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100冊読んで見つけたお気に入り①小説(人間ドラマ)

2017年。
大学も卒業間際というところで、それまでは年に10冊読めばいい方だった私も「賢い人は本を読んでいる!」ということに気づき、それから賢い人の真似をする気持ちで「毎月1冊、余裕がある月は2冊」を目標に、毎年20冊の本を読むことを心に決めた。

ジャンルは問わない、ただし漫画はノーカウントということだけをルールとし、小説・エッセイ・ビジネス・自己啓発などいろんなものに手を出しては読んで読んで読んで、読んだ。

友人がFacebookで紹介している本があったらその場でポチり、街へ出かければとりあえず書店を覗き、積読書が無くなってきたらメルカリで古本を大量購入…

そして、4年がたった。

2017年:23冊
2018年:9冊
2019年:24冊
2020年:43冊
2021年:6冊 ※3月現在
合計:105冊

スタートが肝心ということで、1年目の2017年は頑張っていたものの、2018年、社会人2年目の急減速がなんとも痛々しい…9冊。

それから2019年でなんとか持ち直し、2020年のおうち時間による爆速追い上げでようやく、ようやく、ようやく100冊に…!

う、うれしい…。

たかが100冊、されど100冊。

私史上最も本を読んだ4年であったことは間違いないので、読了100冊を記念し、4年かけた100冊の本との出会いで見つけたお気に入りを残しておこうと思います。

今回は小説(人間ドラマ)。



1. 阪急電車:有川浩

電車移動の数分でさえも、数インチのスクリーンでドラマを見たり本を読んだり敵と戦ったりするので大忙しな乗客の方が圧倒的に多い日本、令和。

電車でほっこりできる瞬間などめちゃめちゃ少ないし、そもそもほかの乗客に意識なんて向いていない、というのが現状。
ではあるものの、明日電車に乗ったらとりあえずLINEはホーム画面の通知だけ見て、イヤホンはしまって、絶対に人間観察したくなる一冊。

二度と会わないかもしれない乗り合わせの乗客たちが、全員物語の主人公、ヒロインそして名脇役に見える一冊です。

短編小説のようで全然関係ない話が一つずつ始まるのかと思いきや、じわじわ全部つながってしまうところも、魔法のようで素晴らしい。

2. 本日は、お日柄もよく:原田マハ

スピーチ、演説、手紙、プレゼンテーション。

言葉を選んで準備しなければならない場面は少ないようで多いし、難しいようで、やっぱり難しい。

言葉の紡ぎ方、伝え方、姿勢。
活字とは思えないほどの臨場感でそのひとつひとつをまっすぐ教えてくれる一冊。

文章を書き続けたい、と思う人間として、ものすごく勉強になる一冊です。

主人公は冴えないOL。舞台は政界。
キーパーソンは初めて出会う仕事「スピーチライター」のプロ。

私はこれで泣きました。

3. たゆたえども沈まず:原田マハ

ゴッホ展なるものが開催されようものなら超満員も珍しくないほど日本人にはなぜか馴染みがあるらしい画家、ヴァン・ゴッホ。

かく言う私も例に漏れず、大学時代の友人にゴッホ展に連れて行かれてからというものその迫力と温度?と動きのある絵を結構好きになってしまった側の人間。
ショップがあればしおりとか買っちゃうタイプの人間です。

正直今でも美術の世界についてはほとんど何も分かっていないのですが、ただ、彼らみたいな天才ですら私たちと同じようにものすご〜〜〜〜い人間くさいところを生き、新しいことを始めれば潰され、嫌われ、疎まれる苦悩に悩みながら同じように生きていたことが伝わりすぎる生々しさ。
読み応えがすごい。フィクションだということが信じられない。

私はこれでも泣きました。

4. 漁港の肉子ちゃん:西加奈子

とあるイベントで、蒼井ブルーさんが「最近読んで良かった本」として紹介をしていたので手に取った一冊。

小説を読んで味わったことのない感覚に包まれた一冊でした。

むずむず…げらげら…にやにや…ほくほく…じんわり。

主人公はパンチの強すぎる強烈母(肉子)と年頃の娘(キクコ)。

肉子ちゃんの底抜けの明るさと豪快すぎる言動に笑い、年頃の女子が必ず持っていた不器用さと器用さをもれなく持つキクコにムズムズし、最後は2人が大好きになった一冊。

ここから私の西加奈子月間(2~3ヶ月)は始まりました。

5. 夜のピクニック:恩田陸

初めて読んでから4年も経っているのに、とりわけ珍しいストーリーでもないのに、いまだに読後感はしっかり覚えている。

泣くような切なさや感動はなく、体力も必要なく、だからといってサクサク読めるほどライトではなく、しっかり余韻が残るので「いい小説紹介して!」と頼まれたらこれをお勧めしています。

高校を卒業してからうっかり10年たとうとしていますが、埃かぶったあのころの感情が久しぶりに顔を出してくれる一冊。


歩行祭などというイベントは経験もなければ登場人物との共通点もないのに、なぜかものすごく懐かしくなる不思議な一冊です。

「賢くなりたい!」というなんとも幼稚な動機で半強制的に習慣化した読書ではありますが、今や積読書が1冊もない状況など考えられないほど、生活の一部としてとても大切な時間になっています。

素敵な本との出会いがまだまだまだまだまだまだまだまだありますように。

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