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「余白=遊び」が教えてくれること | 五島/GWC

体験から学ぶこと。
子どもと過ごしていると、その大切さを感じることができる。
今年は体験学習に重きを置いて、直感を信じて知らない世界の扉をひらく感覚で過ごそうと決めていた。

7月初旬に、離島で親子でワーケーションをする体験に飛び込んでみた。

「余白と戯れるワーケーション GWC2022 SUMMER」
https://yohakuworkcation.mitsutabi.jp

「余白と戯れる=遊び」が教えてくれたのは、"純粋な自分"との出会い直し。
環境を変えて新しい体験・出会い、非日常に身を置くことで得られる発見。
子と共に参加することで見えてきた、過去と今と未来の連鎖。

1.飛び込む

今年はとにかく直感を信じて飛び込む。4月のホースコーチングもそう。
特に、非日常体験への切符は「先に掴むと決める」ことが大切というのは、経験からの学びだった。

参加申し込みの締め切り直前にFacebook友人たちの投稿で立て続けに見た、
「余白と戯れるワーケーションin五島」の文字。

絶対に行く!

そう身体が反応した。
熱心にSNSを徘徊するタイプではないが、目に入ってきたことに運命を感じつつ
何より「余白と戯れる」というキャッチーな言葉が、私にズバッと刺さっていた。
立ち上げたブランド 感性をひらく"間"に出合う Comma Lab  へのヒントが潜んでいる、そう感じ取ったから。

しかも、キッズウィークという期間があり、親子にとってWINWINなワーケーションを過ごせることを確信。
今年から年少クラスになり、制服を着て登園する息子との時間がどんなものになるのか、ワクワクする気持ちと、ワンオペへの不安を抱きながら、参加を決めた。

後から知ったのだが、友人がいない中で子連れ参加する人は稀だったよう。
GWC特別ゲストの若宮さん以外は、事務局の方含めて初めまして。
馴れ親しんだコミュニティも大切だけど、全く縁もないところに飛び込む楽しさを知っているから、何の躊躇いもなく、おひとりさまで申し込む。
これも私らしさなのかもしれない。出発前から、自分という輪郭に触れる。

参加が決まってからも何も調べることもなく、最低限の手配だけをして乗り込む。
これも昨年から継続している、楽しむコツ。
スケジュールも、行き先も、余白をたっぷり作って、その時々の流れに身を任せる。

これまでの私だったら考えられないだろう。
行き先を決めて、予習をして、想定内での最大値をプランする習性があったから。
それを手放した先に見える、セレンディピティとセンスオブワンダー。
今回も、新しいやり方で新しい場所へ飛び込む。

2.育む

乗り物が大好きな息子は、離島への長旅を楽しんでくれた。
移動時間はお互いにデジタルデトックス。
親子関係を育む大切な時間になった。
見える風景から新しい発見をしたり、おもちゃで想像力たっぷりに遊んだり、お菓子を食べて談笑したり。

もうすぐ4歳、こんなに成長したのか・・・

目を見張るような変化。理性を身につけ始めた彼の姿は、毎日驚きの連続だ。
0歳から何度も一緒に長い移動時間を過ごしてきたから分かる変化もある。
育児をしながら、発達が少し遅いことに戸惑い、不安になった日々が蘇ってきた。
ハイハイも、歩くのも、言葉を発するのも、トイトレも平均より遅め。
それが彼のペースだと理解しながらも、せっかちな私はどこか焦っていた。
親のエゴとはこのことかもしれない。
コントロールをしようとするほど、お互い苦しくなるから尊重する。
違いを受け入れて、尊重し合うことを教えてくれたのは彼だ。

