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救急外来での学生ボランティア

7月から始まった夏休み

私の大学では、4年生の夏休み中に1ヶ月間外科での病院実習をしなければいけない

とはいえ、外国籍の学生は実習に行ったところで先生やナース達には邪険に扱われる(もちろん例外的にすごく良い先生方もいらっしゃる)

私の担当の先生は最初の2週間は夏休みだと言われた

とてつもなく暇な始まりだ

毎朝とりあえず手術室に行っていくつかオペを見て適当に帰る

このままでは夏休みが無駄に終わると思い、救急科の知り合いの先生に相談した

「暇なら救急外来においでよ」そう言ってもらえた私は次の日から週に2回救急外来で学生ボランティアをすることにした

ボランティア初日、まだ救急科の授業を受けてない私は右も左もわからない状況だった

CTを読影しようにも1・2年生の時に学んだ解剖学をすっかり忘れていた

先生にこれ読んでみて と渡された心電図....読めない

あんなに勉強したのに、久しぶりに見ると読めなくなっていた

基礎すら忘れてしまっている自分がとてつもなく情けなかった


薬品のアンプルからシリンジに薬剤をうつすこともできなかった

後ろで待つ患者さん、初めて持つ本物の薬剤を前に手の震えが止まらない

なんとか注射器を用意するも初日は2本も落としてしまった

何で手が震えるのか、情けない、こんな事もできないなんて、、、

このままでは医者になれるわけがない

自分の役立たなさに家に帰ってから悔しさで泣いた

所詮ボランティアだ。2回目に行くも行かないも自分次第

「やっぱり私にはまだ出来ないので行けません」そう言って逃げることもできた

でも私は決心した

「この先生に嫌われるまで食らいついていこう!出来ないことは恥ずかしい。でも、2回目にできれば良いじゃないか!ちゃんと復習して1つずつ自分のものにしていこう!」

今まで辛いことからは逃げてきた私にとっては大きな挑戦だった


医療は特に経験してみないと分からない事がたくさんある

教科書で学んだ症例も実際に見てみたほうが印象に深く残る

CTや心電図もそう

沢山の症例を自分の目で見て学んでいく事が何よりも大事だと知った

2回目は間違わないように

家に帰ってから復習をし、動画をみて学び、心電図も基礎からやり直した


2回目のボランティアでは初めて生身の人間に心配蘇生をした

人はこんなにもあっけなく死んでしまうのか...

「生→死」の瞬間を目の当たりにしたのに「悲しい」とは違う不思議な感覚しか残らなかった

最近またコロナの感染者が増えてきて病棟は常に満室だ

そこではやはり毎日亡くなる人がいる

「今日を生きたかったのに、昨日亡くなった人がいる」

この言葉の意味がやっと理解できた

このまま毎日をダラダラ過ごしていたら、いつか絶対後悔する

毎日何か一つでも学ぼう

「今日できなかったことは明日も出来ない」

そう言い聞かせて毎日勉強しようと誓った


ボランティアを始めて2ヶ月

もう何の躊躇もなく注射も打てる

この前は患者さんに「あなた上手なのね 全然痛くなかったわ」と言ってもらえた

初めて患者さんからかけて貰った嬉しい言葉

心電図も読めるようになった

毎回何かしらで怒られてばかりだけど、どんなに挫けそうになってもこれからも私はボランティアに行き続ける

もっと沢山の症例を見て、学んで、いつかこの経験が価値あるものだったと思えるように


今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました♡



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