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2024(令和六)年2月「始め無く終り無き理」

私小説『地球学徒の日記』

 この作品は、夢小説『スタウロライト 十字石の追憶』の外伝です。登場人物は本篇と同じですが、こちらは現実世界の日本国内(令和時代)を舞台とし、実在の事象を題材にしております。本篇と併せて、お楽しみ頂ければ幸いです。



2024(令和六)年2月
「始め無く終り無き理」

 デジタルアートセンター系列事業所を利用している人々は、制作活動に関するオンライン講座を受講できるのですが、先日1月29日(月曜)は、そこでお世話になってきた鮭泥まぐま先生の最終配信でした。小説の書き方から、最近話題の生成AIに至るまで、色々な議論を勉強させて頂きました。

「いつかまた、お声を拝聴したいと思います。ありがとう御座いました!」

 晩冬2月(如月)になりました。2月のアルファベットFebruaryには「罪を清める祭り」という意味があります。

 2月の誕生石と言えば紫水晶アメジストですが、その文化史は古く、バビロニア(南メソポタミア)文明や『聖書』の時代から2月の宝石だったようです。アメジストは、ギリシャ・ローマ神話の精霊ニンフから生まれたと言われ、その紫色が神秘的なイメージを連想させるため、古代エジプトなど多くの文化圏で尊ばれ、ユダヤ・キリスト教の聖職者が身に付けていました。特にキリスト教会で司教の指輪に用いられ、バレンタインとも縁ある愛・希望の石です。

ヒジリ
ヒジリ
「現在はブラジルなどで採掘されておりますが、
ブラジルもキリスト教(特にカトリック教会)が盛んな国ですね」

 アメジストの美しい紫は、中に含まれる鉄イオンの作用による発色ですが、直射日光などの熱に当たり続けると、色が変わります。この性質を利用して、意図的に加熱して変色させ、黄水晶シトリンとして販売する事もあるようです。


2月10日(土曜)『法華経』に学ぶ

東京 大田区 大森 池上町
東京 大田区 大森 池上町

 この日、メグミさん達は、東アジアの代表的な古典『法華経』(妙法蓮華経)を学ぶ講座に参加しました。

 釈尊(仏陀)の没後、その思想を文章に纒める仏典結集が行なわれ、当時のインドの言葉であるサンスクリット語(梵語)で書かれた「梵本」が制作されました。それらの教えの中で、他者の救済を重視するのが大乗仏教であり、ヒンドゥー教などの多神教と融合しながら中華・朝鮮・日本に伝わりました。その際、大乗仏教の考えを記した経典は、いずれも中華で漢訳されてから日本に届いたので、私達は「仏教=漢字」というイメージを抱いています。これら大乗仏典の中で、最も有名とも言えるのが『法華経』です。

 『法華経』の原典である梵本は、紀元前後の頃に書かれたと考えられ、現存する梵本は、チベット・ネパールなどで発見されています。中華では、それを漢訳する試みが何度か行なわれましたが、最も有名なのは、5世紀に鳩摩羅什くまらじゅうという僧侶によって訳された『妙法蓮華経』です。

 当時の中華、その北部の黄河を中心とする華北地方は、漢民族・モンゴル人・チベット人らが入り乱れ、数多の国々が興亡を繰り返す五胡十六国時代でした。その中に、チベット遊牧民が建てた後秦帝国(384~417)という国がありました。西域(新疆地方)出身の僧侶である鳩摩羅什は、後秦に招待されて首都の長安(陝西省 長安市)に移り住み、406(弘始八)年に『妙法蓮華経』を漢訳しました。インドには、法華経が「北東の国々を照らす光」であるとの伝承があり、その言葉通り、妙法蓮華経は東方の国…即ち日本へと伝来し、聖徳太子らに読まれる事となったのです。これらの仏典は、日本最古の印刷物でもあるそうです。

