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どうしようもない不条理と北北西の風に吹かれた狂気について

今年の恵方巻の方向は北北西だそうです。節分では多くの人が恵方巻を食べ、大量に余った食材でニュースになり、ノルマを達成できなかった店員が自腹で買い、それを課したマネージャーが非難を受ける、というのを、またあちこちで聞くようになりそうですね。

節分に恵方巻を食べるという習慣は江戸時代に関西で始まったそうです。全国区になったのは、ここ20年くらいの話ですよね。そういえばハロウィンも認知されたのは、ここ20年くらいの話だと思います。こういうのを仕掛けた、マーケティングの人たちは、ほんとすごいと思います。

恵方巻を食べるのには基本的なお作法があります。それは、歳徳神(としとくじん)という神様がいる方向を向いて、太巻きを1本、願い事をしながら、黙々と食べるということだそうです。方向は甲(東北東)、庚(西南西)、丙(南南東)、壬(北北西)のいずれかで、2022年は壬の北北西とのことです。

北北西といえば、アルフレッド・ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」っていうスパイスリラー映画がありましたね。1959年発表だそうです。主人公のサラリーマンが、スパイに間違えられるという、どうしようもない不条理にあいながらも、それを乗り越えていくという内容です。

どうしようもない不条理。

どうですか?最近。どうしようもない不条理をうけてますか?

不条理にやりきれない思いをすることってたまにありますよね。アルベール・カミュによると、不条理を解決するには、自殺する、盲信する(超越的なものを信じる)、受け入れる(反抗する)、のいずれかだそうです。カミュによると2番目は哲学的な自殺であり、3番目を奨励してますが、キルケゴールによれば、3番目は悪魔に取り付かれた狂気と言ってますね。

キルケゴールに狂気といわれても、やっぱり、不条理の存在を受け入れ、それを現実的に乗り越えていくっていう風にしないとやってけないですよね。超越的なものを信じるのには、逆にそれなりの精神性が必要な気がします。映画の主人公のように、とまでは言えないまでも、それなりにやりこなす努力はしたいです。そう言えば、ハムレットも狂気は北北西の風のときだと言ってますね。

I am but mad north-north-west: when the wind is southerly I know a hawk from a handsaw.(Hamlet/William Shakespeare)  
ハムレットの狂気は北北西の風のときにかぎるのだ。南になれば、けっこうのけじめはつく、 鷹と鷲とのちがいくらいはな。(ハムレット/ウィリアム シェイクスピア 訳 福田恒存)

ヒッチコックは不条理に対する抵抗(キルケゴール的には狂気)という意味を込めてタイトルに北北西(ハムレット的に狂気)を含めたんですかね。原題のNorth by Northwestは正確には北北西(north-northwest)ではないんですけどね。

まあ、いずれにせよ、あれですね。今年も北北西の風にふかれた狂気をもって、数々の不条理に抗っていきたいですね。恵方巻はおなかにいっぱいになっちゃうという人は、epulorで北北西をむいて、コーヒーでも飲んでください。


店舗名:epulor (エプロア)
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