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起伏を求めて、ハイランドへ#1 Newtonmoreから登るA‘chailleach (930m) /イギリスでトレラン・登山

ロンドンにない起伏を求めて、英国内の起伏に向かう英国登山/トレラン探索第四弾は2024年6月初旬、はじめてのスコットランド、ハイランド地方へ(第一弾は南ウェールズ、第二弾は湖水地方、第三弾はピークディストリクト)。

その中でもまずはA’challeachというピークを目指した。地図で見て駅から歩いていけそうな距離だったので、ざっくりルートだけ調べて向かったが、後から見るといろいろ英語での情報があった。

A' Chailleach is a familiar sight from the area around Newtonmore. Topped by a big cairn, it is the most ascended and perhaps the finest of the Monadhliath.

https://www.walkhighlands.co.uk


このエリアは現地語では、Monadhliath Mountains
と呼ばれるエリアらしい。

1、登山口へ

前日にロンドンからハイランド地方の拠点都市であるインバネス/Invernessに飛んで一泊していたので、朝からインバネス駅からグラスゴー行きの電車に乗ってまずはNewtonmoreという駅を目指す。8:41 Inverness発電車は定刻で出発して1hちょっと定刻9:44でNewtonmoreに着く。

インバネスの街もこじんまりしているが美しい
Newtonmore駅、特に何もない無人駅

電車は予約されている座席には紙がはさまっているので、席の予約のない場合は空いているところに適当に座る。車窓からは時々集落がみえるほかは羊や牛が放牧された荒涼としたハイランド地方の風景が見えるのみで牧歌的である。Newtonmoreの駅は小さな無人駅で事前にこの駅では特定の車両の特定のドアしか開かない旨のアナウンスがあるので注意して聞き、検札にきた車掌さんにも改めてドアの場所を確認しておく。駅前は特に何もないので、まずは一旦村のメイン通りに向かう。駅から10分弱歩くとメイン通りで数軒のカフェなどもあるが、かなりこじんまりとした村である。

駅から街のメイン通りまでにいた馬
メイン通り

行動食や飲み物はInvernessで調達しておいて良かった。ちょうど雨がぱらついてきたこともありとりあえず一軒だけ開いていたカフェに入って、温かいスープとスムージーで雨をやり過ごす。しばらくすると太陽が出てきたので、登山口に出発、今日は今回の2泊3日の準備を全部背負って(30Lザックくらい)の行程。メイン通りを途中で北に入り住宅街の中を10分ほどじんわり登ると、開けた羊の放牧地に出た。

住宅地を少し登りながら抜ける
羊がいる

進む先には山の姿も見える。あいにくまたパラパラと天気雨が降ったり強風が吹いてくるが、雨具を着ながらとりあえず粛々と歩くことにする、どうせ雨宿りできる場所もないので。そこからさらに20分弱歩いた11:00ごろ前にトレイル入り口近くの駐車場に着く。

右側に雲がかかっているが山から流れているのか動きの早い雲でパラパラ雨も降ってくる
駐車場、車だとここまでこれそう。ベンチのようなものがあるところからトレイルに入れる

車も数台停まっている。車だとここまで来れるのだが、まぁ街から徒歩40分、駅からでも50分くらいなので車がなくてもアプローチはできる。駐車場の裏手にある丘の脇からトレイルがありそっちを進むと、ゲートがあるのでそこから登山道が始まると言えるだろう。

2、降ったり晴れたり、とりあえず小屋まで。

11:00ちょうどくらいからゲートの先の登山道を歩き始める。広く歩きやすく比較的フラットなよく整備された道が続くが、またしても雨に降られる。

結構強く降られたので雨具を着ていたが折り畳みの傘もさす

というかこの後、基本的にはずっと晴れては降って晴れては降ってを繰り返していてさすがのスコットランドだと感じた。進行左手に川が流れているのだが、11:20ごろに川に降りて小さな木製の橋を渡る。

晴れると壮大
木製の橋で川を渡る

地図ではこのまま進んでも道があったがとりあえず渡れるところで渡っておく。

川を渡ると細いトレイルがあるが、周囲のハイマツや苔類などが卓越していてややわかりにくい場所もある。またとにかくグズグズでドロドロなので、ところどころ迂回したりする。ちなみにこのドロドロなのはスコットランドの山ではBogと言われ、泥炭質の土壌ゆえに酸性土壌になりコケが生えるしかなく湿地帯になるとかなんとか。Bog指数などもネットの登山案内や書籍にも出ている。

後から見たらこの山もBog Factorが3になっていたので、長靴やハイカット防水の靴が正解だっただろう。ワタスゲが風に揺れているが、繰り返す雨でふわふわというより少ししっとりしている。

