フォノニック結晶:熱を操る結晶
前回に引き続き、フォノンエンジニアリングの1つフォノニック結晶を紹介したいと思います。
今回のフォノニック結晶は近年ブームな結晶なので是非広く伝わればうれしいですね。
フォノンってなに?って方はこちら↓
フォノニック結晶
フォノニック結晶はこのフォノンを操ることができます。つまり、固体中の音や熱を操ることができるわけです。結晶と呼ばれるのは、内部に規則的な構造がありフォノンからしたら結晶に見える構造になってるということです。
例えばこんな構造↓
以前、紹介した光子(フォトン)を制御するフォトニック結晶、プラズモンを制御するプラズモニック結晶ときたら、フォノニック結晶というネーミングはなんとなく想像できますよね。
厳密な原理は異なりますが、考え方はフォトニック結晶やプラズモニック結晶と似ています。つまり、フォノンにおいても周期構造があることで、フォノニックバンドギャップが現れます。
フォノニックバンドギャップとは
周期構造を持つ物質は何かとバンド構造を持つようです。
**難しい話はいらないって方はスキップしてくださいね**
エレクトロニクス分野でよく使われる、半導体ではその性質(性能)に影響を与える電子のふるまいがバンド構造で決まるため、その研究が非常に進んでいます。
一方、フォノニック結晶ではフォノンのふるまいに影響を与えるバンド構造が現れます。
ざっくり言ってしまうと、フォノンバンドとはどの状態にどれだけフォノンが存在できるかを表しています。しかし、ちょっととっつきにくいですよね
もう少しわかりやすい極端な例が、フォノンバンドギャップです。これはバンド構造の時にも説明したように、ある状態のフォノンが侵入できなくなります。つまり、熱が伝わりにくくなります。
**スキップここまで!!**
語弊も恐れず、一言でいうならフォノニック結晶というのはの決まった種類の熱や音を通さないような不思議な特性を持つ材料です。
熱電材料
例えば、熱の伝わり方を操ると、熱から電気を作ることもできます。熱電材料に求められる性質の1つは電気は通すが熱は通さないという特性です。
でも電気がよく流れるもの(たとえば金属)は熱もよく通すというのは中学か高校ぐらいで習うお話ですね。これは電子が熱を運んでいるということです。(eというのは電子ですね)
しかし、とっても微細な構造を作ってフォノンバンドギャップを作ってやれば、熱だけ侵入できなくなるので、電気は通すが熱は通さないという物質ができます。
このような、普通では考えられない性質を持つ材料を作ることができると、熱電変換に使えます。
熱電変換はフォノンよりももっと広く知られた言葉かなと思います。ペルチェ素子とかゼーベック効果というものが有名ですね。
そうすると、片方は熱いのに片方は冷たいという状態を作ることができますね。そのような温度差を作ることで電気を取り出すことが来ます。
最後に
2回にわたってフォノンエンジニアリング・フォノニック結晶の説明をしました。
わかりやすさに特化したので、ちょっと行き過ぎた表現もあります。100%鵜呑みにはせずに、雰囲気こんな感じだと思ってください。
かなり難しい内容ですので、雰囲気だけでもつかめたって方がいれば幸いです。
注意:
フォノンの説明は非常に難しくて、正直学術的にはかなり雑な説明になっています。
私自身、記事の内容は自分なりに理解してかみ砕いていますが、専門的に研究しているわけでないので、間違ってることもあるかもしれません。
あくまで、この記事は雰囲気を知るぐらいに使ってもらえればと思います。
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