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【小麦の科学】もちもちパンを生み出すグルテンの秘密

みんな大好きなパンを支えるグルテンは小麦の成分として私たちの生活に広く役立っています。

時に体に悪いとされたり、グルテンフリーという言葉も有名になったりしていますが、体質的に問題なければ、私たちの食を楽しませてくれる素晴らしい食べ物です。

グルテンという言葉は聞いたことがあるけれど、それっていったい何なんだ?と思われる方も多いでしょう。

ということで、今回はそんなグルテンの知られざる科学の話をしていきたいと思います。

グルテンとは

グルテンとは弾性のあるグルテニンと粘性のあるグリアジンという物質が水と一緒に合わさることで形成される物質です。小麦の中にはグルテニンとグリアジンが含まれているため、水を加えて小麦粉をこねると次第にグルテニンが生まれるというわけです。

このグルテンは外力を加えることでグルテニンとグリアジンが反応し、網目構造を作ることで誕生します。そして2つの物質が合わさったグルテンは男性と粘性の両方を兼ねそろえた物質となるのです。

グルテンを見てみたいというのであれば、小麦粉に水を加えてよく捏ねてから水で洗ってみましょう。すると中からゴムのようなものが出てきます。これがグルテンです。

このグルテンの特異的な特性がパンのふわふわ感やもっちり感を生み出す重要な要素となります。またパンだけでなくクッキーやうどんや中華麺などさまざまな小麦製品の物性に影響を与えます。

例えば、ふっくらと膨らむパンにおいてグルテンは空気の気泡を閉じ込める役割を持っています。イースト菌という酵母が呼吸するために必要な気泡を適度にパン生地の中に分散させせて、発酵で発生した炭酸ガスも閉じ込めます。

グルテンの強度が弱いとガスは抜けてしまいパンは膨らみませんし、逆にグルテンの強度が強すぎるとガスによる膨張が起きません。

パン職人は最適な膨らみ加減を実現するためにグルテンをちょうどいい感じに作り出していると言えます。パン作りにおいて、パン職人は科学者よりも上手に反応を起こせる腕の持ったテクニシャンとなるわけですね。

捏ねたり伸ばしたり、パンしたりつぶしたりといった操作によってグルテンの網目構造を形成し、美味しいパンを作るにあたってちょうどいいグルテン度合いを作り上げます。

強力粉と中力粉の違い

料理によってはグルテンの量を調整しなければなりません。私たちはそんなグルテン調整に関しても知見を持ち合わせています。

みなさんも一度は強力粉とか薄力粉という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか?

なぜ小麦粉に種類があるのか不思議ではありませんか。実はこの分類、小麦粉が持つグリテニンとグリアジンの含有量の違いによるものなんです。つまり、捏ねたときにできるグルテンの量とも関係があります。

強力粉:グルテン原料が最も多い。食パン、ベーグル
準強力粉:中華麺、フランスパン、餃子の皮
中力粉:うどん、和菓子
薄力粉:クッキー、ケーキ、天ぷら(フライ)

これらの小麦粉を作り出す小麦の品種が違うようです。グルテン含有量を調整できるように使用する小麦の品種を変えているというのは面白いですよね。

またパスタに使われているのはでデュラム小麦と呼ばれるもので上記の小麦粉とは違うようです。よくスーパーでデュラムセモリナ使用と書かれたスパゲッティを見かけたことはないでしょうか?

これはデュラム小麦のセモリナ(粗挽き粉)したという意味です。パスタには欠かせない小麦粉で黄色みがかった色をしています。なんと強力粉よりもグルテン含有量が多いそうです。

最後に

今回はグルテンと小麦の関係について紹介しました。小麦の種類なんて何であるんだろう?と思っていましたが、グルテン量に秘密があるとはいい気づきだったと思います。

逆にグルテンが苦手な人は食事やその原料などに気を使って生活した方が良いかもしれません。

グルテンが大丈夫な人は、パンや麺を食べるときその食感とグルテンの関係性について考えてみると面白いですね。

トップ画:https://tenki.jp/suppl/yamamoto_komo/2020/02/02/29670.html参照

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