マガジンのカバー画像

美術

15
運営しているクリエイター

記事一覧

ミケランジェロの「ダヴィデ」の右手はどうしてごついのか

ミケランジェロの「ダヴィデ」の右手はどうしてごついのか

ひさしぶりにnoteを再開しようかなと思い立ちました。続くかどうかはわからないけれど(というか、続けられる気はしないけれど)。
で、ちょっとリハビリ的に美術か音楽ネタで何か書いてみようかなと思い、きっと美術をやっている人にはいまさらというか常識であろう、ミケランジェロの「ダヴィデ」の右手はどうしてごついのか、について簡単に書いてみようかなと。。。(あまり調べなくても書けそうだからw

▶ミケランジ

もっとみる
カンディンスキーの表現主義とルオーの宗教画のルーツ

カンディンスキーの表現主義とルオーの宗教画のルーツ

先日、行ってきた12月20日までパナソニック汐留ミュージアムで開催中の「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」の内覧会のことを書いてなかったので、展覧会の紹介をします。
この展覧会はカンディンスキー(1866〜1944)、ルオー(1871〜1958)、クレー(1879〜1940)の作品を中心にこれらの画家の作風のルーツとなったもの、そして関わり合い、その後の分岐を展示することで、

もっとみる
浅井忠の晩年を知ることのできる展覧会

浅井忠の晩年を知ることのできる展覧会

昨日9月9日から10月13日まで六本木の泉屋博古館分館で開催されている特別展「浅井忠の京都遺産 京都工芸繊維大学美術工芸コレクション」の内覧会に行ってきました。

浅井忠といえば日本の近代洋画の初期を代表する画家ですが、晩年5年間が京都高等工芸学校の、それも図案科というデザイン系の教授であったことはあまりしられていません。
この展覧会はその晩年の活動、事績を追い、日本のデザインへの影響を、彼のコレ

もっとみる
「これぞ暁斎! 世界がみとめたその画力」展内覧会

「これぞ暁斎! 世界がみとめたその画力」展内覧会

4月16日までBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「ゴールドマンコレクション これぞ暁斎! 世界がみとめたその画力」展の内覧会に行ってきましたので、そのレポートをかねて展覧会の紹介をします。
(写真は内覧会のため、特別な許可を得て撮影しています)

今回の展覧会はイギリスのコレクター、イスラエル・ゴールドマン氏の収蔵品によるものですが、すっごく多彩な作品が展示されていて、暁斎の技芸の幅広さ

もっとみる
「拝啓ルノワール先生 ー梅原龍三郎に息づく師の教え」展レポート

「拝啓ルノワール先生 ー梅原龍三郎に息づく師の教え」展レポート

昨日は、10/19〜来年1/9まで、三菱一号館美術館で開催されている展覧会「拝啓ルノワール先生 ー梅原龍三郎に息づく師の教え」の内覧会に参加してきました。

この展覧会は表題にあるように、ルノワールと梅原龍三郎の2人を師弟関係としてとらえ、焦点を当てたものです。

梅原龍三郎が1908年に20歳でフランスに渡り、数ヶ月後にルノワールを訪ね、大きな作風の影響を受けたことは知られていたわりに、梅原

もっとみる
有田焼400年の歴史展を見る

有田焼400年の歴史展を見る

今日23日から28日まで約1週間、池袋の東武百貨店8階催事コーナーで「有田焼400年の歴史展」が開催されています。

昨日22日、そのオープニングセレモニーと内覧会が開かれ、それに参加してきたので、展覧会の様子をご紹介したいと思います。

オープニングセレモニー自体は、有田焼の陶磁器会社のお偉いさんとか、人間国宝うの陶工の方とか、東武百貨店のお偉いさんとかが参加して、ちょっと挨拶して、テープカ

もっとみる
美術を鑑賞するってどういうことをいうんだろう?
美術展という錯覚させるシステムを考える

美術を鑑賞するってどういうことをいうんだろう? 美術展という錯覚させるシステムを考える

上野では連日長蛇の列ができた都美術館の「若冲」展も終わり、合計44万人、1日あたり1万4千人強、正倉院展並みというすごい人出だったようですね。
待ち時間も最長5時間20分程度までなったよう。
でも、もうみなさんは忘れているのかもしれませんが、昨年の同時期東京国立博物館での修復後初の鳥獣戯画の展示は6時間待ちって掲示が出たことを、、、

