正月に思い出話を食べた
恥ずかしいのだが、わたしは万年反抗期、帰省コンプレックスである。
親にはありがたく感謝しているのだが、
愛ゆえにたくさん話したい両親と噛み合わず、現在もなんだかうまく故郷へ帰れない。
そこで今回の年末年始は、これなら自分も盛りあがるかもと
おしゃれな「あの頃はCHOCOLATE」アソートボックスを実家へのお土産にした。
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「あの頃はCHOCOLATE」とは一口型のタイムマシーン。
約60年分の新聞記事をAIが解析し、チョコレートのレシピとして
時代のムードを表現している。
年代の古い順番に食べるのもありなのだが
差異をわかりやすくするため、カカオ100%の1991年から始めて
カカオ85%の1969年、カカオ75%のその他を食ベてみる。
■1991年「絶望のバブル崩壊味」
まずい。カカオ本来の苦みと辛み、少しエグ味が残る。
解説にある”天国から地獄へ突き落とされた”味でありまさに”絶望”。
株式暴落、不良債権、企業倒産・・
チョコにも時代にも、もう少し甘みが欲しいよなと思うが
これがわたしの生まれた頃の味、笑えてくる。
■1969年「人類初の月面着陸味」
1991年の後に食べると、かなりおいしい。
ほのかに甘みを感じるが、でもまだしっかり苦い。
月の凹凸をイメージしたカカオニブが面白い。
このあたりで大阪万博の月の石の話なんかもすると
きっと話が止まらなくなる。
■1974年「オイルショックの混迷味」
1969年よりさらに甘みを感じる、おいしい・・。
こっくりした栗のような風味がまろやか。
トイレットペーパー買い占めたの?など聞くと喜ぶ。
■1987年「魅惑のバブル絶頂味」
これは一口でなく、もっと口いっぱい食べたい。
桃、ジャスミンの香りもしっかり感じて、うまい!
5種類のなかで最も好評。
もう御託は不要、大人は「あの時代は良かった」って話すのが本当に好き。
■2017年「イノベーションの夜明け味」
1974年・1987年と並ぶカカオ75%だが、
2種と比べると、味はスッキリ。
ミルクティーのような風味とチリペッパーのスパイシー感は強め。
人工知能に自動運転、ドローンに仮想通貨・・
ぶっ飛んだ夢の時代ではないが、地に足のついた美味しさ。
2019年も頑張ろうと自然と思えてくる。
ちなみに、それぞれの商品はカカオ1種類ときび砂糖だけで作られている。
独自の焙煎技術と紹介されているけれど、素晴らしいお仕事である。
1987年「魅惑のバブル絶頂味」を単品の板チョコで購入してみたいが
まだまだ売り切れが続きそう。
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このチョコレートを食べて話した結果、両親ともに満足そうであった。
わたし自身もその時代に地方はどのような様子だったか
父と母が何をしていたかが知られて、いつもより楽しかった。
話しながら思ったことが一つ。
個人的主観ばかりだから、思い出話は退屈なのかと。
記憶はどうしてもその時の感情とセットで残っているものだから
武勇伝のハイライトになりがちなのだけど
政治やエンタメ、その時に起こった時代の出来事と合わせて
話すとわかりやすい、興味も持ちやすい。
それに時代の移り変わりを交えると、現在への経緯も理解できる。
「俺の話を聞け!」ではなく「時代の話を聞く?」スタイルで
これから重ねる人生、離れた世代とも会話していきたいと思った。
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