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平成最後の夏に「がん」の不安を聴きにいく

8/11-12 ジャパンキャンサーフォーラム2018へ参加してきました。

今回は、私がキャリアカウンセラーの資格認定を受けている、特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(通称:JCDA)のブース運営でした。
認定を受けたキャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントの有志で運営をしてきました。

主目的は、治療と仕事の両立について、キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントに相談できるということを知ってもらうことです。

だからといって、ただチラシを配るのもつまらないので、10-15分くらいのプチカウンセリング体験をしてもらい、がんにまつわる困りごとや不安なことをお伺いし、それを私たちが要約筆記したものを、ご自身で掲示してもらおう、という企画を立てました。

こんな感じ。

ちょっと見切れちゃいましたが。

自分の話した内容が、「体調・気持ち」「制度・お金」「仕事・役割」「人間関係」のどの部類に入るかを考えて、ボードに貼ってもらいました。

カウンセリングで大事なのは、例えば、
「会社の制度に柔軟性がなく、退職するしか道がなさそうだ」
というお話であれば、その事実を伺うだけでなく、そのときの気持ちや、柔軟な制度運用ができそうな工夫はないか、などに対するご自身の考えを伺うことです。

複数の人が同様の体験をしていても、その気持ちや考え、背景は一人ひとり異なります。
そして、自分ではもうどうにもならないと思っていることにも、もし選択肢を持っていないようなら、考えられる選択肢を提示してみることもあります。

私たちはアドバイザーではなく、最終的にご相談者が自分で考えて決断できるように、小さく背中を押していく係のようなものです。

ただ聴くだけではなく、相談者ご自身が考えを深め、選択肢を持ち、行動ができるよう促すことために問いかけます。
とはいっても、私たちでは力及ばず、ただお話を傾聴するだけにとどまることもあります。
おひとりおひとり、現状や背景が異なるからこそ、しっかりとヒアリングすることが重要です。

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話の導入が仕事の話だったとしても、ご病気に関する話をしていると、少なからず「死」に関する話も出てきます。
カウンセラーの技量が試されるところです。
覚悟ができていないと、ご相談者を傷つけたり、カウンセラー自身のメンタルヘルスに支障をきたすこともあります。

だからこそ一般の方(家族や友人、同僚など)には、こういった内容の相談を受けるのは難しいのだと感じています。

患者さんは、腫れ物のように接してほしくないと思う。
でも、相手は傷つけまいとして、また自分がどうふるまったらよいかがわからなくて、反応に困ってしまう。
そんな現状もあります。

外見ではがん患者、がん経験者ってわからないことも多いです。
でも、治療中、治療後のQOL(生活の質)は下がって、治療前と同じにはならないこともあります。

社内制度で、休職期間が満了になると退職となることもあります。
非正規雇用なら、契約が更新されないことも。
再就職も、現状の自分の体調や治療計画と相談しながら、できる仕事を探します。
新たな場所に受け入れてもらうのには、どうすればいいのだろう。

職場の同僚ががんになって、支える側が感じる思いもあります。
自分の仕事もやらねばならないし、でも同僚も支えなければならない。
場合によっては相手の生死がかかっているからこそ、どう接すればいいかわからない。
支える人も大変なんです。

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話しながら、気持ちと考えを整理してもらいます。
「あのときの気持ち」に気付くこともあります。

私たちは、その気持ちを大切にしながら、先に進むために必要な工夫を一緒に考えます。
「なんでわかってくれないの?」と相手の行動に注目するよりも、自分のアプローチを変えてみることが有効なこともたくさんあります。
対象が患者さんだけでないことも、先に書いた通りです。

どなたのキャリアも支援するのが、
キャリアカウンセラーであり、キャリアコンサルタントです。

ボードを掲示したことで、多くの方が立ち止まり、ご自身の体験と重ねてみたり、行政で就職支援をしている方は、患者さんがどんなことで困るのかの情報収集をされていました。

困りごとがあるのが、患者さんだけではないことにも気づいていただきました。
私個人としては、ドナー体験をされた方の不安をお伺いできたことが貴重でした。
ドナー体験をされた方とお話をする機会が初めてだったのです。
提供側としての仕事と健康のリスクについて、伺うことができました。

日頃のカウンセリングは守秘義務があるので内容公開できませんが、今回は皆さんに許可をとって掲示をさせていただきました。
皆さんの声が、他の方の気持ちを動かします。

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今回の運営メンバーのお一人。砂川リーダーと呼びましょう。
日頃から「治療と仕事の両立」に関する相談業務を行っているほか、国や支援の受託事業者への積極的助言を行っています。
私とは個人事業主同士、個々に活動しているので、たまに情報交換をします。
別々の活動でも、思いは同じですから、支援の方向性について意見を交換することは、研鑽の意味でも大事なことです。

今は支援の仕方そのものより、私たちの存在と、私たちにできることを知ってもらうことが課題です。
発信力の足りなさ、下手さを痛感しています。
知ってもらわなければ支援もできないわけで、次に学ぶ必要があるのは、ここなんだろうと思います。

発信のロールモデルとして、幡野広志さんを尊敬してやみません。
目的に向けて、狙いを定めて確実に実行する力、周囲を巻き込む力は、幡野さんから学んでいるかもしれません。
私がたびたび幡野さんに会いに行くのは、その意味が大きいです。
「がん」という共通の経験を経ている人だけを対象とするのではなく、「生きてそしていずれ死ぬ」という共通の経験をしている、全人類を対象に発信しているところがもはや違います。

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話を戻します。がん研はなかなかすごかったです。

患者さんも経験者も、家族も職場同僚も、ドナー経験者も、医療従事者も、そしてこれから治療をスタートする方も、治療中で入院している方も。
とにかく、がんと何かしらのつながりを持つ方々が一堂に会しました。

会場でお話をお聞かせくださった方、ブースを訪ねてくださった方、会場でお会いした社会課題にトライしている方たち。
共に二日間を運営したメンバーの皆さん。
皆さんにお礼を伝えます。

そして、私は粛々と日常業務に戻ります。

「治療と仕事の両立」もそれ以外も、ご相談承ります。
社内研修もご用命ください。
スリーメソッズ 汐見英里子

https://03methods.jimdo.com/


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