恵那川上屋

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恵那川上屋

恵那川上屋公式アカウントです。代表取締役/鎌田真悟の執筆マガジンや、お菓子の情報などを中心に発信しています。

マガジン

  • 鎌田真悟の栗人(くりうど)ジャーナル

    ㈱恵那川上屋 代表取締役 鎌田真悟が、お菓子、農業、ふるさとについて綴るマガジンです。

最近の記事

「産地間競争」から「産地間共創」へのシフト

「地域の農業と食文化を発展させるために感性を磨く」というテーマを掲げ、私達は学び、行動してきました。 各地域でも同様の取り組みは進み、市場内の競争から地域間競争が生まれていきました。 地域の取り組みを広げ、より良い物を目指し、切磋琢磨することは大切だと思いますが、結果、どうなってきているか考えると、高齢化の回避ができず、人口減少の脅威に対しては身動きが取れていない状況に近いのではないかと感じます。 そして、これらの解決の糸口となるものが、文化や伝統的な技術を伝承

    • 地域イノベーションと地域観光について思うこと

      新型コロナで受けたインバウンドへの打撃は、全国的にはまだ回復途上かと思いますが、地域によっては既にコロナ前を上回る賑わいを見せる地域もあると耳にしました。 本日は地域イノベーションと地域観光について、私なりの思いをお話できたらと思います。 1930年、岐阜県可児市で美濃桃山陶の一種である「志野」の陶片が発見されました。 その後、陶片を発見した荒川豊蔵氏が美濃桃山陶復興に尽力されたことで文化は根付き、可児市を拠点とする陶芸家もおられます。 これはすごい地域イノベーシ

      • 60周年。地域のお客様に支えられてここまで来ることができました

        2024年、恵那川上屋は60周年を迎えました。 栗を栽培を行い、栗のお菓子に集中してこれまで製造してきました。 60年を一つの節目として、3年前から、未来の名物を作っていくというテーマで試行錯誤してきました。 1つが新サブレ工場(旅する山の栞)の立ち上げ、2つ目がおかしな大地(甘い野菜をテーマにして加工)というブランドの立ち上げです。 その他にも多くの事業を立ち上げて、「これから」の60年に向けて歩み始めました。 美術館では「アートコンクール」を開始

        • 規格外品は美味しいもので溢れています

          恵那川上屋でご紹介している「栗の渋皮煮」に使用している品種には強くこだわりがあります。 その品種が利平です。 多くの利平栗の中から3L以上の大粒栗を選び、渋皮煮を製造します。 なぜ利平という品種にこだわるかと言うと、超特選栗部会の女性陣にお願いして、全品種(10種ほど)の栗を同じ製法、同じ配合で渋皮煮を作っていただき試食会を行いました。 その中で圧倒的に一番美味しかったのが利平でした。 あまり大きくならない品種ではあるのですが、その中から貴重な大きなものだけを

        「産地間競争」から「産地間共創」へのシフト

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        • 鎌田真悟の栗人(くりうど)ジャーナル
          39本

        記事

          日本の産地には世界に負けない食材で溢れている

          30年程前。 モンブランというケーキを作る際、フランスで学んだ職人はフランス産を使い、国内では甘露煮をつぶして作る黄色い色見のモンブランが当たり前でした。 栗きんとんは栗と砂糖だけで炊き上げて製造します。 これを使ってモンブランができないかと模索していました。 「和栗モンブラン」をストレートに出していくには自信がなく、フランス産ペーストと和栗を合わせて「栗山」というモンブランを出しました。 日本で手に入る輸入材料は、大きな問屋が仕入れ、地方の問屋に卸し、地方

