【ぐるっとパス2024で行ってみた 7】大倉集古館/浮世絵の別嬪さん?~「春画」デビューしました。
別嬪さん、なんてちょっとすました雰囲気を醸し出しているが、「春画」デビューの私には衝撃だった展覧会。いやぁ、楽しかった。
会期終了間近の最後のギャラリートークに合わせて行ってきた。
ギャラリートークの開始時間に合わせ続々人が集まり始めた。
最初はツンとすましてこれから、
重要文化財「雪月花図」勝川春章 1798~1788(天明7~8)年 三幅対
平安王朝の三才媛である、
右から、小野小町、紫式部、清少納言が描かれた当時・江戸時代の髪型、衣装で描かれている。
中でも白眉は「紫式部」だろう。
石山寺の一室に籠った紫式部が、琵琶湖の湖面に映った八月十五夜の月を見て「源氏物語」の着想を得たと言われている。この逸話はとても有名なので同じモチーフで様々な人が描いていて、尾形光琳による絵だとこんな感じ。
紫式部のこの有名なエピソードが「光る君へ」ではどのように表現されるか楽しみ。
左幅の清少納言が「御簾を巻き上げる」図だが、「光る君へ」では既にこの場面は放送済み。
「洗濯する美人図」宮川春水 1741~1751年(寛保~寛延)頃 個人蔵
足を括られ、逆さに吊るされた小赤鬼が、洗濯をする娘に鍾馗からの文を渡そうとしている。
ギャラリートークの学芸員の方が「江戸の洒脱さ」「脛をみせながらの洗濯」と評し、なぜか脛を見せていることを強めにフォーカスしていて、自ずと目がその脛に吸い寄せられる。
図録からその脛だけを紹介させて欲しい。
可笑しみのある、可愛らしい掛け軸だった。
鍾馗様と言えば、小鬼もセット!?、歌川国芳による「鍾馗」はこんな絵。
あなたたちの逃避行はこんなにも有名だったのね、が
「雪中常盤図」月岡芳年 1887(明治20)年頃 摘水軒記念文化振興財団蔵
自分で書いたものを改めて読み直してみたら、
『雪の坂常盤御前』は源義朝(みなもとのよしとも)との間に生まれた三人の子を連れての常盤御前の逃避行。雪の中の裸足の逃避行は読んでいて辛かったがともかくもこの逃避行では死なず成人したのは救い
とあったが、この展示会の絵は皆藁の雪靴を履いていた、ホッ(;^ω^)。
現代に当てはめて分かりやすく表現すると、「バーキン」あたりかな、と思ったのが、
緑色にテラテラ光る下唇の意味。
どれくら緑!かというと、
バーキンやケリーの小さいのと、それに荷物が入りきらないのか別に他のバックを持っている人を見かけると、「小さい」の無理して持たなくても、、、と思ってしまう。
絢爛、豪華、渾身の「春画」
正直に言おう、まあ別に隠すことでもないが、今回図録を買ったのは「春画」目当て。
初期の春画は誰憚ることなく署名入りだったものが、享保年間に出版禁止になったことから、春画は地下に潜る。富裕者の注文品として生き残り続けた春画は、だからこそ高価な顔料を使い精緻な己の技法を存分に発揮できた。
体位的にはあり得ない秘部の見え方、
三人ではげんでいる場面、
屏風越しの情事に発情し、自分を慰める図、
野天!
尼さん、坊さん、
レズ、
夢中になり過ぎて火事起きてない?!
覗き、
まぁ、ありとあらゆる場面が色彩豊かに描かれている。
面白味があり過ぎだったのが、
「源氏物語春画巻」鳥文斎栄之1789~1801(寛政)末~1804~1814(文化)頃 個人蔵
「源氏物語」では実事は描かれていなくて、
朝を迎えました、
後朝の文をやり取りしました、
ぐったりして朝起きられませんでした、
妊娠しました、等
で実事は表現されている。
雅な人だって、そこは人、が絢爛と描かれている!
各図に帖名が書かれていて、第1図の「初音」こそ相手の女性は公家の姿だが、2図以降は江戸のさまざまな女性たちの姿。実事中も男・光源氏は烏帽子姿なのも、現代の私からするとそれだけでも可笑しい。
女性の恍惚とした表情も上手く、図録では第3図「藤裏葉」の女性の顔がクローズアップされていたが、私は第7図「朝顔」の女性の顔が好きだな。ピンクに染まった頬が愛らし。
リビングに放置していても私の本なんて家族の誰も見向きしないが、万が一家族が手に取って見たりしたら、「何これ~!」と私の知られざる一面を家族に遭遇させることになる(;^ω^)。
図録の裏表紙だが、春画の雰囲気を~。
図録、2,000円台後半までならだそうかな、と思いつつ3,000円でも買ってしまった。
ぐるっとパス2024で行ったよ
1.郷さくら美術館 800円
2.ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション 600円
3.泉屋博古館東京 1,000円
4.五島美術館 1,100円
5.東京都庭園美術館 1,400円
6.松岡美術館 1,200円
7.国立科学博物館付属 自然教育園 100円(割引前の金額320円)
8.大倉集古館 1,500円