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身近に潜むコロイドの謎~食材から次世代デバイスまで~

ビールの泡,スパゲティ,マシュマロ,抹茶,雲,ステントグラス,これらに共通するキーワードが何かわかりますか?

突然のクイズでしたが,途中までは食べ物かなと思われたかもしれませんが,雲当たりから様子が変わりますね.

この答えはコロイドです.

コロイドとは

理系の方なら高校時代に勉強した記憶があるかもしれませんが,そうでもなければおそらくほとんどの方がコロイドなんて言葉を聞いたことがないと思います.

実はコロイドという状態は非常に身近であり,おそらく私たちは毎日何かしらのコロイドを見ているといえるでしょう.すでに紹介した通り雲や泡,暑い夏にはもってこいのゼリーなんかもコロイドです.

それではコロイドとは一体何なのか?もう少し詳しく見てみましょう.
コロイドというのは分散質が分散媒の中で分散している状態を指しています…まったく意味不明ですよね.

もっとかみ砕いで説明します.
物質には一般的に3つの状態があります.水を例にすると,水そのものは液体ですが,温度が下がると氷になりますよね.氷は水の固体になった姿です.逆に温度を上げると水は蒸発して,目に見えない水蒸気という気体になります.

このように物質は温度や圧力によって固体,液体,気体という状態を変化しています.

ここで例えば液体の中に混ざりこんだ場合を考えてみましょう.つまり,水の中に空気がボコボコとしている状態です.私たちはこの様子を見ると泡といいますよね.このように異なる状態が組み合わさっているものをコロイドといいます.ここで水が分散媒と呼ばれ,その中にある空気の粒が分散質と呼ばれます.まあ,専門用語を覚える必要はありません.

また,同じ状態であっても異なる物質であれば,組み合わさることが可能です.

例えば,水と油は両方とも液体ですが,普通混ざりあわないですよね.

ただ,水と油が入ったボトルを激しく振ると混ざり合います.おそらく多くの方がドレッシングのボトルを振った経験があるはずです.このような場合は液-液のコロイドになります.

最初の例として登場したステンドグラスは固-固のコロイドです.実はあのカラフルな色のうち赤いステンドグラスは金の微粒子がガラス状に分散していることで生まれているんです.金なのになぜ赤いの?と思われる方はこちらの記事をご覧ください

仮に金の粒子が分散しておらず,逆に凝集してしまっていると,ステンドグラスは赤ではなく,だれもが知っているメタリックな黄金色になってしまいます.

コロイドは何の役に立つのか?

さて,ここまでコロイドの紹介をしてきましたが,一体何の役に立つのでしょうか?食品であれば,口当たりや滑らかさといった食感に影響を与えることが想像できると思います.

実際に食品の分野ではクッキーやケーキの食感(テクスチャ)は研究対象となっており,日夜改良を目指して研究されています.

一方で,ステンドグラスの例を見てもわかるように小さな微粒子が分散しているコロイド状態は私たちの想像を超えた性質を示すことがあります.

電気的・光学的特性という面では,高感度にウイルスを検出するためのデバイス(プラズモニクス)や高効率の次世代太陽電池(量子ドット)などが挙げられます.

他にも泡の持つ物理特性は現代でも興味深く,衝撃吸収素材や熱制御材料など幅広く研究が進められています.

身近なところにあるコロイドという状態は多く人から認知はされていないように思いますが,このように見てみると,とても未来のある科学といえるはずです.

もし興味がある方がいたら,ぜひ調べてみはいかがでしょうか

最後に

今回は初期のころに記事にしたコロイドのリメイク記事になります.
リメイクといっても,書き出してみると意外と内容が変わってしまったので,もはや新記事としてもいいのかもしれませんね.

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