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秋と匂い
「匂いを感じるところと、記憶を掌るところが頭ん中で近いから、においときおくはむすびつきがつよいんだよ。」
子どもが、図書館で見つけた本の内容を教えてくれた時の話、
あってるあってないは、べつにどっちでもいいんだけれど、そう、においと、きおくはかなり結びつきが強い。
木の粉の少し甘いような香りと、赤土の少し湿ってカビまで行かないぎりぎりの匂いがする美術棟
2階は平面の方々で、油絵の独特な香りと、銅板腐食の最悪な香りを混ぜた、少し高級感がある香り。
都留文科大学の美術専攻は、同級の中でもなかなか癖のある方が集っていて、急に集まったりなんかした日には、ひどいものだった
同じ空間、同じ時間にいながら、それぞれが全く違うことをし、それぞれがそれぞれで楽しそうに手を動かして、それぞれの作品になるかならないかよくわからぬものに時間をかけていた。
そして、べつに仲が悪いわけではなく、話せば話しだすのだが、大体が話という音よりも、触感や匂いやその空気を味わう方が好きな方たちだったので、まあ、あまり話もしなかった。赤い服を着た変で愛すべき彼は、鹿児島で今なにをしているだろう。たまに、数人気にはなるが、まあ、たぶんあの人らは大丈夫。
こんな話は忘れたっていい
そんな、どうでもいい記憶が頭の片隅で眠っていて、ふとした瞬間、全く関係のないところで蘇ってくる。
こんな話を思い出したのもきっと、あの甲府の地下ワイナリーの香りが、それと同じだから。
金木犀と秋
が最初でよかった
担任した子は最初がトイレだって。残念。
ラベンダーも、「トイレのにおい」らしい。
そう、常識も、感じ方も、最初の出会いが結構大切なんだと。
物の見方も、捉え方も、今までの生き方がそうさせているのだと、
「金木犀のにおい」からわかるのです。
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