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小田原柑橘倶楽部


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水沢腹堅

1月某日。隣の会社の社員旅行に便乗して、横浜から熱海へ至るバス旅行に参加しました。

その道中では何度も蒲鉾販売店へ寄っていたのですが、そこで出会ったのが小田原柑橘倶楽部。お店の端、ペットボトル飲料等を販売している場所で控えめに特産の柑橘を使ったサイダーやチョコレートなどを展開していました。

チョコレートは大きめのタブレット。ホワイトチョコをベースに、柑橘のフレーバーがさわやかな、味わいとしては良くも悪くも癖のない印象です。

クラフトチョコレートというわけではなさそう。というのも、岡山県にあるヒルゼンミルキー社が委託制作しています(ヒルゼンミルキー製のチョコレートは他の種類も何枚かいただいているので、また別の機会に紹介できればと思います)。

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FILM

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蒲鉾の印象しか残らなかった旅行の数週間後、思い返せばコロナの騒ぎが急展開する直前ですが、西岳さんを連れて(といっても運転するのは西岳さんなのだけど)小田原と箱根を回りました。今回の訪問先のメインはポーラ美術館と、現代美術作家の杉本博司さんが手がけた江之浦測候所です。

江之浦は私がずっと行きたくて機会をうかがっていた場所。期待以上、想像以上にかっこよくて打ちのめされました。

海に面した小高い丘にある蜜柑畑を少しずつ広げて作られたランドスケープは、何度も観ている写真作品の「海景」シリーズさながら。太古から続く時間と空間の狭間に身を置く、この瞬間に「私」の起源へが立ち上がり、そこへまなざしを向けさるようだと思いました。太陽の動き、光と影、門、石柱…広い敷地内のどこを切り取っても杉本さんの美学が詰まっています。

「このタイミングで来たことに意味がある、と思わせるくらいの…」

実感を伴う体験を通して美術を深く知ってゆくことは、生涯を通して大切にしたいなと改めて思います。この日を最後に外出自粛生活を余儀なくされたので、余計にこの旅で得た雑感の印象が強調されているのかもしれません。それでもこんなふうに思い返すだけで心が震える体験って、そう何度も出会えるものではないでしょう。

ただ、この日、下調べもして何年か越しに希望が叶った私よりも、なんとなく連れてこられた西岳さん(彫刻家です)のほうが、直感的に感じ取れるものが多い様子でした。古い木材や石とガラスなどの新素材の組み合わせは好きだろうなとは思っていたけれど…建築物の施工方法や、積み上げた石や組まれた木の微妙な造形のバランスとか、アーティスト目線では見えている景色の情報量が違うのだというのは、隣にいてなんとなくわかります。ああ、なんだかずるいなぁ。さっきまで杉本博司と杉戸洋がこんがらがっていたくせに。でも、まあ、彼の制作のヒントになれば、うれしいです。そして実際、この旅の経験が「形」になったのでした…

CHOCOLATE

https://www.odawara-kankitsu.com/


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