何も聞かされてなかった鬼「え、今年って明日なの!?」

さっき、近所のスーパーに買い物に行く途中、そんな言葉が聞こえてきた。

「え、今年って明日なの!?」

Uber eatsの人が自転車を停めて電話をしていた。

結論から言おう、彼は鬼だ。

きっと、とかではない。僕の妄想でもない。根拠も何もない。彼は完全に鬼だ。

普段は人間の姿で、主にUber eatsなどのバイトで生計を立てている。

たまに出前館も掛け持ちしている。

そう、彼は今年の節分が2月2日だということを事前に知らされてなかったのだ。

「シフト入れちゃったよ」

彼は言う。

かわいそうに、彼らは人間の勝手なルールで豆を引くほどぶつけられて外に追放されることを「年に一度の予定」としてシフトを外さなければいけないのだ。

「え、今から!?」

何やら鬼は鬼で節分の日の前日は、前夜祭と称して暴れ倒すらしい。

周りをよく見てみると、同じような電話をしているUber eatsの人達に一定の距離感覚で囲まれていた。

それもそのはず。今、この世には夜はUber eatsと政治家しか外にいないのだ。そうなってしまっている。

そしてそのUber eatsの人達はみんな明日の鬼だったのだ。

みんな焦って帰る支度をしている。

「クソッ、あいつら人間の方がよっぽど鬼だよ!!」そう言って鬼は電話を切る。

鬼の偉いやつじゃなくて人間に指示されてたのかよと思ったが、僕は何も言わずに買い物に向かった。

スーパーの前の大通りで、ものすごい音のハーレーダビッドソンが爆走して通った。

あれもUber eatsに違いない。

ダッダッダッダッダッダ、バダダダダ!!!と駆け抜けていく。

ということは、あれも鬼なのか?前夜祭に急いで向かってる??

買い物をしながら、もし僕の家に鬼が来たら「鬼は〜外」の前にお茶でも出してやろうかなと思った。

帰り道、さっきのハーレーがまた通った。

友達を後ろに乗せていた。

めちゃめちゃ人間だった。





節分本部の方々へ、どうか全鬼にシフトの都合上、1週間前には教えといてやってください。

倍面白くなります。僕をサポートで支配してください。よろしくお願いします。