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絵とワードの物語 『雨に唄う』


 ばらばらばらとビニールを叩く音。
 くるくるまわる黄色のレインコートの端に合わせ口ずさみながら踊る姿をぼんやり眺めている自分がいることに、彼女は気付いているのだろうか。
 ふわり、彼女が宙に浮く。
 傘を掲げて、映画のワンシーンさながらに。
 楽しそうに雨と唄う彼女を邪魔したくないから、そうっと息を潜めるけれど、力なく垂れていた口の端が自然と持ち上がり、笑みの形になることだけは止められない。
 身体の中に溜まったいやな感情が、さあさあと流れ落ちて行くようだ。

 ああ、ぼくも飛べたらな。

 ターンを決めた彼女のつま先から、ぽたり。
 一粒の雨がこぼれ落ちた。



絵 はしもとあやね @enayacomic
文 ねきの@nekino_e


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