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科学者ダーウィンは時にバズり、時にクソリプ対応もしていた。

そんなバカな、ダーウィンが生きていたのは大昔のことでSNSもないし、著名な学者がいちいち「クソリプ対応」するわけがない、と感じておられるのではないだろうか。

しかしタイトルに誇張はない。ダーウィンは150年前の科学誌Natureにて多くの投稿文を発表している。当時のNatureは、専門家に限らず多くの一般人に読まれており、ダーウィンの投稿に対しても様々な読者からの反響があったのだ。

今回の記事では、書籍「150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか」を紹介する。本書は2019年7月に初版発行されており、現在のホットな科学事情や日本の様子についても言及がある。個人的には、盛んに研究されている分野の移り変わりや、研究者による「批判」、日本で研究者として生きることに関して感じることが多かった。

「科学?」な創作好きにも読んでほしい

タイトルを一見すると、科学に興味の薄い読者は中を開く機会がないかもしれない。一方で本書は、科学的な内容よりもむしろ、人々が科学に向き合う姿勢や施策、発見の感動や交流に焦点を当てている。しかも一般的な言葉遣いでわかりやすく、多くの人が(自分の思想を深める時以外に)滞ることなく読み進められることと思う。

参考までに、「BOOK」データベース記載の本書内容を以下に引用する。

創刊に託された思い、SNSとしての役割、当時の科学、宗教と科学の関係、女性の科学者の不遇と活躍、記事から見える日本の姿、…1869年に創刊し、150周年を迎える最高峰の科学誌ネイチャー。その創刊当時の遠く離れた時空から送られるメッセージとは。

特にnote読者の興味を惹く内容は、「SNSとしての役割」ではないだろうか。もしかしたら、科学雑誌を読んだことのない人にとっては、NatureがSNSとして使われるイメージが湧かないかもしれない。「科学雑誌は大学教授や研究者が研究結果を発表する場」というイメージが強いのでは?Natureは、創刊当時には極めて盛んに「正しい研究成果や知識を得るための議論の場」として活用されていたのである。議論の場であるNatureの読者投稿欄の模様を読むと、「バズり」「クソリプ」が今と変わらず繰り広げられており興味深い。

Nature、読んだことありますか?

果たして日本人の何割がNature本文を読んだことがあるのだろうか。気になる。

TVやネットニュースなどで「Natureにこんな論文が掲載された!」というニュースを見たことがある人はかなり多いのではないだろうか。こういうニュースに興味がある人は多そうだが、その元ネタとなった記事を読んだことがある人は少ないのではないだろうか。

Nature記事は、毎週木曜に更新され、一部の記事は無料で読むことができ、目次や要約だけなら日本語で読むことができる。購読料が必要な記事は、その警告がわかりやすく記載されており、開いてしまってから請求されることなどはないから安心して眺めてみてほしい。多くの大学ではNatureを含む雑誌購読料を大学が一括して支払っているので、特に大学に在籍している方はどんどん読んでみてほしい。

日本語サイトのリンク

英語本社サイトリンク

ちなみに、本記事執筆時の日本語サイトトップページはこのようになっている。

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最新の2020年2月6日号の目次には、「新型コロナウイルスに関する研究の成果は、迅速に公開し、共有すべきだ。」という日本語タイトルの記事が先頭を切っている。続くニュース記事にもコロナウイルスに関する記事が2つあり、一般社会および研究の動向に関する注目度の高さがうかがえる。

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150年前から続く人々の営みを覗いてみよう

紹介書籍から離れてNatureの紹介をしたが、ぜひ、現代にも引き継がれている研究活動を身近に感じてほしい

研究にも様々な目的や分野があり、研究活動内容も多岐にわたるが、そもそも科学の源流は人類の共有財産としての役割を担っている。未来をより良くするために一般社会の中で行われていること、その目的を常に志向する重要性が実感されるだろう

研究者と周囲の人々の動向を踏まえたうえで、ご自分に立ち返り、仕事や生活を客観視するのも面白いのではないだろうか。

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