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武蔵野シェアハウス発、辺境の山旅

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1990年代末、若き日のアルピニスト野口健たちと共に暮らした東京・武蔵野の木造一軒家。 無名の冒険家たちが集まるその空間は、異様なほどのエネルギーであふれていた。 「ヒマラヤに行…
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#自然

連載第3話 テレビの中の無名時代の野口健

連載第3話 テレビの中の無名時代の野口健

北アルプスで穂高から剣岳まで広大な景色の中を歩いたが、数日後には、高校生という日常が待っていた。
鼠色の薄汚れたコンクリートの校舎。
小さな箱が何百と並ぶ靴箱。
成績の上位ランキングが張られた廊下。
そのずっと先まで続く同じ形の教室。
授業の始まりを告げるチャイム。
カタカタと響くチョークの音。

どうして自分は、こんなところにいるのか? 
生きている実感がまったくなかった。

剣岳山頂の顔に当た

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連載第1話 16歳のとき

連載第1話 16歳のとき

1979年生まれ。
サッカー好きであれば、その年で思いつくのは「黄金世代」というキーワードだろう。
2002年に行われたワールドカップ日韓大会では、この「黄金世代」が主力メンバーとなり初の決勝トーナメントに進出。
その「黄金世代」は「サッカー王国」=「静岡県」の出身者が多かった。
私もその「王国」育ちの「黄金世代」。中学は強豪校のサッカー部に所属していた。
「全国制覇」を目標にしていたその中学は、

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