禍話リライト「鐘の音が聞こえる」
Aさんは子供の頃から不思議に思うことがあったという。
それは夕暮れ時になるとどこからともなく聞こえてくるあのボォン、ボォンという鐘の音である。
近くに寺があるわけでもなく、かといって結婚式場の鐘の音とも違うそれはいったい何処から聞こえてくるのだろう?
大人たちは何でもないかのようにしていることがAさんにとっては酷く不思議だった。
その答えに出会ったのは水木しげる先生の妖怪図鑑を読んだときのことだったという。
そこには山は酷く入り組んでいるため反響が反響を呼んで聞こえてくること