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おかしやさんの彼女



どこにでもある死ぬほどありきたりなハナシで申し訳ないんだけど
ちっさい商店街の角っこにあるおかしやさんの
そこでいつもお店に立ってる彼女が

気になって

最初にここに引っ越してきたときに
地元の店が立ち並ぶ並木路を探検してふらり入った角っこの店


薄っぺらいクッキーみたいのをあったかいうちにくるくる巻いてあるお菓子


お店の前で熱いなか次々に
くるくる くるくる くるくる 

お菓子を巻いてくんだ



ちょっと離れたところから
くるくる くるくる くるくる 巻かれてくお菓子を見てて

週末の朝になると
それが楽しみで散歩にいくようになった



一個1元だったかいくらか忘れたけれど、

とっても小さなそれを、3個だけ欲しいと言ったわがままも


静かに頷いてやさしく受け入れてくれて


毎回ちいさな小銭を彼女の手に渡すのだけが嬉しくて


ありがとう またね と


彼女が焼いたくるくるのお菓子と牛乳を片手に


バスに乗らないのに日陰のバス停のベンチに腰掛けて
2つくらいバスを見送ったら


暑いだけのその夏の一部


しあわせな気分だった



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