絵とワードの物語 『とじこめられたのは』
ガラスのなかでぷくぷくと泡が弾ける。
瓶底に生まれ、じりじりと膨らみ、ふわりと浮いては水面で弾ける様は忙しく、目も思考も飽きさせない。
「ぬるくなっちゃうよ」
つまらなそうに呟いた彼女の手には、すっかり空になった私と同じガラスの瓶が握られている。かろん、と鳴ったのは私の瓶か、彼女のビー玉か。
「いいの」
ぱち、ぱち、ぱちん。泡が膨らみ、浮かび、弾ける。
からん、かろん。ガラス玉が鳴る。
私はようやく瓶を傾ける。彼女がじいと私の口元を見つめる。
含んだ口内で、ぱちん。
浮かびきれなかった泡が潰れ、はねて、消えた。
絵 はしもとあやね ( @enayacomic )
文 ねきの( @nekino_e )
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