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地域活性化、自治体関連ニュースまとめ(2021/08/23~29)

今週は「食べチョク」や「ポケットマルシェ」等の産直サービスが創出する関係人口の可能性について、自治体が支援するキッチンカー、自治体職員向けのオンラインコミュニティ、DMOや観光局向けのオンラインセミナー情報等をピックアップしました。

カバー画像は雲仙市南串山棚田展望台からの一枚。

■産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査:約7割が地域を訪れたいと回答

生産者と消費者をつなぐ国内最大級の産直アプリ「ポケットマルシェ」が登録ユーザのうち5,600名を対象に、産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査を実施。「食べチョク」含めコロナ下で利用が増えた産直アプリですが、アプリ上で生産者と直接やりとりができる特性上、様々な地域や生産者とのつながりが生まれやすく、中には地域に足を伸ばす人も出てきています。

産直アプリの利用が、関係人口創出に対してどのような影響を与えるのかがまとまったレポートです。詳細は元記事を参照していただくとして下記サマリ。

調査結果サマリ
・ 生産者と仲の良いユーザの約7割(71.3%)が、生産者のいる地域を訪れたいと回答

・ 実際に100名(/5600名)以上のユーザが生産現場を訪問

・ 「何回も購入している生産者」「周りの人や他のポケマルユーザーにお勧めしたくなる生産者」「その生産者のいる地域で災害などが起きたとき、気にかける生産者」がいると回答したグループは、そうではないグループより、ウェルビーイングが高い人が多い

産直アプリでの購買体験を通じて生産者との関係性を深め、地域に関心を持つことで実際に生産現場を訪れるようなユーザーが一定数いること、生産者とのつながりを持っているユーザーは『ウェルビーング』が高い傾向にあることとなりました。

産直アプリはウェルビーングを構成する要素である「肉体的(食べる、栄養)、精神的(美味しい!満足感)、社会的満足(生産者、購入者同士の繋がり)」の全てを満たすからではないでしょうか。

またポケットマルシェで商品を購入したユーザーの「売り手と書い手を超えた関係性」の種類として以下のような関係性があるようです(一部を抜粋)

売り手と書い手を超えた関係性
・直接話したことがある(電話,Zoom,Clubhouse等)(194名)

・贈り物をしたことがある(615名)

・販売の手伝いをする(生産者に求められ、商品に意見したり、レシピやデザイを考えたりする)(84名)

・リアルマルシェで実際にあったことがある(112名)

・生産現場で宿泊をしたことがある(21名)

ヘビーユーザーに限るとは思うのですが、上記をみるとかなり濃い関係を築いているユーザーが存在することが分かりますね。リアルマルシェで実際にあったことがあるや、生産現場で宿泊をしたことがある等には驚きました...

元々オンラインで完結していたはずのサービスが、ユーザー同士の密なコミュニケーションにより、自発的にオフラインのやり取りになっていくのが非常に興味深いですね。

■自治体によるキッチンカー開業支援が加速。災害対策にも

新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にあえぐ飲食店が増え、持ち帰り需要も高まったことで、トラック等で消費者の元に出向き、料理を販売する移動販売店、いわゆるキッチンカーが注目されています。「飲食店支援」「起業、街への定着や賑わい創出」を目的として、そんなキッチンカーを自治体で支援する動きが広がっているようです。

例えば神戸市ではキッチンカーの改修費や営業許可申請手数料に対して最大で100万円を補助する制度を導入。また出店場所の紹介や経営ノウハウのレクチャーなども実施します。近隣の大阪府東大阪市でも50万円までの補助が出るそう。

キッチンカーの創業、営業支援等を包括的に手掛けるスタートアップ「Mellow」によると、キッチンカーの開業には250万~350万円位かかるとのこと。初期投資としての車の購入や、改造費、調理器具、営業許可申請の手数料等がかかります。また営業許可は各地域ごとの保健所へ提出する必要があります。