今回の若冲展は生誕300年記念とのことですが、滅多に一緒に

もっとみる
音楽や美術にはお金をかけた経験が大事

音楽や美術にはお金をかけた経験が大事

たしか、伊福部昭氏の、そして正確には覚えていないのだけれど、こういう内容の言葉がある、、、、

今の学生は、オーケストラの曲を作りたがらない。小さな編成で洒落た曲を作りたがって、オーケストラの音は必要ないという。しかし、オーケストラというコントロールするのが大変で、楽譜にみっちり音を書く経験は大事です。その経験をしたうえで、書ける音楽がある。

だいたいこんな感じの内容だったと思う。
これはと

もっとみる
ボッティチェリの「プリマヴェラ」を分析する知的冒険の書(後編)

ボッティチェリの「プリマヴェラ」を分析する知的冒険の書(後編)

少し前編を書いてから時間が経ってしまいましたが、後編です。

前編はこちらです。

前回は、日本人のボッティチェリ好きから始めて、「ボッティチェリ《プリマヴェラ》の謎」がどんな本かを紹介しました。
で、今回は、この本を読んで私の頭に浮かんだ疑問を挙げてみたいと思います。
だからって、この本がおかしい、ということではないですよ!勘違いしないように。。。。(どちらかというと私が歴史的経緯を知ら

もっとみる
ボッティチェリの「プリマヴェラ」を分析する知的冒険の書(前編)

ボッティチェリの「プリマヴェラ」を分析する知的冒険の書(前編)

タロット、ダンテ、ランディーニ、フィチーノ、ロレンツォ・イル・マニフィコという連鎖

昨年、今年と東京ではボッティチェリの作品が固めて展示される展覧会が続くという、ある意味、奇跡的なことがありました。一つは昨年3月から6月にかけてBunkamuraミュージアムで開催された「ルネサンスとボッティチェリ フィレンツェの富と美展」で17点のボッティチェリ作品(「受胎告知」「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」が

もっとみる
春画はエキゾチックか? 山本ゆかり「春画を旅する」を読む

春画はエキゾチックか? 山本ゆかり「春画を旅する」を読む

日本は性に対してオープンな国なのかどうなのかってのはいろんな意見がありそうです。青少年健全条例とかいったり、マンガやアニメの表現規制がどうとかいったり、コンビニに18禁の雑誌が置いてありスポーツ新聞の女性の裸を堂々と広げて読む男性はとんでもないという抗議がされたり、いろいろあります。
こういう視点は同じ国内にいる人々があれこれいうより、海外の人がどうみているかの方が参考になるのかもしれません。

もっとみる
フェルメールが絵に描いた地球儀と天球儀を見に行きませんか?!

フェルメールが絵に描いた地球儀と天球儀を見に行きませんか?!

日本人のフェルメール好きは相当だと思います。この十数年間にフェルメールの絵画が日本にやってきてはたくさんの観覧者を集める、というのが、人気の絵画展のパターンの一つといってよいかもしれないくらいw

さて、そんなフェルメールの絵画作品に「地理学者」「天文学者」という対になっている作品があるのをご存知でしょうか。
きっと見れば、ああこれか、って感じではないでしょうか。

「地理学者」はこれ。

もっとみる
美術品を見る、という行為について(その1)

美術品を見る、という行為について(その1)

**美術品を見るって、美術館や展覧会の特権なんだろうか?または美術品を所有すること **

一昨日、
書籍「美術館の舞台裏」を紹介した記事
の最後の方で書きましたが、「美術館という展示形式は本当に好ましいのだろうか?」という私の疑問についてしばらく考えてみたいと思います。

これにはいくつかのファクターがあると思っていますが、これまた以前
「クリエイターは何人のファンを持てばよいのか」
で問

もっとみる
美術館の学芸員、キュレーターってどんなお仕事?

美術館の学芸員、キュレーターってどんなお仕事?

「美術館の裏側」
「THE CURATOR'S HANDBOOK」
の2冊を読んでみる。

みなさんは美術展を最近観にいきましたか?
東京は音楽もそうですが、世界中のものが集まるという意味ではとても恵まれてますよね。今だって、渋谷、上野、六本木をはしごするだけで、村上隆の大規模展、めったに見られないほど作品が一同に会したボッティチェリ展、倉敷の大原美術館からエル・グレコの「受胎告知」がやってきてい

もっとみる