          日本の産地には世界に負けない食材で溢れている

          あらゆる角度から見つめ、見いだしていく新たな可能性と価値

          栗の収穫が落ち着き、生産者は来年に向けて早くも動き出しました。 畑に感謝を込めてお礼肥をした後、栗の木の剪定が始まります。 10ヘクタールほどの団地で一人黙々と剪定をしていると「無音」の時間を経験できます。 静まり返った畑の中で鳥の声や、風の音を感じ取り、「無心」になって創造しながら、作業をしています。 時折現れる生産者仲間が、 「おい、どうや、今年は早く終われそうか」 などと話しかけてくれます。 そんな時、「無心」の私に、なぜか「人の温かさ」を感じ取ること

          あらゆる角度から見つめ、見いだしていく新たな可能性と価値

          サブレ、クッキーの『葉の形』に込めた思い

          恵那川上屋は創業から今に至るまで、たくさんの出会いを経験してまいりました。 人はもちろん、素晴らしい素材との出会い。 そして、そこから様々な品が生まれ育っていきました。 「おかしな大地」も出会いの中から生まれたブランドであり、急成長しています。 今、注目しているのが「ご当地サブレ」です。 「旅する山の栞」工場を立ち上げ、プレスして焼く設備を導入し、「ジャムジャーニー」の製造も始まりました。 サブレと同じく葉の形で真中にくぼみを作り、そこにジャムを流して包装していま

          サブレ、クッキーの『葉の形』に込めた思い

          「よそ者、若者、馬鹿者」が島でチャレンジして気づいたこと

          「よそ者、若者、馬鹿者」という言葉を聞いたことがあると思います。 地域活性化の成功法則として言われてきた言葉です。 この三つを備えたものが地域に訪れ、改革するイメージで、ふるさと応援隊みたいな人が各地にいます。 私の経験でお話ししますと、三つ備えた精鋭でも、なかなかうまくいかなくて諦めて帰っていくケースもよく見てきました。 種子島に渡ったとき、「誰もあなたを受け入れないでしょう」と何人にも言われました。 私が起こした行動は、博物館の館長を紹介され、4日間の時間を作っ

          「よそ者、若者、馬鹿者」が島でチャレンジして気づいたこと

          その土地に文化が根付くことで開く花

          「山ノ栞」というサブレを30年近く製造、販売してきました。 少々、もろく割れやすい生地ですが(笑)、私の自信作です。 昨年春に東海環状線の御嵩可児インター近くにある恵那川上屋咲久舎店の裏に、サブレのライン工場を建設し、稼働が始まりました。 このサブレ(山ノ栞)は製造工程で割れることは稀なのですが、店に搬入する度に数枚割れてしまいます。 悩みに悩んだ挙句、味を優先するために配合は変えず、今も製造しています。 販売開始当初。 割れたサブレを手に持ち、店の販売員が「

          その土地に文化が根付くことで開く花

          地域の生産者と共に未来を創造していきたいという願い

          サトウキビから黒糖へ。 黒糖、安納芋からスイーツへ。 毎年繰り返し、気づけば20年が経ちました。 種子島の西方にある馬毛島には自衛隊の施設配置案が上がり、その関係者の宿泊や整備などでたくさんの人が訪れ、今、島は賑わいを見せています。 コロナで不安だった島の状況を見てきた中ですので、賑わいを見せることに喜ばしく感じる点もありますが、様々な問題も関わる事柄ですので、手放しで喜ぶことはできません。 昨年、工場移転のために安納地区に土地を買い、新たな加工施設を建設予定でしたが

          地域の生産者と共に未来を創造していきたいという願い

          「あなたはあなたらしく」というメッセージを込めて名付けたお菓子への想い

          【桜梅桃李】という言葉があります。 桜は桜らしく、梅は梅らしく、桃は桃らしく、李は李らしく。 それぞれ個性の違う、美しい花を咲かせる様子を謳った言葉ですね。 転じて言うのであれば「あなたはあなたらしく」。 「そのままでいい」ではなく、『そのままがいい』。 そのような意味合いだと感じております。 おかしな大地と恵那川上屋を連携させた、個性を持ったお店を作りたいという思いで、名古屋の覚王山に出店をしました。 店に並ぶのは、まるでお菓子のように甘いトマト「おかしなト

