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毎日読書メモ(14)『琥珀のまたたき』(小川洋子)、それから『抱擁、あるいはライスには塩を』(江國香織)

小川洋子『琥珀のまたたき』(講談社、現在は講談社文庫)。

小川洋子らしい、滅びに向かっていく人たちの美しい物語。母親によって、きょうだいだけの世界に閉じ込められたオパール、琥珀、瑪瑙たちの自己完結された美しい世界。時々訪れる外界の刺激も彼らを変えることはない。父の残した膨大な図鑑の片隅に琥珀が描くメッセージを想像すると胸が痛くなる。合間に描かれる現在の琥珀は、かつて捕らえられていた世界から心が離れないままだ。いびつな秩序を、母親はどういう方向に持って行くつもりだったのだろう? 小さい世界がちょっと江國香織『抱擁、あるいはライスには塩を』のような感じでもあった。
(2016年8月)

遡ったら、短いけれど江國香織『抱擁、あるいはライスには塩を』(集英社、今は集英社文庫)の感想も発見されたので、載せておこう。

不思議な家族の物語。江國香織を読んでいると、愛するって何だろう、とわからなくなる。そんなステレオタイプだけが愛じゃないよ、って言われているのか。
(2012年5月)

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