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女性がすーっと消えるまち

というタイトルのドキュメンタリーを見た。

女性だけでなく、どんな立場にある人が見ても、前向きな気づきを与えられる素晴らしいドキュメンタリーだった。

地元の若者Uターン率に男女で大きな開き

舞台は兵庫県の日本海側に位置する豊岡市。
温泉で有名なこの町、若者のUターン率に男女間で倍の差があるという。

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         ↑ドキュメンタリーより抜粋

故郷を離れた若い女性が帰ってこないことに着目した前市長。市役所にジェンダーギャップ対策室を立ち上げ、町をあげて改革を行おうとした矢先、選挙で敗北。

保守的な住民の考えが根強く残るからなのか?
市役所も役職のある職員はほとんどが男性、町内会長もすべて男性と、さまざまな意思決定の場で女性が立ち入る隙がない。
新しい市長はジェンダーギャップ解消に前向きかどうか、特に触れられていない。

その一方、従業員の働きがいアンケートでダントツの評価を得た旅館では、料理長というポジションには珍しい女性を起用するなど、
【その人の能力】と【ライフステージごとに変わり得る制約や条件】の両方を掛け合わせて人事を行うという。

”普通”とは異なる登用や、風通しの良い職場環境を作った甲斐あってか、その旅館は旅行サイトでも高評価を獲得している。

この旅館以外にも女性だけでなく、男性を含めた様々な事例を交えて、どんな立場の人が見ても自分ごととして落とし込みやすく、共感でき、またポジティブな気づきを得られる構成となっている。

自分の過去を振り返ると

私が去年まで勤めていた会社は約10年前、宝くじに当選する倍率とまで言われた就活を突破して入った都内のテレビ局。入社当時は自信に満ち溢れ、男性の同期との差なんて微塵も感じていなかった。
しかし希望の部署に行けないまま入社4年目で1人目の子どもを出産すると、同期とは全く同じラインに立てなくなった。結婚前は親身に相談に乗ってくれていた信頼していた上司も、手のひらを返したような態度に。

入社6年目にしてようやく希望に近い部署には異動できたものの、やはり日々の業務の中で母親であるということが邪魔をした。

「子供が小さいから現場でバリバリ働く部署は無理」
「子育て中だから出張には行けない」

という男性上司の持つ一般的なイメージによって、人事や日々の業務内容を決めつけられることは珍しいものではなかった。

同じことを子持ちの男性に言うとは思えないが、やりたい気持ちがあったにもかかわらず、そんな言葉を目の前にして言われると、大きな疑問や怒りを感じることもなく、「そうだよな」と半ば諦めていた自分がいた。

もし男性であれば能力に関わらず与えられていたかもしれない経験を、女性であるだけで、母親であるという理由だけで得ることができない。その蓄積は長期的なキャリア形成に影響し、生涯賃金の差にも表れる。

誰しも無意識バイアスがあることを意識して

「無意識バイアス」という言葉をご存じだろうか?アンンコンシャスバイアスとも呼ばれる、「無意識の偏見」は誰もが持っている。

例えば
・友人にパートナーを紹介したいと言われ、異性を想像する(同性かもしれない)
・外国人だから日本企業に馴染まない(人をカテゴリー化する)
・子供が体調不良の時、母親なら仕事を休んでも看病する
・医師と聞いて男性を想像する    など 

自分の過去の経験によって蓄積された、固定化された価値観やイメージのことだ。
私ももちろん、誰もがそれぞれの無意識バイアスを持っている。

そんな中で「自分が無意識のバイアスを持っているということを意識する。」これを習慣化することで、モノの見方を改めたり、一歩踏み止まって考え直すことができるようになる。より多くの人がこれに取り組めば、過去にたくさんの人が受けてきた、無意識バイアスによる悲しい経験が減るだけでなく、社会的損失を少なくすることができるはずだ。

メルカリが無料で公開している無意識バイアスワークショップの資料が大変有益なのでシェアする。

最後に

さてそんな私も、理解ある上司に認めてもらい、とうとう希望の部署へ異動することができた。最後の1年間だけは、母親だから、というレッテルを貼られずに自分のやりたい仕事を思いっきりすることができたように思う。

そんななか、迷いに迷って決めた退職。
子どもを産んでいなかったら、色んなことを成し遂げて、華々しく会社を去っていたかも、なんて考えるとことがないわけではない。

チャンスをくれた上司には申し訳ないが、東京を離れ、家族で田舎で暮らすことを優先した結果だ。コロナで働き方の選択肢が広がったこともある。

今は全く異なる環境で、新たな働き方を模索している。
仕事とは嫌な事もやって当たり前、と思っていたのが、現在週の半分程度働いている環境系のスタートアップでは自分得意を生かして希望する仕事をしたらいい、望まないことは別やらなくていいと言われなんとも驚いた。

10年ほどの社会人経験を踏まえこのドキュメンタリーを見て、上記したような嫌なことも思い出したと同時に、非常に前向きな気持ちになれたのも事実だ。

女性であるが故に失った経験を取り戻そう。私にはまだまだ可能性があるから!

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