どうして結晶はきれいな形なのか:表面エネルギー
水晶や柘榴石など、自然に生まれた鉱物(結晶)はきれいな多面体形状をしたものがありますよね。私のようなアマチュア鉱物収集好きにはこのようなきれいな結晶が本当に美しく思えます。
でも、人間が機械でカットしたわけでもないのにどうしてきれいな多面体になるのでしょうか
この理由を簡潔に説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか
今回は、そんな結晶の形について紹介したいと思います。
wikipediaより
どうして結晶は多面体なの?
結晶の形状は表面エネルギー(密度)と呼ばれるものと密接に関連します。
いきなり、専門用語が出てきて嫌ですね…
もっとかみ砕いていきましょう。
結晶というのは原子が規則的並んだ塊です。
例えばダイヤモンドの場合、上のような配置の炭素原子が無数に広がって、透明の石ができて上がっています。
原子というのはその種類によって結合手と呼ばれる手を伸ばします。上の図であれば球と球をつなぐ棒のことですね。状況によっても変わりますが例えば、ダイヤモンドの元である炭素原子の場合は4本の手を伸ばすことが知られています。
このダイヤモンド結晶をいろんな方向でカットしてみましょう。
すると様々な結晶面が顔を見せます。
つまり、原子が規則正しく並んでいるだけなのに、カットする面によって原子が手を伸ばす本数が変わってくるんです。正確な計算方法は割愛しますが、この本数が違うというのが重要な要素の1つです※。
この原子の手が少ないほうが表面エネルギー密度が小さくなります※。基本的に物質はエネルギーが小さいほうが安定なので、手が少ないほうが有利です。
専門用語が多くて嫌だーという方は、この原子の手が少なくなるような面がよくあらわれる思えばざっくりとはOKだと思います※。
その結果、ある決まった面だけで囲まれた結晶が現れるわけですね。球体になるよりも多面体の方が原子の手の数が減って結晶としては安定なわけです。
ちなみにエネルギーが低い=安定というのは、高いところからボールを転がすと低いところに転がる(位置エネルギー)というのとイメージは一緒です。
最後に
今回は結晶の形には切っても切れないほど重要な表面エネルギーについて紹介してみました。結局、多面体になる理由はわかったけど、あのきれいな形がどうして現れるのかの説明はまだしていませんね。
ということで、次回は結晶の形状がどうしてきれいな多面体になるのかという点について紹介したいと思います。
※実際には単位面積当たりの結合本数である、表面エネルギー密度に起因します。つまり、結合本数だけでなく単位格子における断面積の大きさも計算に含めなければなりません。
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