          「あなたはあなたらしく」というメッセージを込めて名付けたお菓子への想い

          恵那川上屋のミッションと、この考えに至った「気づき」

          今回は恵那川上屋のミッションと、この考えに至った「気づき」についてお話いたします。 23歳になった私は、色々な個性を持つ方々と働きたいと感じ、表参道の「カフェドロペ」に就職しました。 当時注目を集めていたカフェで働く方々は私の想像通り、豊かな個性を持っている方々であったと共に、「役者の卵」、「花開かないドラマー」など、私の想像以上に多くの夢と輝きを持つ人たちが集まっていました。 そんな人々に囲まれ、自分の将来や夢を描いている最中、家庭の事情で恵那に呼び戻されることとなり

          恵那川上屋のミッションと、この考えに至った「気づき」

          若き日に見た恵那川上屋のあるべき姿

          先月の「気づき」の続きです。 ※前回の内容は こちらからご覧いただけます。 体に鞭を打ちながら蓄えたお金とユーレイルパス(ヨーロッパ各地の列車を利用できる鉄道チケット)、国際ユースホステル会員証(世界80カ国にあるユースホテルを経済的な宿泊料金で利用できる会員証)を持ち、フランスに渡り、そこで様々なお菓子屋さんを回り見分を広げていきました。 そんな中、多少の仕事もさせてはいただいたのですが、ビザやら何やらと全く準備をしないで行ったため、仕事の対価としてのお金は一切いた

          若き日に見た恵那川上屋のあるべき姿

          「強く決意し行動することで必ず叶う」と気づかされた修行時代のエピソード

          東京に出て、洋菓子店での修業を始めたのは高校卒業式の翌日からでした。 今の私の基礎となった掛け替えのない大切な期間です。 修業先の社長からは5年はかかると言われたものの「3年で卒業します」と宣言し、言葉通り3年後に全部署を回り卒業することができました。 作り出すことができた価値ある2年間を無駄にしないよう、更なる自分の知識や経験を高める為、別のお菓子屋さんでアルバイトをしながら、勉強させていただきました。 合わせて当時の私には「絶対にヨーロッパに行く」という夢があり、

          「強く決意し行動することで必ず叶う」と気づかされた修行時代のエピソード

          差異化は新たな市場を作り、新たなブランドを作ることにつながっていくものと考えます。

          今まで恵那川上屋は「らしさ」「話題性」「三つの風を吹かす(農業、食文化、芸術=感性)」という3本柱を意識しながら運営してきました。 今年はそこに「差異化」をプラスして4つの軸をもっての運営が始まりました。 『お菓子屋に野菜が並ぶ』 『お菓子屋でワインの販売が始まる』 『お菓子屋にビールが並ぶ』 『和の茶房メニューにカレーが加わる』 実はこれらすべてに関連する「お菓子屋ならでは」の考えが詰まっています。 「お菓子のように甘いトマト」、「スペインホセポサーダ社のマロン

          差異化は新たな市場を作り、新たなブランドを作ることにつながっていくものと考えます。

          2022年作り上げた資源をさらにグレードアップさせ、お客様に幸せを感じていただけるような商品つくりを行ってまいります。

          2022年は皆さんにとって、どんな年でしたでしょうか? 恵那川上屋は2024年、60周年を迎えます。 来年2023年、そして翌2024年。 この2年間で未来の40年に向かって、たくさんの計画をたて、実行に移していきます。 「お菓子のように甘いトマト・・・おかしなトマト」のから始まった「おかしな大地」という甘い野菜を使った加工品のご紹介。 さらには「旅する山の栞」という工場を可児に建設し、ご当地サブレの開発を行い、新たな商品として「ジャムジャーニー」という焼菓子

          2022年作り上げた資源をさらにグレードアップさせ、お客様に幸せを感じていただけるような商品つくりを行ってまいります。