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死ぬまでに読んでおきたい名作③

「本とわたし」シリーズ第三弾📚

_諸葛亮孔明に学ぶ人材活用・登用_

先日、『三国志』の英雄の一人、
諸葛亮孔明について触れられていた人物伝を
読み、改めて深く学ばされたことがあります。

二十歳の時に、吉川英治の『三国志』を食い入るように読み、個性豊かなキャラクター、色彩豊かに描かれる多数の英傑たちの虜になった記憶。

数多いキャラクターの中で、
「一番好きな人物は?」と聞かれれば、
即座に趙雲子龍と答えているけれど、
やはり胸打たれる人物は、
諸葛亮孔明になるんですよね。

おそらく三国志がこんなに人気になったのも、
いろんな方が小説を書いてきたのも、
諸葛亮孔明という存在がなければ
あり得なかったと思う。

非常に人気が高い、劉備や関羽、張飛、趙雲
と言えども、諸葛亮孔明が登場し、
劉備の軍師に迎えられて初めて、
それぞれの個性、強みが花開き、
三国志全体が色彩豊かになっていく。


この一点をみただけでも、

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人材登用、人材を適材適所に活かす
一人の人間がどれだけ重要であるか
を知るわけです。

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なぜなら、孔明を迎える前までの劉備は、
敗戦の連続で、いかに関羽、張飛、趙雲
という天下無双の豪傑を揃えていても、
小さな領地さえ手にすることが出来なかった
事実。


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人を活かす才能なくしては、
仮に優秀な人材を集めても志は果たせない。

逆に、人を活かす才能があっても、
優秀な人材を集める努力なしに志は果たせない。

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人材を集める能力と人材を活かす能力。
二つがセットになり組織は発展していく。
また、個人の夢、大願は果たされていく。

孔明からこの二つが学べるわけです。

晩年、孔明が、
自国である蜀国の10倍の国力を持つ
魏国に戦いを挑んだ北伐遠征。

亡き主君・劉備玄徳から託された
漢再興の誓い。

劉備の息子・劉禅を廃嫡してでも、
国のためなら君が主君となれと
遺言された孔明は、
暗愚な主君を補佐しながらも、
蜀国の指揮官としての任務を自身の宿命とし、
劉備への恩義と信義を貫き、
五丈原に散りゆく悲しくも強き人生は、
胸を抉るほど感動します。

なぜ、勝てる見込みのない戦いをしたのか?

実質的には一国のトップであった
孔明ですから、その権力を使って
保身の道を歩むことだってできたはずです。

なのに、命をかけて無私の行動を貫いた。
休むことなく身も心も痛めつけながら戦った。

劉備との誓いが元にあるのは当然として、
魏国との戦いは常識的には考えられない。
なぜ、にも関わらず北伐を決断し、
戦い続けたのか?

それは、
蜀の最大の欠点としての
人材不足が原因であったと学んだものです。


孔明を除いて蜀国を指揮し、
魏国と戦える有能な人材がいなかった。
しかも既に建国の英雄、関羽、張飛、黄忠、
馬超をも失い、未来を大局的に描いた孔明が
取るべき道は北伐しかなかった。

弱小国であるため、保守的になれば
間違いなく魏国に呑み込まれる。
国力・兵力よりも大義に一つになり、
団結してこそ目的を達っすることができるとの
人間洞察に孔明の偉大さを垣間見る。

覇道ではなく王道にこそ真の平和、
安寧があるとの強き魂をも感じる。

その精神性と生き方を、
命を賭して孔明自身が示した。

人材を探し、育成する暇もない孔明ができる
最善の方法は、戦いながら人材をつくること
だったのかもしれない。


謀叛心を持つ魏延を使い続けなければならない苦悩や、才はありながらもまだ未熟な馬謖を
戦いの重要局面で指揮官に抜擢したこと自体、
蜀国の人材不足を顕著に示している。

〝泣いて馬謖を斬る〟

という有名な場面は、
孔明の苦衷はいかばかりかと胸を打つ。

まさかがあり得るとわかっていながら起用した
最高責任者の自分が打首になるべきものを、
自分無しには劉備の大願は果たせられず、
死にたくても死ぬことが許されず、
泣いて馬謖を斬った孔明を思う時、
有能な天賦の才があっても、人材不足は、
致命的な欠陥として、孤独、苦悩の闇に
呑まれる現実に、リーダーの難しさ、
奮闘に胸打たれる。

組織の生命線。

それは人材。
人材を活かすリーダーの器。
どんなに有能なリーダーがいても、
人材を失えば滅ぶ。


三国志の中で最後まで生き延びたのが
最強国の魏国ではなく、
呉国であったという事実にも、
人材育成に力を注ぎ、多士多彩な人物を
起用してきたからという見方もできる。

歴史から何を学ぶのか。
それこそ人間であり、
人生勝負の哲学ではないかと思う。

『三国志』は、

さまざまな人物の成功、失敗が描かれており、
覇道と王道のせめぎ合い、駆け引き、
じつにたくさんのことが学べます。
経営のリーダーたちが好み愛してやまない、
歴史小説の代表格といっても良いでしょう。

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