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野生のアイベックスを見たくてAnnecy/アヌシー近郊、La Tournette(2351m)へAngon/アンゴンの滝経由で登山、そして撤退。

イギリスの5月の三連休にフランスのAnnecy/アヌシーというフレンチアルプス端っこの街に行った。ここはヨーロッパ一透明度の高いという湖と街中に張り巡らされた水路が有名だが、僕の目的は主に山。湖畔の街アヌシーは湖の周りを山に囲まれているので、ふらっと周辺の山にハイキングや登山に行けそうだなと地図を見て当たりをつけていた。さてどの辺りに行こうか、公共交通機関でアクセスできそうな山をいろいろ調べているとLa Tournette という山の辺りには野生のアイベックスがいるようだということがわかり、去年シャモニーに行った時にうっすら期待して会えなかったアイベックスにぜひ会いたいと思いこの山域を目指すことにした。

公共交通機関で行くとなると、そこそこ長い距離になってしまうが、車があるともっと楽に行けそうな印象。とはいえ景色はよく、展望もアヌシー湖や周囲の山、そして雪に覆われたアルプスの山々まで見えて絶景。何よりアイベックスも思ったよりぽんぽんいるので非常に良かった。

1、アヌシーへ

アヌシーはフランスの街だが、スイスのジュネーブからのアクセスが便利。かつロンドンからジュネーブは本数の多いため安い便も探せばあるので、今回もジュネーブに入った。ジュネーブ空港からアヌシーへの直行バスもある(帰りはアヌシーから直行でジュネーブ空港にした)が、本数が限られているので、タイミングの関係でより本数の多いジュネーブ市内発のバスを予約。

ジュネーブ

主にFlexibusとBlablaBusが選択肢になると思うがどちらも早く予約したほうが安いので日程が決まっていれば早く取るほうが良い。いずれもアヌシーまで小一時間で着く、近い。土曜日午前にジュネーブ空港に着いて、空港直結の駅から一駅乗ってジュネーブ駅。そこからレマン湖方面に10分弱歩けばジュネーブのバスターミナルがある。ターミナルというほど大したものはなく、単にバスの駐車場って感じ。スイス〜フランスはもちろんイミグレはないが、Flexibusでは一応乗る時にチケットと一緒にID(パスポート)確認がサッとあった。運転手さんは主にフランス語しかしゃべれない感じだったが、ごく簡単な英語でノリよく対応してくれた。

2、アヌシーの街と市内交通

アヌシーに着いていい天気なのでこの日も近場の山に行こうかと思っていたのだが、ちょっと体調が優れなかったのでフラフラ市内散策にとどめて明日に備えていっぱい寝ることにした。バスはアヌシーの駅に着き、そこから南に10分弱歩けばアヌシー旧市街地で観光客向けのレストランなどが並ぶ通りであり、観光客でかなりにぎわっている。湖畔へもすぐ行けるし駅から旧市街方面に行く間にも水路や川が流れているが、どの水も透き通っていて想像していた数倍透明感がある。

アヌシー旧市街
水の透明度!
アヌシー湖

さすがアルプスの麓。街自体はコンパクトなので普通に観光している分には徒歩で事足りそうだが、山に行く場合はバスを使うと効率がよい。SibraというアプリをDLしてそこからEチケットも買えるが、見ている感じバスから直接購入もできそうだった。僕は日曜に24h有効のチケットを買った。Eチケットの場合はバスに乗ったところにあるQRコードを読み込めばOk。

バス

3、La Tournetteへ、登山口へ、そしてまずはアンゴンの滝

翌日、ホテルの窓から見る感じ雨は降っていないので、山に行くことにした。8時32分アヌシー駅前のバス乗り場発の20番のバス(Talloires-m. Angon行き)に乗って、登山口となるAngonへ向かう、路線バスなのだが高速バス仕様のキレイで大きいバス。30分ほどで到着、道中の車窓からはアヌシー湖とそれ越しに見える山々が美しい。2件ほどキャンプ場併設の売店のようなものがあるが、あまり期待せずアヌシーで行動食や水分は調達しておくのがよい。

