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【X線CT】体を輪切りにして調べる技術

最近、VRやARといったバーチャル空間に没入したり、現実世界に投影するタイプのコンテンツが増えてきていますよね。

時代は2次元の写真や映像の世界から徐々に3次元の空間の世界に拡張されている感じがあると思います。

ところが、私たちはいまだにカメラを使って画像や映像を記録するのが一般的であり、3次元のものを記録する術はあまり持っていないですよね。

今回はとある企画のプロローグとして、3次元で調べる技術に関してざっくりと紹介していきたいと思います。

そもそも世の中ほぼすべてのものは3次元構造を持ってます。要は立体的ということです。そんなものをバーチャル空間に投影したり、データという形で記録するためには、単純なカメラではダメで、少し変わった方法で撮る必要があるというわけです。

初回である本記事では、あまり知られていない3次元情報を得る技術の中でも多少なじみのある医療機器 X線CTについて紹介します。

X線CTとは

私たちの身近なところでは病院で使われるX線CTですが、原理としては、レントゲンの拡張版ととらえてもよさそうです。レントゲンというと多くの人が経験したことあるでしょう。

レントゲン然りX線CTは、X線の吸収率の違いを白黒にして画像を描画する方法です。簡単に言えば、X線を体に当ててその影絵を見る方法です。

画像1

これを360°いろんな方向から影絵をつくり、コンピューター上で計算してやることで3次元構造を作ることができます。この計算は簡単なものではないはずですが、今の時代人間が一から計算するなんてことはなく、専用のソフトウェアが計算してくれます。

図2

上右図のような感じでX線がいろんな方向から当たります。これが体の周りをるグルグル回ってデータを集めるんですね。

一般的にCTといわれるとX線を使ったものを想像しますが、CTというのはコンピューテッド・トモグラフィーの略で、コンピューターを使った断層像という意味で、X線でなくても使われます。

ちょっとややこしい話になってきましたが、X線CTはレントゲン写真同様に体を破壊することなく見ることができ、しかも3次元に復元することができるため、レントゲンよりも詳細にケガや病気の診断に使われることが多いんですね。

X線CTの弱点

ただし、X線は少なからず被ばくするので、乱用するのは避けたいところです。まあ、人生で数回病院でかかる程度であれば全く問題ないと思いますが。

X線の弱点は私たちの体の柔らかい臓器などを見ることができないというところです。レントゲンを思い出してもらえればわかりやすいと思いますが、主に見えるのは骨ですよね。

これはX線が水素や炭素でできた有機物(主に内臓とか)を見るのが難しく、逆にカルシウムを含む骨の方が見やすいという理由があります。(正確には、X線は電子密度が大きいものをとらえやすい)

ここで大きな問題が出てきてしまいましたね。X線CTは血管などの組織を見るのには適していないんです。

そこで、登場するのがきっと一度は耳にしたことがあるMRIです。このX線CTの弱点をカバーしてくれるMRIに関しては次回紹介したいと思います。


3次元X線顕微鏡

X線CTは取り方を少し変えると小さなものを拡大して見ることもできます。X線は目には見えないですが光の一種です。そのため虫眼鏡で拡大するかのように、X線を投影することができれば、小さなものの内部構造を非破壊で見ることができるんです。

そんな技術、大学のようなアカデミックな現場でしか使われていないんでしょう、と思われるかもしれません。確かに、一家一台という装置ではありませんが、小さな生物の体の構造や、半導体の欠陥を調べたり、薬の錠剤など本当に幅広い領域で活躍しています。

最後に

今回は病院で、体内を3次元で観察することができるX線CTについて簡単に紹介しました。

私たちのケガや病気を発見してくれるX線CTですが、上述したように弱点があります。この弱点を補うかのようによく使われているのがMRIです。

ということで、次回はMRIによる3次元データの取得について紹介したいと思います。

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