岩本園児

To Write Is Human, To Edit Is Divine.

岩本園児

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最近の記事

塩パン

その存在に私が興味を抱いたのは、Instagramの一枚の写真だった。 現在は休刊している雑誌「Free&Easy」、その雑誌が休刊後に開始された「HailMary Magazine(ヘイルメリーマガジン)」の編集長である小野里稔氏のInstagramアカウント(hailmary_trading)があるのだが、今年(二〇二一年)の八月十三日に、福禄寿の奥山氏と小野里氏が立ち並ぶ投稿の三枚目の写真に、私の目は奪われた。 塩パン。 塩パンが一個、一枚の紙の上に、ちんまりと置

    • 検索からの脱出

      私の仕事は、人を検索することなのかもしれない。 様々な人に出会い、話をする。 ただそれだけのことなのだが、これが難しい。 誰でも良いわけではない。 人と人には相性がある。 相性というのは、お互いの育ってきた環境を、履歴書に記入して確認し合っても通用しない。 相性というのは、言葉にできない何かが潜んでいる。 例えば、話している相手の表情であったり、何気ない仕草であったり。 相性というのは、そういった無数のやり取りから何かを感じ取り、人との関係を築いてゆくのかもしれない。 Go

      • その辺にあるもので

        バイクに乗っていると、よく見かける生物がいる。 人間は勿論だが、スズメ、ツバメ、カラス、カモメといった鳥たちだ。 バイクに乗りながら彼らを観察していると、飛ぶ方向であったり、飛ぶ数であったり、きっと生物学としての何らかの理論があるのだろうが、彼らにとって、そんなことは全く関係無いはずだ。 さかざきちはるさんの「ぴーちゃんと私」に、このような文章が出てくる。 -余分なものはいっさい持たない それが飛ぶためのきまり- 果たして、われわれ人間は、余分なものをどれだけ持っている

        • その時、市ヶ谷は。

          私は最近、悩んでいる。 バイクを運転する時に、悩んでいる。 歩いている時に、悩んでいる。 風呂に入っている時に、悩んでいる。 この文章を書いている今も、悩んでいる。 さすがに四六時中とまではいかないが、割と悩んでいる。 それは、仕事の悩みでも、恋の悩みでもない。 悩みの種は、先日、市川文学ミュージアムセンターで、坂崎ちはるさんの「本づくり展」の展示作品を撮影し終えて、ウキウキな気持ち(映像の女神が舞い降りてきたので)で、帰り道を車で運転している時に、私の心にそっと植え

          白パン

          神戸の街を歩いていたり、バイクで走りながら人間観察をしていると、ふと思うことがある。 (白色のズボンを履いている人たちが多い。) 老若男女だ。 お洒落な女性(勿論、年齢は問わない)、男性、別にそうではない女性、男性。 港町だからなのか? いや、港町だから白色のズボンを履く理由が分からない。 太陽の光が強いから? 太陽の光が海に反射して熱くなるから? そうかもしれない。 黒色のズボンより、白色のズボンの方が、太陽光の熱を吸収しないから。 しかし、これはあくまでも科学的事実であっ

          ジロー

          ジローが、かえってきた! ジローの足は、はやくなった。 ジローの声は、ひくくなった。 ジローの体重は、おもくなった。 ジローの顔は、シブくなった。 第一章 タイムマシンにおねがい 私は三歳から九歳まで、私の父親の仕事の都合で、タイはバンコクに住んでいた。 当時のバンコクは信号機が無かったので、一家で車の量が多い道路を横断する時、心中しないように、細心の注意を払って前後左右確認をしていた。 冗談ではなく、命懸けであったことを私は記憶している。 信号機が無いので、車の

          犬なのか?

          おかしい。何かがおかしい。 去年末から、(深夜もしくは早朝の)二時ごろに起床するようになった。 当時、村上春樹の「騎士団長殺し」を読んでいて、主人公がそのあたりの時間に目が覚めて、不思議な体験をするという物語に影響されたのであろうか? もともと、混ざりけなしのガソリンのような純粋な心の持ち主なので、とにかく何にでも影響を受けやすい。 特に周囲の人々からのそれは、自分でも恐ろしいほど自覚している。 したがって自分の周囲の人々は、「良い」人々でないと、とんでもないことになる。

          犬なのか?

          桜が咲く日には

          二〇二一年 三月二十三日 火曜日 天気 晴れ 東京、中央区立日本橋中学校と隅田川を結ぶ歩道橋の学校側に、ソメイヨシノの木々が、桜を咲かせようとしている。 太陽は今日も相変わらず元気だ。 雀たちの鳴き声が聞こえる。 もしかしたら、彼らも我々人間と同じく、桜が満開になるのを心待ちにしているのかもしれない。 ユウマは、博多から東京に転勤する。 彼の家は、浅草の商業ビルの上階にある、浅草駅から徒歩すぐの場所に位置している。 彼の趣味はマラソン。 平日の夜、会社が終わると、日々のスト

          桜が咲く日には

          あの日は晴れだった。

          先日、「ひげそった。」にて、⑴コロナウィルス撲滅を願うについて買いたのだが、⑵社運を賭けたプレゼンテーションに挑むを書く私の精魂は尽き果てたので、割愛した。 この文章を書いている日は午前三時五十一分に起床し、昨日、友人が取った行動に目頭を熱くして、ショートメッセージを一通送信した。英文ではあったが、まるで日本文のような気持ちで思考して書くことができた。なんだかヘンな気持ちだ。 さて、現在の私はスマートフォンで例えるならば、充電100%(元気)、4G100%(頭が冴えている

          あの日は晴れだった。

          ひげ剃った。

          おそらく、10年ぶりではないか。 ひげを剃ろうと決意した理由は、 ⑴コロナウィルス撲滅を願う ⑵ 社運を賭けたプレゼンテーションに挑む ためである。 理由を説明したい。 まず、⑴についてなのだが、令和三年一月二四日日曜日、JR総武線に乗車している際、非常に遺憾な思いをしたからだ。 その日はたしか、午前七時ごろに家を出たはずだ。天気は悪く、まるでそれに比例するかの如く、私の気分は悪かった。 浅草橋駅の西口に出る必要があるため、一番後ろの車両に乗車。 非常事態宣言が出されて

          ひげ剃った。