非日常への旅は、もう始まっていた。
彼の成長をこんなに愛おしく思うとは、予想だにしていなかった。
そして私も、母として4歳。マイペースで成長をしているのだろう。

私にとって、移動は趣味のようなもの。
なぜか分からないけど、長時間移動が全く苦ではない。
むしろ癒しになっている節がある。
その理由がこの旅で見えてきた。内省に没頭できる環境
適度な揺れ、風景の変化、一定時間の拘束・・・思考がいくつも走るために必要な要素が備わっているのかもしれない。

旅行の場合は、未来への期待と今の自分の感情にフォーカスし、旅のテーマを決めることもできる。

自分と未来を育む、それが私にとっての移動時間なのだ。

機内から見える五島

3.委ねる

心地良い風が吹く島。初めての五島なのに、懐かしい感覚に包まれた。
生まれ育った故郷、島根と同じ風を思い出す。

フライトは遅れたが、到着日は予定は何もない。
自由に動きたいから、直前でレンタカーを手配したのが大正解。
流れに身を委ねながらの旅を楽しむ神器を手に入れたのだ。
何も考えず、キャンプ場がある、富江地区まで30分ほど車を走らせる。

道中も、故郷を思い出す。
魅力を感じたのは、地元のドライバーの方々が思いやり深い運転をすることだ。
「お先にどうぞ」というメッセージを何度も受け取った。
急がない、相手を想う、笑顔でアイコンタクト・・・全国各地で運転をしてきたが、ここまで優しい人が多い土地は、出会ったことがなかった。

ノープランの弊害が・・・チェックイン前の時間だった。
事務局の方に相談すると、融通が効いて早めにチェックインができた。
すぐに着替えて海へ。バンガローの目の前には海岸が広がっている立地。
砂と水が大好きな息子も、最初は怪訝な顔だったが、隣のバンガローに宿泊する親子と一緒に遊び始めると、イキイキしだした。

2つ上のお姉ちゃん、彼をリードして遊んでくれた。
子ども同士、あっという間に打ち解ける。母二人もその姿を見て微笑む。
隣のバンガローの親子で、親も子も30分も経てば意気投合して距離が縮まっていた。五島に到着してまだ数時間。
素晴らしい自然、人の良さ、気の合う仲間、子どもの笑顔。
これだけでもう十分。一見特別ではない幸せを噛み締めた。

流れのまま、一緒に夕飯の支度をして食べることに。
共同生活、この旅の醍醐味を早速味わう。
五島市で一番大きなスーパーまでドライブしながら、何を作るか決めていく。
子どもたちが急激な環境変化で疲れているだろうから、無難に夕飯はカレー、翌日昼は焼きそばと決める。
このスピード感、子どもを主軸にした選択、心地良い。
親子ワーケーションに来ている時点で、価値観が近いのかもしれない。
自然と、これから出会っていく親子への期待も膨らんでいった。

初日の海

4.助け合う

夕飯を作る中で、新しい発見があった。
「食」と「私」の相性は思った以上に良いということ。
昔から料理すること、食べること、飲むことが大好き。
新製品や、見たことがない料理と出会うと必ず注文してしまう。内から溢れる好奇心を満たしてくれる相棒だ。

マルチタスク、最短思考、目的思考、計画実行能力が高い性格とも相まって、段取り良く進めていく。
その姿を見て、周りが感動してくれた。
自分にとっては当たり前でも、初めて出会った人たちと共同作業することで気がつくことがたくさんあるもんだ。

人は相対的に評価をするから、他者の視点で映る私を定期的にフィードバックしてもらうことで、個性の輪郭が見えてくる。

自他共に認めるが掃除は苦手。
そして子どもを遊ぶことはそこまで得意ではない。
家でも、夫が担う役割で、最近は息子も「遊びとお風呂はパパが良い」と見極めるようになってきた。
それらは別の仲間がやってくれる、助け合い。
きっと昔の日本はこんな感じでご近所付き合いがあったのだろうな。

