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血も凍る

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怪談ツイキャス「禍話(まがばなし)」で放送された怖いお話を、色々な方が文章に“リライト”しています。それを独自の基準により勝手にまとめたものです。
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2021年2月の記事一覧

禍話リライト「鐘の音が聞こえる」

Aさんは子供の頃から不思議に思うことがあったという。 それは夕暮れ時になるとどこからともなく聞こえてくるあのボォン、ボォンという鐘の音である。 近くに寺があるわけでもなく、かといって結婚式場の鐘の音とも違うそれはいったい何処から聞こえてくるのだろう? 大人たちは何でもないかのようにしていることがAさんにとっては酷く不思議だった。 その答えに出会ったのは水木しげる先生の妖怪図鑑を読んだときのことだったという。 そこには山は酷く入り組んでいるため反響が反響を呼んで聞こえてくること

【怖い話】 ■# Щ腴 工業 【「禍話」リライト 50】

 どこまでが本当に起きたことなのかわからない、という。 「久しぶりに実家に電話したら、母親が言うんですよ。『小学校の同窓会のハガキが来てる』って。それで俺、懐かしいなぁと思って」  Sさんは生まれ故郷から離れて就職し、そこでずっと働いていた。 「年末年始やお盆に帰ってもよかったんですが、こっちにも友人がいましたから……それに、盆正月の混んでる時期に帰るのもおっくうでしたし」  気づけば5年以上、地元から遠ざかっていたそうである。  小学校の同窓会とは珍しい。もちろんは

禍話リライト「燃えた部屋」

◆この話は、二次利用フリーな怪談ツイキャスの「禍話」を書き起こしたものです。 真・禍話/激闘編 第10夜https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/400246373 (1:47:00頃から) とある集合住宅の話である。 県や市が建てた六階、七階くらいまであるような立派な所だったそうだ。 そこの高層階に(仮にだが六階としておく)夫婦が住んでいたという。 夫婦には高校生くらいの娘がいたが、奥さんの方が神経質な性格だったようで子供の育て

禍話リライト「たのしい禍家」

 こういう親戚がいれば冠婚葬祭は助かるだろうなという印象の、明るい男だった。 「……怖い話があるんです、聞いてもらってもいいですか」  男はそう口火を切り、とある家にまつわる話を始めた。 ●  私、妻と小学生の娘と三人暮らしなんですけれどね。家を買ったんですよ、それが職場からは通える範囲で、娘も校区を変えなくて済みそうな場所にすっごく安い一戸建ての物件を見つけちゃって。中古とはいえほとんど新築と思えるくらい新しくて、それでこの値段なら全然買えるぞって勢い付いちゃいましてね

禍話リライト「先回りこっくりさん」

◆この話は、二次利用フリーな怪談ツイキャスの「禍話」を書き起こしたものです。 禍話X 第十五夜 (35:31頃~) 某月刊誌やテレビなどの影響もあってオカルトブーム全盛期だった頃のこと。 学校の七不思議やら都市伝説などが大いに学校を賑わせていた。 そんな中でも女子というものに欠かせないものが恋愛系統のおまじないだ。 それが結果としてマイナスなものになったりもするが基本的にする側は楽しんでするものである。 その中の一つにこっくりさん、というものがある。 漢字だと狐狗狸さん

禍話リライト「鬼婆神社」

 人が見てはならないものがある、という話。 ●  仲間内で「肝試しに行こうぜ!」ということになったそうだ。だがあまり怖過ぎるところには行きたくない。そこまで怖くなくて、けれど雰囲気はほどほどに味わえる。そういう都合のいい場所はないかと話し合ったところ、一人が「あそこはいいんじゃね? 鬼婆神社」と言い出した。  鬼婆神社。正式には神社かどうかも怪しいらしく、鳥居も鈴もないが本堂らしき場所は残っている。地元の者は一様に「鬼婆神社」と呼ぶ――そういう場所があるそうだ。 「それ

禍話リライト「ビルのスキマのヒロミさん」

◆この話は、二次利用フリーな怪談ツイキャスの「禍話」を書き起こしたものです。 震!禍話 第十夜 佐藤君スペシャル② アドレス https://twitcasting.tv/magabanasi/movie/453505759 (02:10ごろから) ある地方都市の大学のサークルで起きた話だ。 サークルといっても熱心な活動をしているわけではなく、だらだらと雑談などを垂れ流している溜まり場のような場所であったらしい。 少人数サークルというほどでもないが、積極的な勧誘はして

禍話リライト「一番そばの母娘」

Tさんは、今でもその体験のことを「何だったんだろうな」と思い返すことがある。 まだ小学校に通わない年齢のころの話だ。 しかも彼の家族も同じ体験を共有していて、やはり何だったんだろうなあ、と口にすることもある。だから決して自分の頭の中で作り上げてしまった出来事ではない、という。 幼いTさんがお母さん、お姉さんと一緒に家の中で遊んでいたときのことだ。 突然、どぉん!という凄まじい音が外から響いた。それまで聞いたことがないような音だったという。 かなり近い音だ、という気がした。家

禍話リライト「苧うに」(怪談手帳より)

苧うには、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』で描かれている日本の妖怪。口が耳まで裂けた鬼女のような顔をした妖怪で、全身が毛に覆われている。石燕による解説文はなく、どのような妖怪であるかは不明である。「苧うに」の「苧」とは植物のカラムシ、あるいはカラムシや麻の繊維から作られた糸を束ねた房を意味しており、この妖怪の髪や体毛が積み上げた苧を連想させることから、石燕が「苧うに」と名づけたといわれる。  出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』  昔、山仕事──今でいう林