宗教の共存・共栄が許されてきた、インドの文化的寛容さが伺える。

ところで、公園で知り合ったおじいさんと会話していた時のこと。戦争の話になり、彼が、「近年の戦争は、我が(国)、我が(宗教)、と全て自己中心的な動機の衝突によって起きている」と発言した。

続けて、「人間は生きてもせいぜい100年単位。我々は人間(people)ではなく、人類(humankind)としての自覚を持たなくてはならない」といった趣旨のことを言っていた。

失礼だが、郊外の公園で、所在なげに日向ぼっこをするおじいさんから出てくる言葉とは思えない思慮深さである。

しかし、軽い雑談でも、こういった言葉がで口を衝いて出るのは、「unity in diversity」の思想が、個人レベルの実感としてあるからこそではないだろうか。

まさに、旧来の国・宗教・言語等の枠組みすらを超え、無数の価値観が融合・交錯する現代世界。このような思考は、どこにおいても、今後個人が血肉化できなくてはならないだろう。

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以 上


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