優しいのは島民だけではなかった、ワーケーション参加仲間の優しさにも触れて、心が温かくなる。それを感じ取ったのは、私だけではない。
普段人見知りが激しい息子も、オープンハートで過ごしてくれている姿を見ると、安心安全なコミュニティがすでに出来上がっていることに驚く。
まだ五島に来て半日しか経っていないにも関わらず。

ホテルのように綺麗に整っていない環境
3〜4家族が相部屋する異質性
共同作業マストなキャンプ場での混じり合いは、「同じ釜の飯を食らう」重要性を教えてくれる。

自分のバンガローに戻ると、0歳児が笑顔で迎えてくれた。
同室は0歳、年少、小学5年生のボーイズと、大人4人という大所帯。
寝るスペースを確保できるのか不安を抱えていたけど、不便なく過ごせた。
そう、与えられた環境で、意外と何とかなってしまうものだ。

この部屋で2泊。常に、助け合いを実感する。お互い様だからこそ、ストレスや我慢はない。「ありがとう」が循環する柔らかな世界だった。

波止場釣り収穫

5.手放す

先入観や期待値を手放すこと、情報化社会においては難しい。
五島のこともすぐに調べられるし、参加者同士もSlackで繋がっているから事前情報を得ることは容易い。

だからこそ、事前に仕入れる情報は手放した。
名物は何か、誰と同じ部屋か、どんな人たちが集まっているのか、一切情報を入れずに参加する。
だからこそ面白い。今年は「想定外を楽しむ」と決めたから、予習はしない。

同室仲間のことも、もちろん何もわからない。
生活する中で観察して得た一次情報だけ。
言葉だけではなく、ノンバーバルでも探っていく。
一人ひとりの人間性に触れてから、初めて職業や家庭の話をする。
先入観なく触れ合うことで、肩書きや知名度といったラベルに引っ張られることなく、ハートを開いてコミュニケーションを取ることが出来る。

同じ日程で「文字で伝える仕事」をしている人が多いことも、後から知る。
超人気ライターさとゆみさんが、ライター仲間に呼びかけて参加をしていたという。
かつての私だったら、事前に予習してコラムや著書を読み、感想も携えて参加していただろう。
これまでの自分のパターンを逸脱することで見える新たな発見だってある。今回は、五島から帰ってきてから、コラムやご著書を読ませていただいた。
人間性を知ってから読むからこそ、より惹かれるしファンになっていく。こういう出会いも楽しいもんだなと思った。
(さとゆみさんの五島ワーケーションコラムはこちら)

みんなで作ったご飯

6.相乗りする

4泊5日の最初から最後まで、計画された偶発的な出会いに溢れた旅だった。
共同生活の3日間は終わり、最後の1日はホテルステイだった。
キャンプ村を出たら、家族二人だけの時間になる。
寂しい気持ちと、愛おしい気持ちとが混ざり合う複雑な気持ちのまま、コワーキングスペースで仕事を始めた。
平日10時から15時まで、子供見守りサービスを利用していた。
0歳から年少まで預かってもらえ、親は仕事に専念できる。

いつも満席になる場所だったが、この日は二人だけの利用だった。
Edtech起業家、弥生さん。
彼女はいつもミーティングをしていて、なんなら採用面接まで五島でやってのけるツワモノ。顔を合わせることは多いけど、これまで話をする機会はなかった。

どんな仕事しているの?
今日どこに泊まるの?
ご飯は決まっている?
他のメンバーと夕食予約してあるから一緒に行こうよ!

