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ノーベル賞受賞者が使用した実験室

2000年に米国Yale(イェール)大学で数か月間、研究をする機会をいただきました。そのとき与えられた実験室は、その2年後にノーベル賞(2002年、化学)を受賞したFenn教授が過去使用していたもの(写真のMason Lab, 1Fにある実験室)であり、光栄に感じました。

全米のトップ大学には華やかなイメージがありましたが、このような実績のある研究室でありながら、意外にもシンプルな様子に驚きました。実験室でまず目に入ったのは、数多くの引出しがある棚でした。その中にはきちんと整理された部品や素材が入っており、それらの部品が大きさや材料の種類ごとに細かく分類されています。実験者が自分の装置を組み立てる際には、まず使える部品があるかどうかを棚から探します。研究室を去る時は、必要に応じて自分が製作した装置を分解し、部品をそれぞれの棚の引き出しに収納しなければならず、ゴミはほとんどありません。

数多くの引出しがある棚(イメージ)

現在では、パソコンの画面上で図面を書き、出来上がった組立図を基に実験装置の製作を行ったり、製作業者に依頼したりするのが主流ではないでしょうか。しかし、装置を構成する部品を実際触りながら、そこにあるモノから装置を考えることで、新たなアイデアが生まれることもあるのではないかと感じました。

(2004年に日本エアロゾル学会「エアロゾル研究」雑誌に投稿する原稿より)

Mirror site: https://empatlab.wordpress.com/2014/12/30/essay2004yale/

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