子どもを発育センターに連れていった話
以前、子どもの発達について悩むことがあって、区役所に相談しに行ったことがある。発育が遅れているとかではなく、その逆。もしかしたら可能性として高度性の知能障害があるかもしれないので、発育センターに行ってみてとのことだった。
結局、障害的なものはなにもなかったことが分かったけれど、年中さんなのに小学校低・中学年レベルの問題が解けていることがわかった。それって別に悪いことではないんだけれど、子どもにとってしんどいことって多いだろうなあって思って。わたし自身、幼少期がそんな感じだったし、わたしと彼女は気質や考え方が似ている部分が多いから、やっぱりなっていう感じだった。
身体や脳の発達は年相応なのに、知能の部分だけめちゃくちゃ発育が早い。それってどういうことかっていうと、自分の中の凸凹のギャップが他の子よりも大きいということ。落差が他の子に比べて大きい、ということ。それって、わたしも幼少期がそうだったからわかるんだけど、結構しんどいことなんだよね。
自分自身の内側にあるギャップを自分で認識しているし、それで高すぎる目標や理想をかかげてしまって、でも身体的能力や感情コントロールの部分はその目標や理想に追いつかなくて焦ってしまったり、「自分はダメだ」とか、不甲斐なさや葛藤を抱えやすく、落ち込んだり自分を責めてしまうことが多いということ。自己受容や自己肯定感が下がりやすくなるんだよね。本当は、年相応でなんの問題もないし、なんなら他の子よりもできていることの方が多いのに。
上ばかり見てしまうと、疲れてしまう。それはわたしも人生の中でずっと感じてきたこと。上を見ることも大切なんだけれど、自分とあまりにもかけ離れた "上" と自分を比べてしまうのは、自分が苦しくなるだけなんだよね。例えば、うちの子の場合だったら、小学校低・中学年のお姉さんたちや、大人と自分を比較しているんだよなって感じることが多い。でも、年中さんなんだから、そこと比べること自体がそもそも自分に厳しすぎるし、ムリだよって話なわけで。
だから、下を見ることの大切さや、大人だって全然できないこと、苦手なこと、うまくできないことってたくさんあって、葛藤したり、悩んだり、落ち込んだりすることがあるんだよっていうのを意識的に伝えている。そうすると、彼女も「そっか。みんなそうんなんだ。大人の人もそうなんだ」って、少し落ち着く様子が見られる。でも、これは大人だって同じなんだよね。
さらに、発育センターで子どもはHSCの気質が強いことも指摘された。それも、子どもが赤ちゃんくらいのときから「そうじゃないかな」って思っていたこと。わたし自身もそうだったから。でも、それを専門家の方に説明してもらって、自分の中でも背中を押してもらったというか「やっぱりそうだったんだな」って安心感が大きかった。
その時、発育の先生に言われたのが、「子どもの内受容感覚や副交感神経を養っていってあげることを意識してください」とのことだった。専門的な用語になるんだけれど、自律神経系を整えていく、自分の内側に安心安全の感覚を養っていく。自分が「良い」と思っていることだけではなくて、「悪い」「良くない」と思っている部分もまるっと含めて「それが自分。そんな凸凹な自分でOK」って受け入れられる力。その力を「自己受容力」と呼ぶらしい。
自己肯定感が大事、子どもの自己肯定感を育ててあげましょうって最近の子育て本にはいつも書いてあるんだけれど。自己肯定感っていうのは、まず「自己受容」ができるようになって、その土台の上に育っていくものなんだよね。最初から自己肯定感を上げていくって、実はムリな話で。自分の中の良いところだけをみて、それで自己肯定していこうとすると、結局、自分の悪いところ、良くないと思っているところ、嫌いだなって思っているところをより強く否定してしまうようになってしまう。
でも、それって自己肯定しているように見せかけて、すっごく自己否定しているんだよね。自分の良いところだけを肯定して、できないところは否定しているから。だからこそ、まず最初に養うべきなのは「自分には良いところも悪いところもある。得意なことも苦手なこともある。その全部をひっくるめて、わたしはわたしのままでOK。そんな自分が好きになれなくてもOK。そんな自分の矛盾すべてをわたしは受け入れます」っていうことなのかなって。
でも、それを大人でママのわたしができていないのに、子どもに教えていくのは到底むりな話で。そもそも、子どもっていうのは、親の言葉ではなくて親の日常の行動や言葉を見て、聞いて、感じて、吸収している。子どもは親の背中を見て育っていくんだ。
だから、わたしは意識的に、まずは自分自身の自己受容力、内受容感覚、副交感神経を整えていって、育んでいくことを意識的に今やっている。
発育センターの先生にも言われたんだけど。
「飛行機に乗っていて、緊急事態が発生して酸素マスクがおりてきたら、まずは親が自分に酸素マスクをつけないといけないんですよ。子どもに先につけようと思って、その間に親が酸欠になって倒れたりしたら、子どもも共倒れです。だから、まずは親がセルフケアをすることが大切。
大丈夫。そのつむさんの背中を、子どもさんはちゃんと見てるから。そうして、『大変なとき、つらいときは、自分のケアを優先して良いんだな。自己犠牲する必要はないんだな』って思えるようになる。それが将来的に、子どもさんが共依存的なよくない恋愛関係にハマっちゃったり、逆に相手を力でコントロールしようとする反対の意味での依存に陥ることを防げるようになるから。
それにね。つむさんがそうやって自分自身を癒していこうとする姿、ちゃんとありのまま、子どもさんに伝えてあげてください。賢いし、敏感な子だから、きっといろいろ既に気づいている。だから、ありのままに話していいと思います。そのお母さんの姿を見て、彼女自身も『自分がつらいとき、しんどいときは、こんな風にすればいいんだな』って学んでいくから。それが、この先の長い人生の中で、彼女にとってのかけがえのない宝になります。」
その言葉に、わたしは本当に心から救われたんだよな。
わたしのためが、子どものためになるし。子どものためを思うからこそ、まずはわたしがわたしのためにやっていくことが大切。
難しい決断だったけれど。
今も、まったく悩んだり揺らぐことがないかと言われると嘘になるけれど。
それでも。
こうしてたくさんの人に背中を押してもらえることで、「大丈夫」の感覚が少しずつ増えていった。
子どもも、親も、ゆっくり一緒に育っていけばいいよね。
人生長いんだから。
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