DNAのいろんな構造:二重らせんから四重鎖まで
DNAというと「遺伝」が最初に思いつくのではないでしょうか
そのDNAの構造は?と聞かれたら「二重らせん」を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、実際のところDNAという物質はもっと複雑で自然界でいろんな構造を作ることができます。
以前紹介した人工的にナノ構造を作り上げるDNAオリガミについてはこちら↓
今回は、そんなDNAの構造について紹介したいと思います。DNAとは?については上の記事をご覧ください!
DNA二重らせんの種類
らせんに種類があるってどういうこと?と思われるかもしれません。それは一目見れば、わかります!
https://microbenotes.com/different-forms-of-dna-b-form-a-form-z-form/より引用
A-DNA, B-DNA, Z-DNAとありますね。
らせんの巻き方がちょっとずつ異なります。
DNA二重らせんはいくつか種類がありますが、ここでは有名な3種類をちょっとだけご紹介
A-DNA
Aとつきますが、B-DNAに比べると登場頻度が少なめなDNAです。液体の中で安定なB-DNAに対して、水の少ない環境では、このA-DNAの構造が安定です。
図を見ると分かりますが、らせんが傾いており、らせん階段であれば非常に歩きにくいような形状ですね。
B-DNA
こちらが最も一般的なDNA二重らせん構造です。おそらく、DNAと聞いて最も身近に登場するのがB-DNAのらせん構造でしょう。
このDNAが二重らせん構造だと分かってから、分子生物学などの研究が一気に進みました。後にこの二重らせんを発見したワトソンとクリックはノーベル賞を受賞します。
ちなみに、A-DNA、B-DNAの構造の決め手になったX線の研究をしていたロザリンドは若くになくなってしまいノーベル賞は逃しました。彼女がいなければ、DNAの研究はもっと遅れていたかもしれません。
Z-DNA
その名もジグザグ(zig-zag)DNAです。こちらも特殊な環境で登場するDNAの構造です。
一般的には特殊な配列や特殊な環境によって現れる構造です。
A-DNAもB-DNAもらせんの向きが右向きですが、このZ-DNAは左向きのらせんです。そんなことから、研究者はどうやったらB-DNAがZ-DNAに変化するのか頭を抱えていたそうです。
ちなみに調べてみるとC-DNAというタイプもあるようです。
より複雑なDNA
DNA三重らせん
二重らせんはその名の通り2本のDNAがらせんを組んだ構造です。
それに対して、三重らせんは3本のDNAが絡まってらせん構造を作ったものです。
DNAではそれほど一般的ではありませんが、コラーゲンは3重らせんが有名です。
グアニン四重鎖(G-クアドラプレックス)
グアニンというのはDNAの文字の1つです。グアニン(G)が4つ向き合って巨大な構造を作っています。名前のクアドというのは4という意味ですね。
4つのグアニンの中心には金属イオンが入って安定化します。
https://www.mdpi.com/1420-3049/24/3/396/htmより引用
最近では、体内に現れるグアニン4重鎖が医学的に注目されていますね。ちょっと詳細はわかりませんが、とても興味深い話だと思います。
最後に
今回の内容は知ってる人は知っている(生物系・化学系)お話でしたが、意外と知らない人も多いのではないでしょうか
実際、私は材料系(物理)の人間なので、自分の研究テーマでDNAを使うまでは全く知りませんでした。
私たちの体はこのような自然の神秘によって出来上がっているんですね。
(神秘と書くとなんか胡散臭く見えますね、科学的に書くなら自然の摂理とか物理法則でしょうか?)
引用
https://en.wikipedia.org/wiki/Nucleic_acid_double_helix#Helix_geometries
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