とにかく広ーく開けた裾野のような場所をじわじわと登っていくが、斜度はかなり緩やかである。11:50ごろ小さい川のあたりで再び強い風とともに雨足が強くなったので、窪みを見つけてしばらくやり過ごすことにする。地図から小屋が近いのはわかっていたのでそこまで行って雨宿りしたかったが、雨足が強く道もとの泥炭のぬかるみが不明瞭だったので一旦小康状態になるのを待つ。

結構な雨に降られて足元も動けないのでとりあえずくぼみに避難

雨が弱まってきたところで川を越えて(若干ルートアウトしていた)本来のルートに戻ると、小さな可愛らしい避難小屋が見えた。中に先客もいて、天気も晴れてきたのでこのまま進むことにした。12:10ごろ。

小屋

3、山頂へ、まさかの6月の雪

小屋から先は他のルート(川をもう少し上流で渡渉する)とも合流して山頂への登りである。引き続き足場はぐずついているが、太陽の当たる南向き斜面故か幾分マシな気がする。

しばらく太陽も出てきて眺めが良い。彼方には山や村が見える。ただ少し傾斜が緩やかなところでは、水がたまるのかドロドロになっているので防水ハイカットか長靴じゃないと歩く場所を相当注意深く選ばなければならない。足跡がいくつかあるので(足跡もよく残る)よいが、ないとズブズブ行ってしまうこともあり得るのでいずれにせよ注意を要する。今回は普通のハイキング寄りのトレランシューズなので注意しながらマシそうなところを進んだり幅跳びをしたりする羽目になる。

ぐちゃぐちゃ

小一時間登り始め山頂まで後一息、9合目を越えたであろうあたりから再び風が吹き雲が流れ、雨が降り始めた。雨風は次第に強まり、雪(というか霰か)となり地面もうっすら白く色づく。とにかく風が強い(イギリスの山は樹木が乏しいので遮るものは何もない)ので、少しだけコースアウトしつつ、風がマシになる風下の窪みでしゃがんで待機していたら、下りの登山者のおじさんが行動不能を心配して声をかけてくれた。心配させて恐縮だが、大丈夫である旨を伝えしばらくやり過ごしたら案の定雨(雪)は止んだ。

いきなりの雪か霰か
一瞬で少し白くなる

今日は、本当にこの繰り返しである。引き続き強風だが、山頂はすぐそこなので、行ってみる。13:10前山頂着、石積みがされていて、石積みの影では風がずいぶんマシなのでしばらく待機。ここからは少し北にあるCarn Suglain(918m)や東西に延びる山並みへの縦走もできるようだが、この日はエジンバラ方面への電車の便の時間や天候なども考慮してここで折り返すことに。

山頂

4、下山

13:10ちょっとすぎに下山開始。しばらく雨霰は続いたが、そのうちやんで、また晴れ間が出てきた。

太陽も雲もコロコロ忙しない。下りは小屋手前までは行きと同じ道なのでBogの泥地に足を取られないように気をつけつつ小走りできるドライな路面のところは小走りで下っていく。1組登りとすれ違い。少し前には山頂付近で声をかけてくれたおじさんたちの3人組だけ。それ以外にも登りの山小屋にいた1組くらいしか会っていない静かなハイランドのイメージらしい登山。13:50頃に小屋の手前を通り今度は行きとは違い川の上流部からまわっていくルートをとってみる。

こっちの方がぬかるみが少ないかと思ったが大して変わらなかったが、道は行きよりも明瞭だった。ただ雨がまた強く降り出す。川を渡渉する必要があるが飛び石でうまく渡れる(が、やや怖いので苦手な人や増水時は少し下流の橋からいくルートが良さそう。もしくは長靴)。

川を渡ったおじさんたちが見える

雨も5分ちょっとでやんで再び太陽。なんだかんだこっちもルートもかなりぐちゃぐちゃだった。橋のルートと合流するあたりくらいからはフラットでドライな道に戻って、14:35ゲート着ですぐに駐車場に戻る。

16:44発の電車でPitlochryに行くのでまだ少し時間があるので、腹ごしらえをしたく検索するとこの時間開いているのは1件だけなのでそこを目指す。再び羊たちが放たれている放牧地の間の道を通って、街へ戻る。

15:30前に広い駐車場のある田舎のダイナー然とした雰囲気のあるお店に着いてそこで遅めのランチを食べる。この時間に空いているご飯が食べられそうなお店はここだけだったが、安くて割と美味しかった。

お腹も空いてるし美味しい
こちらに乗って次の街へ

駅から山頂まで、そして街のダイナーまで戻って18kmほど、獲得標高は700mほどだが、足元が悪いのでなかなか時間はかかった印象。スコットランドはじめ高緯度地域全般にいえると思うが、天気も変わりやすく、夏でも天候次第で急に寒くなるので標高だけで判断せずしっかりある程度の装備を持っていくことが大切、特に雨具と防寒具。

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