マガジンのカバー画像

遠藤良二の短編小説集

77
短編小説「森の中にいた異能者との出逢い」「初恋」「抱擁」「嘘」「未来」「俺と彼女の行く末」「生と死」「嫉妬」「欲望と病魔」「憎悪、そして……」「劣等感と生きるためのヒント」「夢」…
運営しているクリエイター

#生きる

希死念慮と生きるという気持ち

希死念慮と生きるという気持ち

 私は死のうと思っている。いつとは決めてないけど練炭自殺か、車の排気ガスを車内に入れて死ぬか。それとも、薬物を大量に飲むか、最悪、飛び降り自殺か……。どうしてそんなことをしようかと思っているかというと、人生に嫌気がさした。そもそも、生きる意味を見いだせていない。四十二歳にもなっても。趣味もないし、彼氏もいないし。勿論、独身で子どももいない。

 父は事故死をしており、母は病死した。私は一人っ子だか

もっとみる
寄り添い、生きる

寄り添い、生きる

 ここはちいさな村。人口は約800人。すこし下調べをしたから僕と香苗は夫婦でこの村に引っ越してきた。もともとは東京に住んでいて、妻といずれ田舎暮らしをしたいねと話していた。なぜ、田舎に住みたいと思ったのかは僕は妻の気持ちと同じで、東京にいた時のように、あくせくしないでゆっくりと過ごしたい、と思ったから。

 僕は鈴木義人、40歳。職業は東京にいた頃は、サラリーマンをしていた。道路工事の現場で使う重

もっとみる