見出し画像

毎日読書メモ(134)岸政彦編『東京の生活史』到着記念! わたしの思い出の中の大きな本

ついカッとなって、岸政彦編『東京の生活史』(筑摩書房)をポチってしまった。本日到着。二段組、1216ページ。表紙を広げたりしなくてもぴっと立ちます(ハードカバーだし)。いつ読めるのかな、これ...。来年の目標は『東京の生活史』を積ん読にしない、だ<来年かよ。

書店で貰ってきたリーフレット(digest book)の表紙を紹介。

1216頁に折り込まれた150万字の生活史の海。いまを生きるひとびとの膨大な語りを一冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。

岸さんの「プロジェクトに寄せて」によると、

これは、私自身が監修し、一般から公募した「聞き手」によって集められた「東京出身のひと」「東京在住のひと」「東京にやってきたひと」などの膨大な生活史をただ並べるだけの本です。解説も、説明もありません。ただそこには、人びとの人生の語りがあるだけの本になります。

ということである。ページをパラパラめくって、少し文章拾い読みするだけでなんだかすごく興味深い。人は誰でもこんなに語ることがあるんだな、ということに圧倒される。

でもまぁまだ全く読んでないので、今日のテーマは「でかい本」です。画集とか、そういう判型自体が大変大きい本は置いといて、手に取って読書するときにずしっと重たかった本を思いつくままま何冊かあげてみようと。

井上ひさし『吉里吉里人』:安野光雅の緻密に描かれた表紙も美しく、物語の重みを本が具現しているような本。広げた大風呂敷が最後は一瞬でカタストロフィとなった切なさ。第2回日本SF大賞受賞作。

中島らも『ガダラの豚』:気球の事故、アフリカ呪術、新興宗教、色々などろどろとした要素の入り混じった大迫力の小説。中島らもがもうこの世にいないことが本当に寂しい。

中井英夫『虚無への供物』:講談社文庫、当時は1冊だったのに、今は分冊されている...。未だに目赤、目黄、目青、とか、そんなことを断片的に思い出す。反推理小説。もう一度読んでみたいなぁ<先に『東京の生活史』を読みなさい。

村上春樹『アンダーグラウンド』:市井の人の人生や生活についての聞き書き、という意味では、風合いはもしかしたら『東京の生活史』に似ているのかもしれない。しかし、この本でインタビューされている人たちは、地下鉄サリン事件で被害を受け、人生がすっかり変わってしまった、という、辛い共通点で集約されている。ひとりひとりのエピソードが興味深かっただけに、運命があるポイントに集まってきてしまったことに苦しさを感じた。

恩田陸『蜜蜂と遠雷』:満を持しての直木賞受賞、おまけで本屋大賞。恩田陸は書こうと思えばどれだけでも書き続けられる、ということを立証した作品でもある。ピアノコンクールを舞台に、4人のコンテスタントのエピソードを予選から(というかその前から)本選まで、これでもかこれでもか、と書き込んでいるが、誰かに6人分のエピソードで、と依頼されていたら、あの1.5倍の量の小説を書いたかもしれない。

#読書 #読書感想文 #岸政彦 #東京の生活史 #社会学 #筑摩書房 #吉里吉里人 #ガダラの豚 #虚無への供物 #アンダーグラウンド #蜜蜂と遠雷


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?