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【スパイスの科学】チョコレートだけではないカカオの秘密

カカオと言えばだれもが知っているチョコレートやココアの原料ですよね。
そんなカカオをスパイスとして使うというのはどうでしょうか?

正直考えたこともありませんでしたが、世界ではカカオをチョコレートやココアと異なるスパイスとして利用する方法もあるようです。
今回はそんなカカオについて見ていきたいと思います。

カカオの歴史

カカオは紀元前1500年よりも前から、メキシコ南部のオルメカ文明で利用されていました。紀元前ということは今から3500年も前からということなので非常に長い歴史があることがわかりますね。

その後、紀元前600年頃までにはユカタン半島のマヤ文明に伝わり、マヤ人たちはカカオを栄養剤として食べていたようです。

当時、マヤ人と取引をしていたアステカ族はカカオ豆を甘くない飲み物に加工し、これがチョコレートなどの始まりのようですね。

16世紀にユカタン半島を侵略したスペイン人が、カカオを砂糖で甘み付けし、その後チョコレート飲料がヨーロッパで楽しまれるようになりました。チョコレートという概念やチョコは甘いものというのはこの時期に作られたようです。

歴史からもわかるように原産地は中南米地帯ですが、現在ではアフリカのコートジボワールやガーナでの生産が盛んです。

スパイスとしてのカカオ

とても興味深いところとして、カカオを食用に利用するためには、いろいろと工夫が必要なようです。

カカオの果実から種を取り出し、生の種を発酵させて風味を引き出します。この種が一般的にカカオ豆と呼ばれるやつですね。

さらにそれを乾燥させて、焙煎してから外皮と中のカカオニブという部位に分けます。これがスパイスとして利用されるようです。

ちなみにチョコレートもこのカカオニブをすりつぶして砂糖を加えることで作られるようです。

このカカオニブは砂糖を加える前は甘みがまったくない苦いスパイスです。そのためスパイスとしてはチョコレートの香りや苦み、ナッツのような触感を楽しむことになるようです。

カカオニブには約600種類の風味化合物が含まれて、栽培地域、木の種類、過去方法によって異なります。それほど多くの風味成分が含まれているので、チョコレート風味だけでなく、苦みや香ばしさフローラルさなど複雑な香りを楽しむことができます。

カカオニブの成分としては苦みの由来となるカフェインやテオブロミン、チョコレート風味となるイソバレルアルデヒド、フルーティなアルコール類やエステル類などが含まれます。

使う前に軽くローストするとナッツのような風味を醸し出すこともでき苦みを抑えることもできるようです。

カカオニブの利用法

カカオニブのわかりやすい利用としては、やはりパンやお菓子に混ぜることでしょう。そのままでは苦みが強いカカオニブでも少量含まれていると良いエッセンスとして働きます。

またナッツのような触感があることからグラノーラと混ぜて牛乳やヨーグルトと一緒に食べるなんていうのもよく紹介されていますね

そしてスパイスとしてのカカオニブの利用法は非常に多彩で、スイーツだけでなく、野菜や肉、魚介などに合わせることもできます。

例えばマスタードとオリーブオイルと混ぜたドレッシングや天ぷらやフリッターの衣に加えるなど普通の料理として食べることもできるようですね。

またスパイスの成分ではありませんが、カカオニブにはリグニンが豊富に含まれています。不溶性食物繊維であるリグニンには整腸作用や腸の運動作用などに影響を与えると言われており、風味以外にも健康に良い食材と考えられています。

最後に

今回はチョコレートの原料でもあるカカオニブというスパイスを紹介しました。

カカオという名前はとても身近な植物ですが、よく考えるとカカオ本体を見たこともありませんし、その歴史や利用法は知らないことばかりでしたね。

カカオ本体は購入しても調理が難しそうですが、カカオニブ自体はそのままスパイスとして利用することもできますし、通販で買うことも可能です。
いつか機会を作ってカカオニブを料理に使ってみたいものですね。

参考


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