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言葉を哲学することで、緩やかな生き方を知る―『言語ゲームの練習問題』

きっかけはすっかり忘れましたが
大学生の頃、
一人の哲学者にハマりました。
その人の名は、ヴィトゲンシュタイン
興味の赴くままに
生協で『論理哲学論考』を購入し
おそるおそる読み始めたのです。
そしたら。

全く理解できず、撃沈。

言葉が端的過ぎて。
論理が徹底され過ぎて。
私自身の思慮が浅過ぎて。
哲学的知識が乏し過ぎて。

とりあえず、何もかも足りず、過剰で
最初の一行から衝撃的なほど難解で。
その時は本をそっと本棚に差しました。

その後も、何度か
『論理哲学論考』には挑戦しました。

時には、その入門書を読んだり
自分なりに現代思想を学んだり。
試行錯誤と四苦八苦を
右往左往したのです。

それでも、まったく歯は立たず。
完膚なきまで敗北し続けていました。

駄菓子菓子。

今回、そんな悪戦苦闘を
断続して続ける私に
救世主が現れたのです。それがコチラ。


■『言語ゲームの練習問題』について

■『言語ゲームの練習問題』
■橋爪大三郎著
■講談社現代新書
■2022年12月
■860円+tax

帯に大きく書いてある通り
「言葉を哲学する」本書。

本書は、ヴィトゲンシュタインの
解説書ではない。
哲学の本というわけでもない。
社会の成り立ちについて考える本だ。

「隕石衝突問題」から始まる本書は
このように述べられます。
そう、本書は
ヴィトゲンシュタインの
解説書ではないんです!
でも、私はこの本を読むことで
ようやくヴィトゲンシュタインの言語哲学を
理解する端緒を得たのです。

それはきっと。
この本が「36の疑問」に対して
丁寧に細やかに答えを語るものだから。
そして、本書における筆者のふるまいが
言葉について徹底的に、
本質を抉り出したと思っても
さらに掘り散らかす勢いで考え尽くした
ヴィトゲンシュタインの思索と
みっちりと重なるものだから。

ヴィトゲンシュタインが
何を疑問に思い、どういう道筋で考え
どこに至ったのか。
私たちにも取っつきやすい疑問から
それらを解き明かしていくのが
この『言語ゲームの練習問題』なのです。

■言語ゲームとはなにか

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