メグミ
メグミ
「『法華経』には何が書かれているのか、 一緒に読んでみよう!」

 『法華経』に説かれている思想、それは「時空を超越した永遠(無始無終)の真理」を信ずる生き方です。伝統的な仏教には、やや女性差別的な考えも見られますが、それに対して法華経は、女性や悪人も幸せになれるという立場を示しているので、生まれ育ちを問わず多くの人々に読まれました。我が国においても、日本で最も多く読まれた経典と言われており、政治家の聖徳太子、宗教家の最澄・道元・日蓮、作家の宮沢賢治など、法華経の思想に生きた歴史上の偉人も少なくありません。

ヒジリ
「…なるほど、勉強になりますね」

 講座の後、隣の公民館で「キーマビリヤニ」を頂いたり、大本山菩提寺に登って修行体験に参加したりと、充実した休日を過ごせました。


2月15日(木曜)釈尊涅槃会

 それから数日後…本日は釈尊の命日(紀元前383年頃)で、その法要である「涅槃ねはん」が、全国の寺院で執り行なわれます。メグミさんが参詣している大本山菩提寺でも、本殿(釈迦堂)にて涅槃会が営まれました。

メグミ
「あ、あの絵は…」

 本殿には、釈尊の最期を描いた絵画『涅槃図』が飾られていました。涅槃図は「天地の神々・弟子・動物らが駆け付け、臨終の釈尊を見舞う」というテーマで描かれた仏教美術であり、日本では平安時代以来、多くの寺院で描かれてきました。

 法事ですので、僧侶の方々が先頭で経文を読誦どくじゅされます。参列したメグミさんも、それらを一緒に読もうと張り切っていました。

 こうして法要を終えた後、帰る前に折角の機会なので、大本山の「お休み処」で蕎麦を頂きました。

メグミ
「今日は、とても素敵な日になったよ! 仏様、ありがとう御座いました!」

 翌16日(金曜)にも、大堂で「宗祖御降誕会」が行なわれました。


 2月18日(日曜)は、新宿区四谷で梨木つむぎ様らのライブコンサート「STEP UP STAGE TOKYO」がありました。今回は、オンライン配信による視聴も可能でした。


2月22日(木曜)呑川定例会

大田区 蒲田 矢口町 蓮沼
大田区 蒲田 矢口町 蓮沼

 今月も蓮沼小学校(触れ合い蓮沼)において、郷土の河川を探究・保全する「呑川の会」の月例会があり、アキさん達も久々に参加する事ができました。都市河川は、蓋をされて地上からは見えない地下水路(暗渠)になる事もありますが、その流れに沿った地上の道路に桜並木が植樹されるなど、川としての姿を変えながらも、その水は私達の街を流れ続けています。

アキ
アキ
「最近、多忙で時間を取れなかったけど、 今日は久々に出席できたわ」

2月23日(金曜)天長節の池袋

 本日は、令和天長節(天皇誕生日)です。

東京 豊島区
東京 豊島区

 今週末は、土曜が休日の人にとっては三連休になるため、瀬戸内地方など遠方から東京へと遊びに来る人がおりました。

サギハラ
サギハラ
「…と言うわけで、遊びに来たよ~!」
ネネカ
ネネカ
「サギハラちゃん、今回も宜しくね!」

 私達は、秋葉原または池袋駅で集合し、目当ての飲食店へと向かう事になりました。

 池袋では丁度、携帯ゲームのコラボカフェが開催されていたので、私達はそこに向かい、限定グッズ付きのココアや拉麺などを注文しました。


2月25日(日曜)梅祭の果てに

東京 蒲田町
東京 蒲田町

 日曜日、ヒジリお姉ちゃん達は地元の教会に向かい、聖日礼拝で『新約聖書』などを読みました。

ヒジリ
「今月末(31日)は、いよいよ復活祭イースターですね」

 復活祭では、聖歌隊の人々が讃美歌を歌うのですが、そのための練習を事前にしておく必要があります。皆で合唱を練習するなんて、高校までの音楽授業を思い出しますね…。

 解散後、近くの蒲田駅前で拉麺を頂いてから帰路に就きました。如月も暮れ、雨音の響く日曜でした。

ヒジリ
「人生は旅であり、私達は旅人である…新約聖書には、そんな事も書かれています」



2024(令和六)年3月4日(月曜)
デジタルDアートAセンターC横浜(アキラ


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