1000万円が必要と言われる飲食店の開業費に比べると、費用はおさえられますが、それでもまとまった初期投資が必要なのは変わりません。特に地方都市では都市部に比べて売上が見込めない分、こうした初期費用を自治体が補助することによって気軽に起業したり、飲食事業に参入できる事業者も増加するでしょう。

また災害時のライフラインを支える手段として、キッチンカーを電力供給元として利用したり、炊き出しを行ったりしている地域もあるそう。起業や地域課題の解決、緊急時の備えとしてキッチンカー事業を支援することは自治体にとっても様々なメリットがありそうです。

■関東経産局が自治体職員のオンラインコミュニティーを構築

関東経産局が自治体職員のオンラインコミュニティーを構築
関東経産局が市町村などの自治体職員が地域課題や解決策を共有できるオンラインコミュニティー「Regional Innovation Digital Community(RIDC)」を構築しました。職員が課題を投稿すると、他自治体等からコメントや助言を受けられるような仕組みです。

このコミュニティーは、産業活性化につながる新しい地域ビジネス経済圏の実現を目指すコミュニティープラットフォーム「Tailor Works」がベースとなっています。Tailor Worksではオンラインコミュニティ運営に関する幅広い機能やノウハウを提供しています。

コミュニティ運営に必要な全機能を集約
ウェビナー、オンラインイベント配信、コミュニケーション、マッチング、情報マガジン等を提供。複数ツールでの管理、運用が不要

コミュニティ運用改善、活性化に必要なデータ分析、蓄積
オンラインイベントの視聴データ計測に加え、掲出される相談への回答やリアクション、各メンバーのアクションなどを元に、コミュニティの活動データを可視化・蓄積可能

全国のコミュニティと連携可能
イベント共催やコンテンツ共有、相互プロモーションや送客など、全国各地のコミュニティと垣根を超えた連携が可能

自治体間の連携を後押しし、他地域の知恵や資源を活用しながら地域の課題解決につなげる狙い。『地域課題の解決コミュニティ』の他にも、ワーケーションの普及や誘致、環境整備等に関する議論、企業とのマッチング等を実施する『ワーケーション推進コミュニティ』もあるようです。

減少していく人口をいかに取り込むかという点では他自治体と「競争関係」になりがちですが、1つの自治体や地域でできることには限界が有ると思うので、今後はどんどん他地域や自治体、コミュニティと連携し、「共創関係」を気づきながら共通課題を解決していけると理想的ですね。

■「デジタルに強い観光組織の作り方」ウェビナー開催:9月8日 デイアライプ社

自治体やDMO、観光事業者向けのデジタルマーケティング支援をおこなうデイアライブ社が、2021年9月8日、「デジタルに強い組織の作り方」をテーマにウェビナーを開催。DMOや自治体など観光関連組織の代表者・役員・リーダー層や、人事・教育・営業担当者が対象で先着500名、費用は無料です。

同社はデジタルマーケティングを学ぶためのオンライン教育サービス「SURGE」にて以下のようなサービスを展開しています。

●オンライン学習コンテンツ
webサイトの制作進行、運用、SNS活用、データ分析、広告配信等のデジタルマーケティング等を学習可能

●ツール群
KGI、KPI設定、データ分析、タスク管理等、実際の運用に活用できるツールが利用可能

●アドバイザー
観光庁の世界水準のDMO形成促進事業において外部専門人材(データ分析・プロモーション分野)として登録されているアドバイザーにオンライン、オフラインで直接相談可能

「デジタル活用の必要だが、どう進めたらいいか分からない」、「いまのやり方でいいのか自信が持てない」といった課題は多くの自治体、DMOが抱えている課題かと思いますが、オンラインで基礎を学習でき、信頼できるアドバイザーにオンライン、オフラインで直接相談できるサービスは自組織の中にデジタル周りの担当者がいない場合に大変有用なサービスです。

ウェビナーは2部構成。1部ではデジタルに強いし組織を作るための考え方や手法を紐解き、2部ではSURGEの実践的な活用方法を紹介するようです。詳細や参加方法は上記元記事を参照ください。


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