まずアンゴンの滝というものを目指す。バス停から降りて北に戻って右手に入りしばらく歩くと標識があり、トレイルの入り口がわかりやすくある。9:15ここから本日のトレイル開始。

今日のトレイル入り口

標識によるとこの時点の標高は465m、Cascade d'Angonまで50分とある。木々の中の歩きやすいトレイルを湖の絶景を見ながら20分ほど登っていくと、9:35にCroisement de La Cascade(滝の十字路)の標識アリ。

いきなり絶景

標高685m、Cascade d'Angonまで5分、La Pirraz(parking)まで15分とある。滝方面には、この先滑って危ないぞ的な標識があり、そのまま進むと左手からせりだす崖の下の下の廊下みたいなコースになっている。確かに水が漏れているのか滑りやすそうだが、渓谷側には手すりも整備されている。

そのまま歩いていくと、まず滝が見えるがこれは小さく、その裏手を通っていった奥にアンゴンの滝が見える。上から下までまっすぐにきれいに落ちていく細めの女性的な滝である。

滝から再びトレイルに戻り進んでいく。小川もあり美しく、小川にかかる橋を越えて登っていく。10:15ごろRovagny 810mの標識につく、小さい集落になっているが商店などはない。

小川が美しい
集落にあった家、景色が素晴らしくて羨ましい

4,RovagnyからChalet de L'Aulp (Parking)へ

ここから地図では2ルートあって、最終的には一緒になりそうだったがとりあえず林道ぽいほうに行ったのだが、これが失敗で重機が木の伐採のためにはいっていたようで、そこに水がたまったのかとにかくドロドロ。どうしようもなく靴が泥まみれになる。

右足が犠牲に...

くねくねした林道を横切りながらトレイルで直答していくようなよくある道で、森の中でやや暗いが歩きやすい。最終的に2本の道も合流し、林道もなくなり、やや明るい森の中に入っていく。

手入れされた森


Rovagnyから1時間ちょい歩いて11:20過ぎに樹林帯が終わり、バッと景色が開け目の前にアルプス然とした岩々しい山が見えてくる。5月末、予想はできたが山頂には雪もまだある程度残っている。天気はイマイチ。

迫力ある!


11:25、Chalet de L'Aulpにつく。牧場の小屋のようでカフェも併設されているようでここで休憩できれば最高なのだが日曜だからなのかこの日はあいにくOpenしていなかった。この少し下の方には駐車場もあり、車だとここまで来れるようである。

カフェはしまってた

5,Chalet de L'Aulpから目指せ山頂、アイベックス。

Chalet de L'Aulpの標識では1426mとあり、La Tournetteまでは3h10と表記がある、11:30ごろ出発。まだまだ遠そう……。ここで朝アヌシーの街の宿の近くで開いていたブーランジェリーで適当に買ったバケットのサンドイッチをかじりだす、うまい。ハムとチーズ、そしてピクルスというシンプルなサンドイッチなのだが、おいしいのがフランスのすごいところ。

サンドイッチ
よく整備されている

Chaletからは登りだが、道自体はよく整備されているところがしばらく続く、樹林はなく眺望は常に良い。30分弱歩いて高度もあがり、岩場が近づいてくると、目のまえに動物が動いているのがみえた、アイベックスだ!

