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柔道の大会で4人中3位タイで表彰式に立たされたことがある

「3位だった」

僕はその成績を自慢気に言いふらした。

柔道をやっていた時期だ。

大会は土曜日だった。

僕が出た階級は全部で4人。

僕は前日に柔道部物語をイッキ読みしていたので優勝すると思っていた。

柔道着も袋に入れずに帯で結んだだけのものを亀梨くんのカバンの持ち方で後ろに吊るしていた。

待ち合わせをしていた友達には「森から直接来た」という設定を伝えた。

会場につくなり「えーと、俺の相手は…」と見たところで分かりもしないくせに戦略を練るタイプのオーラを出した。

僕と友達は同じ階級で、運良く1回戦はそれぞれ別の相手だったので、「絶対負けんなよ」と、後で決勝で会うやつのスタンスをとった。

アウェーに弱かったために、めっちゃずっと一緒にいたので廊下ですれ違いざまに「決勝で会おうぜ」はできなかった。

1回戦が始まった。

7秒ぐらいという嘘みたいな速さで負けた。

友達は始まった瞬間に大回転して負けていた。

結果は僕と友達の3位タイ。

4人中4人とも表彰されるという公開処刑が行われた。

僕と友達は、表彰式までずっと隣り合わせで一緒にいた。

月曜日、別の友達から結果を聞かれた。

「3位だった」そう答えた。

それも、「惜しくも」みたいな顔で言った。

3位でもすごいのに納得行ってない、まだまだ上を目指すみたいな感じで言った。

すると、僕と同じ3位タイの友達が、違うクラスで「3位だった」と言い回っていた。

次の日から、「どっちかがウソをついている」と噂されるようになった。

どっちもウソはついていないけど、だからといってどっちも真実は言わなかった。

わりと早めにやめた。





その次の大会では2人中2位だった。

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