ミーティングの隙間時間の会話で、夕食の約束が決まった。
何も計画しなくても、流れに身を任せれば、勝手に波に乗れる感覚。
この相乗りもセレンディピティ。
4家族合同の夕食、新たな繋がりが生まれた。

夕食をご一緒したのは、事前Zoomミーティングでお会いしていた方々だった。
4歳の男の子を連れた桂子さんと、小学4年生の男の子を連れた佐伯さん。
二人とも人見知りせずオープンな交流をするお人柄で、すぐに仲良くなった。

実は、今回の旅、夫から与えられたミッションがあった。
ゴトウヒラタクワガタを捕まえるという重大任務だ。
息子はクワガタとカブトムシが大好きで、五島にもフィギュアを持参していた。
事前に夫からクヌギの見分け方を習い、虫の掴み方のレクチャーも受けた。
キャンプ場では、カブトムシのメスとゴトウヒラタクワガタのメスを手に入れていたが、オスは未だ手に入れられていなかった。
スポットは、コネクターさん(ワーケーション時にサポートしてくれる地元の方々)から教わり、エサをたっぷりと仕掛けていた。
準備万端で、最終日は朝から虫採りに行くと決めているのだと、そんな話をしていたら・・・

「私たちも行きたい!!」

子どもたちもすっかり仲良くなっていたので、みんなで行くことに。
ホテルに帰宅したのは、22時半。翌朝、ロビーに6時半集合。
子連れには忙しないスケジュールだ。
6時に息子を起こすと、まだ眠そうだったが、耳元で「虫行かないの?」と囁くと、飛び起きた。それくらい楽しみにしていたイベントだったようだ。

外は、霧がかっていた。
前日に仕掛けたクヌギの方に向かっていく。

クヌギの木

みんなで辺りを探すが、クワガタもカブトムシも、いる気配がない。
地中にいるかもしれないと、葉っぱの下まで探したけどいない・・・

「あっ!」 桂子さんが叫ぶ。

卵をかかえるアシダカグモ

見たことがないほど大きい蜘蛛がいた。お腹には卵を抱えていた。
子どもたちも興味津々に観察する。
蜘蛛の他にも、オニスズメバチが周りを徘徊していて逃げたり、大きな毛虫を見つけたり、規格外サイズの昆虫たちを見つけては、はしゃぎ回った。
都会にいると、クヌギの木すら見つけることが難しいし、こんなに大きな虫を見る機会もない。

目当てのゴトウヒラタクワガタとは出会えなかったが、みんなで朝から虫を採りに行くという体験こそが、子どもたちにとっては、宝物になったようだった。

キャンプ場で採った、カブトムシのメスとクワガタのメスは、家で大切に育てて、夏の終わりに卵を産んだ。それを孵化させて、この秋は幼虫を育てている。
五島での思い出は、今もカブトムシの飼育という形で、息子の物語に続いている。

7.信じる

何もプランしなくても、事前に調査しなくても、出会うべく人たちとは出会える。その運命を信じる

「余白と戯れるワーケーション」という名にふさわしい学びだった。
余白=遊びがなければ、体験できなかったことだらけだったと思う。
想定を超えていくためには、余白が必要。
その先には、純粋な自分がいる。
事前情報によって武装することもなく、子どものようにピュアな感覚で、その時々をただ楽しむ。
これはなんの役に立つの?と、目的や理由を考えがちな大人モードの自分を一旦横において瞬間を楽しむ。
これこそ、私がComma Labで実現したいこと。
「感性をひらく"間"に出会う」
「”間”とは自分に還ること」

自分の感性を信じる。
簡単なようで、理屈っぽい私は苦手な分野だった。
このワーケーションでは、senseを信じることに自信を持てた。
それだけではなく、自分自身のことも、息子のことも、出会ってくれた仲間のことも、運命も・・・信じる力が強くなった。

信じるための第一歩は、遊ぶことかもしれない。
遊ぶことは、自分に還ることになるから。
ブランドへのヒントがあるような気がして飛び込んだ五島ワーケーション。
それだけではなく、人生にとって何が重要なのかを教えてくれる機会となった。
「ワークライフマーブル」という考え方が結晶化できたのは、この旅のおかげ。
この話はまた別の投稿で・・・

人生を見つめ直す親子ワーケーション

ワーケーションについて、音声メディア「胃的好奇心」でも語っていますので、よければお聞きください👂


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