登山道歩いてる
ツノが立派な個体

立派な角がある個体でのしのし登山道を歩いているので、少し待機しておく。その後もちょくちょくアイベックスを見かける。12時10分ごろ、小屋もある開けた谷の入り口に入る。

小屋も見える
やっほー

地図上では山頂直下にあるCol du Varoまで2ルートあるようで、1ルートは見るからに雪が目立つので、もう一方のルートをいくことにする。途中までは引き続き明瞭な土ベースの登山道だが、12:30ごろに目の前に岩肌がそびえるところで登山道は終わる。地図と照らし合わすとこの岩肌を登っていくようである、よくみるとマークもある。ちょっと迷ったが、とりあえず進んでみると狭い岩場だが明瞭な登山道がでてきて安心する。

右側登っていく
再び明瞭な道(細いけど)が出てきて安心

6,一度、撤退。

高度感のある岩場を進んでいくと、残雪に覆われているこの先が見えた。歩けそうではあるが、下はかなり急で、なによりそのあとの岩場がかなり急な気がする。下り方面にきた2人組に聞いてみると、この先ハードで引き返してきているとのことだった。1人前に進んでいったので、しばらくルーティングなどを眺めるが、なかなか苦戦していそう。今回は防寒などはもってきているが、残雪装備はもっていないので、安全第一で撤退することに。

引き返した人もアイゼンなどは履いてない
絶景

12:50ごろ撤退を決めつつも名残惜しくいろいろ考えながら戻る。カールに再びおりて、小屋の脇を通るとアイベックスが数匹散歩をしている。Col du Varoに行く道でもアイベックスはいたので、このころにはもうすっかり珍しさはなくなってきていた、現金なものである。

谷に戻ってきた

7,再チャレンジ、そして……

もともとそんなにピークハント自体への執着はないほうだが、行けそうで行けないとなるとやはり悔しい。とりあえず行けることろまで行こうともう一度別ルートに行ってみることに。雪は序盤からあったが、よく踏まれているし斜度もないので進むことはできる。

もう一つのルートからもいってみる
そこそこ雪は残っているがよく踏まれてはいる
ヨーロッパ人あるある、超薄着

実際、見る限り上ったり下ったりしてる人もアイゼンをはいている人はほぼいなそうである。岩場や雪の上を通ったりしながら、14:20ごろCol du Varoまでとりあえず到着。

雪面を下るアイベックス
Colまでは来れた
Colのあたりから眺めるアヌシー湖と先ほど撤退したルートの方面

ここまでくると反対側の山も見えるので、来てよかった。そこからも少し登っていき2200m地点過ぎまではきたが、この先に雪面を登っていく箇所があったので、色々考えてここで引き返すことに。夏靴で犬を連れたハイキング風の登山者たちは先にいったのでフランスだと、まぁそんなものなのかもしれないが、一応ソロ出来ている以上安全第一である。ということで14:50ごろ、およそ9合目、山頂を目視できる距離だがここで二度目の正直で撤退とする。

山頂方面
この少し先で撤退、安全第一!
ここまできたから反対側がチラリと見えてよかった

かわいそうに思ってくれたのか、帰りはアイベックスたちの大サービスで、わらわらと総計5,6匹くらいがカメラを向けてもポーズをとってくれたり(?)優しかった。

道案内をしてくれている(?)
イイ景色
3匹一気にいた
もうこの頃にはいっぱい良すぎて珍しさなくなっていた笑

16:30ごろChaletに戻ってきて、再び森の中を走りながら戻っていって18時前ごろにはバス停に着いた。山頂まではいけなかったが、目的のアイベックスもたっぷり見れてアルプスの山々を眺めながら、ヨーロッパアルプス西の端を歩くことができていい経験になった、最初にStravaのログのせたが27kmくらい、2100m+。帰りの方が天気よかった。

美しい
帰りの方がこの辺の天気は良かった
帰りバス停までの森の中、緑がみっちり!

アヌシーに帰る前にまたもう一本山に登ったのだが、長くなったのでまた別途書くと思う。そして気づいたが、ヨーロッパで山に行こうとして行ったところでは湖と山という組み合わせのところに来ていることが多い。イタリアのベルガモ、北マケドニアオフリド、そして我らが湖水地方......。山から見える水面、好きだなぁ。

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