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【スパイスの科学】パクチーと同じ植物から採れるコリアンダーとは

みなさんはコリアンダーというスパイスを知っていますか?

意外と知られていないと思いますが、ここ数年で有名になったパクチーと同じ植物から採れるんです。しかもカレーには欠かせないスパイスということもあり、きっと誰もが一度は食べたことがあるスパイスだと思います。

今回は聞きなれないけど、とっても身近なコリアンダーについて紹介したいと思います。

コリアンダーの始まり

コリアンダーはイスラエルにて8000年前から貯蔵スパイスとして使われれていたと考えらえています。古代エジプトの墓からも発見されたということで、私たちの歴史を超えて遠い昔から親しまれていたことがわかりますね。

また古代ギリシア人と古代ローマ人は薬や肉の保存スパイス、香りづけなどに使われており、すでにこの時点で現代における使われ方とよく似た方法で利用しているようです。

1つ面白い点として、イスラエルから広がったコリアンダーはベルギーに伝わり、ビールの風味付けとしても使われるようになりました。コリアンダーとビールって全然合わないように思われるかもしれませんが、実はこれホワイトベルグに代表されるホワイトビールのことなんです。

https://www.belgianbeer.co.jp/ct/knowledge/type/whitebeer/

ホワイトビール、きっと好きな人も多いですよね。

それでは保存スパイスだけでなく、カレーからビールまで幅広く利用されているコリアンダーの科学的な成分について見ていきましょう。

コリアンダーの科学

フローラルでオレンジ風味のリナロール、松の香りのピネン、フレッシュで柑橘系なシメン、同じく柑橘系なリモネンなどを多く含みます。ホワイトビールなどに共通する爽やかな香りはもしかしたらこの柑橘系の成分によるものかもしれませんね。

そして、このような特徴を持つコリアンダーはさまざまな食材や料理と相性が良いんです。

例えば、野菜や柑橘やリンゴのような果物と合わせたり、豚肉やジビエのような肉料理、魚貝類にも幅広く利用されています。昔から食材の保存に使われていたことからも、ピクルスなどの保存食にも使えます。

スーパーなどでは粉末状態で販売されているものもありますが、粉末だと急速に香りを失ってしまうため、4か月以内で使うのが推奨されています。自宅のコリアンダーパウダーはずいぶん前に買ったものですが、まだ何とか香りを保っている様子でした。

またコリアンダーの風味を引き出すためには熱の与え方が重要になります。例えば、フローラルな風味を楽しみたい場合は、加熱せずにそのまま使用し、逆にナッツのような香ばしさを出した場合は乾煎りすると良いと言われています。

風味成分が多く眠っている精油はシードの奥深くに含まれているため、調理前に砕くか挽くといいみたいですね。このようなちょっとした工夫がスパイスにとって重要になってくるみたいです。

パクチーとの違い

カメムシの匂いがすると言われているパクチーとコリアンダーは同じ植物から採れますが、種子(シード)の部分を使用するコリアンダーにはカメムシの匂いはしません。これは含まれている成分が異なることに由来します。

パクチーにはドデセナールとヘキセナールという成分が含まれており、これらがパクチー特有の臭さの原因と言われています。カメムシの匂い成分にもヘキセナールが含まれており、アルデヒド類のこの化学物質を私たちは臭いと感じてしまうようです。

一方、シードのコリアンダーは爽やかなリナロールなどを多く含むため、パクチーとは全く違う使われ方をするということになりますね。

ちなみに名前の違いは単に言語の違いによるものです。コリアンダーは英語圏の名前で、パクチーはタイ語の名前になります。中国では香菜(シャンサイ)と呼ばれるそうですね。

最後に

今回は、カレーやビールなど身近なところにあるようで、あまり知られていないコリアンダーについて紹介しました。

パクチーしか食べたことないよって方は是非一度買ってみてはいかがでしょうか。カレーに混ぜるだけで風味が際立ちますし、パクチーらしさが全くないので苦手な方でも大丈夫です。

同じ植物からこんなにも異なる香りが生まれるのかと感じていただければ面白いと思います。

参考文献


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